米中貿易戦争勃発で米国株も怪しくなってきた。笑うのはロシア?


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米中貿易戦争勃発で米国株も怪しくなってきた。笑うのはロシア?

2018/07/12

 

【2018/07/11 日本経済新聞】米中、報復の応酬 追加関税で貿易戦争泥沼に

 

中国と米国の貿易戦争が激しさを増しそうだ。トランプ米政権は10日、追加関税10%をかける家具や帽子など6031品目・2千億ドル(約22兆円)相当のリストを公表。9月にも発動すれば中国からの輸入全体の半分に関税をかける異常事態だ。中国も反撃する方針だ。米中対立の核心であるハイテク覇権の争いは話し合いの糸口すらなく、貿易戦争は泥沼化する危うさをはらむ。

 7月6日、米中貿易戦争が開戦しました。

 

 個人的には、しばらく貿易戦争はやまないと考えています。

 

 一つは米国は中国、ドイツ、日本、メキシコ等に対して貿易赤字を抱えており(逆にいえば中国、ドイツ、日本、メキシコ等の経済が米国への輸出にある程度依存しており)、貿易戦争での米国の経済面の損害が他国と比べて少ないと考えられることです。

 

 一つは前回の記事でお話したように、米国は日中韓、カナダ、メキシコへのLNG輸出で経済を立て直したいと考えています。

 

 貿易戦争で米国が被る損害の大きさが相対的に少ないことから、貿易戦争が本格化すると日中韓、カナダ、メキシコからLNG輸出契約で今後譲歩を引き出しやすくなります。

 

 米国の世界各国に対する、イラン産原油の輸入停止要請がホルムズ海峡封鎖懸念を高めており、米国のLNG長期契約の追い風となっています。さらに米中貿易戦争の本格化に伴い、南シナ海での米中の軍事的緊張が高まり、オーストラリアやマレーシア産のLNG供給が不安定化すれば、ますます米国のエネルギー政策に追い風が吹くことになります。

 

 エネルギー政策という目線で見れば、米国が貿易戦争を短期間で収束させるとは考えがたいのです。

 

 中国目線で見ても、中国は米国に対する輸入品追加関税の導入日(7月6日)、対象品目の金額(第1弾: 340億ドル相当、第2弾(予定): 160億ドル相当)、追加関税率(25%)を米国と揃えており、米国に一歩も引かない姿勢を貫き通してきました。

 

 また表向きの最大の米中対立要因が中国による米企業の知的財産侵害であり、中国の国策経済政策「中国製造2025」の見直しを訴えるものです。

 

 中国製造2025は中国のグローバル経済支配政策であり、中華人民共和国建国100周年にあたる2049年に向けての長期的経済計画の第1弾という位置づけです。中国政府が米国の要求に応じて中国製造2025の見直しを検討することは、到底考えられません。

 

 今後、貿易戦争はますます本格化し、自動車や自動車部品にも追加関税が掛かることは十分現実的な未来です。早ければ2019年にも日本経済が深刻な打撃を受ける可能性があるので気をつけてください。

 

 また、世界の金融市場もさらに不安定化する可能性があります。すでに新興国市場や中国の株式・為替市場は崩壊していますが、米国株も今年1月終わりの株価水準をいまだに超えられていません。

 

S&P500の推移

 

 米国株はこれまで自社株買いにより支えられてきました。今年はレパトリ減税の影響もあり、すでに今年上半期までに米企業は6800億ドル近くの自社株買いを公表してきました。

 

 米企業の自社株買いは年間1.35兆ドルペースであり、これまで過去最高の自社株買い総額であった2007年の2倍程度にまで膨れ上がるという、異常な水準に達しようとしています。

 

 にも関わらず、S&P500指数が伸び悩んでいるのです。自社株買いによる買い支え効果が薄れているのです。米国株式相場も、いよいよ怪しくなっているようです。
【2018/07/10 Zero Hedge】Stock Buybacks Hit Record $680 Billion In The First Half

 

 

 一方、ロシアは貿易戦争過熱で漁夫の利を得るかもしれません。

 

  • ベネズエラの財政難による原油大幅減産、米国のパイプライン容量問題もあり、地政学リスクと関係なくエネルギー価格が短期的に高位停滞しやすい状況
  • 中東産原油、LNGの供給が不安定化したときの代替エネルギー供給国となりうる
  • プーチン外交の成果で、ユーラシア大陸の各国との関係が良好。欧州の戦争屋は依然ロシアを敵視するが、ノルド・ストリーム2の建設がスムーズに進むなど、経済面で欧州各国との関係は良好
  • いまだにルーブル安であり、原油価格上昇と合わせてエネルギー輸出でロシアエネルギー企業が大きく稼ぐチャンス
  • 政府債務や対外債務が少なく、マネタリーベースの55%がゴールドで裏付けられており、金利上昇等の外部金融環境の変動にも耐えられる堅固な財政・金融状況

 

[参考 2018/05/16]新興国市場に赤信号点灯、世界金融危機の幕開け?

 

 エネルギー株の割合が多いロシア株ETFなんかを持っておくと、面白いかもしれませんね(私も少し保有しています)。

 

 

 (今後、何回かの記事に分けて、中国に関するお話をします。米中貿易戦争は、シャドーバンキングバブル崩壊の致命傷になり得る、というお話です。)

 

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