「超円高」に期待しすぎてはいけない
2018/09/27
今回は、将来のリーマンショックが仮に起こった後のドル円についての個人的な考えをはっきりさせておきます。
金融危機後、円高ドル安を期待して「円→米ドル」への交換を計画されている方もいるかと思います。
いつ金融危機が起きるのかはわかりませんが、円高ドル安となったときに円滑に「円→米ドル」に交換できるように、いまのうちに金融危機後のドル円の動きに関する一つの見方を書いておきたいと思い、今回の記事となりました。
の記事(一部)です。
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ドル円の動きは投資家・ヘッジファンドの行動で決まりやすい
「これから円安になるかドル高になるか?」と聞かれれば、多くの人は「しばらくは円安ドル高が進むが、リーマンショックのような世界的金融崩壊が起これば円高ドル安にシフトする」と考えると覆います。
確かに、日本円はこれまで金融危機が生じると常に円高となってきました。リスクオフ局面では日本円の購入に資金が流れることから、その日円高となると大手メディアは「安全資産である」という枕詞を付与してきます。しかし日本円は安全通貨だから買われるのではありません。
これから話すように、2つの円高ドル安は機関投資家らの投資・投機行動によるものである
画像ソース: Pwalker
1990年代に日本の不動産・土地バブルが崩壊して、為替は1995年まで円高ドル安方向に動きました。これは、1980年代に日本の生損保を中心にドル債投資がブームとなった反動から生じたものです。
1980年代前半のドル高時に生損保は利益を求めて円を売って米ドル債に投資してきました。1985年のプラザ合意により急速に円高ドル安が進み生損保は投資した米ドル債の為替損失が膨らんだものの、80年代後半の株式・不動産バブルで生損保は財務体力を持ち直しました。
しかし1990年に株式バブルが崩壊、翌年に不動産バブルが崩壊し、万事休す。財務基盤を失った生損保等の機関投資家が米ドル債の売却に踏み切り、ドルを円に換える動きが活発化したため、円高ドル安が止まらなくなり、1995年4月19日に瞬間的に1ドル79円25銭をつけるまで下がったのです。
【2011/03/20 日経ビジネス】大震災危機でなぜ円高になるのか
リーマンショックの頃の円高ドル安進行も似たようなものです。日銀が量的緩和+ゼロ金利政策を続けるなか、2004年6月から米国のFedが利上げを開始し日米金利差が拡がり始めました。また2005年に1年間限定で米国がレパトリ減税を導入し、 海外留保約1兆ドルの一部が米国に還流することで円安ドル高に振れやすくなりました。
日米金利差拡大とレパトリ減税によるドル高期待で、海外や日本の投資家が円を借りてドル建て資産で運用する円キャリートレードがブームとなりました。資金の一部はサブプライムローン関連資産にも投入されました。
しかし2007年にサブプライムローン危機が起こると、キャリートレードの巻き戻しが一斉に始まり、ドルを円に戻して借りていた円を返す動きが本格化したのです。
さらに金利差が円高ドル安に拍車をかけました。2017年8月にパリバショックが起き、サブプライムローン危機が本格化し始めたため、Fedは立て続けに利下げを行い2007年9月-2008年12月までに政策金利の誘導目標を5.25%から「0-0.25%」に引き下げました。
当時、日銀はすでにゼロ金利政策を通じて政策金利を引き下げる余地がなかったため、Fedの利下げがそのまま日米金利差の縮小につながりました。
「円キャリートレード」と「日米金利差の縮小」が、2007年から2011年にかけての大幅円高ドル安を主導し、2011年に史上最安値である1ドル75.54円を記録したのです。
画像ソース: 公益財団法人 国際通貨研究所
過去の大幅円高ドル安の最も大きな要因は、投資家やヘッジファンドらによる投資・投機的なクロスボーダー取引にあり、次いで日米中央銀行の金融政策にあると言えます。
もっとも、投資家やヘッジファンドの動きは中央銀行の金融政策によるものが大きいので、根源的には中央銀行の金融政策が為替の一番の要因ではありますが。
為替ヘッジが金融危機時の円高ドル安効果を弱める
本題です。次に金融バブルが崩壊したときに、日本の不動産バブルの崩壊後やサブプライムローン危機後のように、大幅な円高ドル安につながるのでしょうか。
もし近いうちに金融バブルが崩壊したときに、不動産バブルの崩壊後やサブプライムローン危機後のように、大幅な円高ドル安につながるのでしょうか。
個人的には、次のバブル崩壊時の円高ドル安は起こっても限定的だと思っています。少なくとも1ドル80円を切る水準になることは、あまり期待していません。
(以下省略)
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