
知ると知らずで大違い、配当再投資の隠れた特徴
2018/08/23
※前回からの続きです
配当再投資は、「受取配当金を雪だるま式に殖やすことで、生活に必要以上の配当所得を得て、残りの人生を自由に過ごす!」という目的を達成しやすくする、様々な特徴があります。こうした特徴をいくつか話しておきましょう。
の記事(一部)です。メルマガでは、配当再投資の仕組みを図をふんだんに用いて詳細に説明しています。
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配当再投資の特徴:株価下落がリスクからチャンスに変わる
配当再投資の一番のすごいところは、「株価が下落すればするほど長期的に資産価格、受取配当金が著しく増加しやすくなる」ことです。
普通、株価が下落すれば資産価格が減ります。配当再投資をしていても、もちろん短期的には資産価格は減少します。
しかし長期では話が変わってきます。
株価が長期的に下落し続けてくれると、あるときから突然トータルリターン(含み益+過去のすべての受取配当金)が狂ったようなスピードで一気に殖えて行くのです。
もちろん、受取配当金も指数関数的に殖えていきます。
受取配当金は、株価下落パターンのほうが常に多くなります。
配当再投資をすると株価の変動によらず...
- 株価上昇→「現在の」資産価格上昇
- 株価下落→「将来の」資産価格・受取配当金上昇
となり、すべての期間を資産価格や受取配当金上昇に使えるようになるのです。
特に、株価下落は資産を雪だるま式に殖やすための大チャンスですので、株価下落はむしろ喜んで下さい。
怖いのは減配・無配リスクです。このリスクだけは顕在化すると厳しいので、注意するようにしてください。
FCF(フリー・キャッシュフロー)が支払い配当金を下回っており、この状況がしばらく続きそうな場合は減配・無配リスクが高いです。
FCFの推移だけは常に注意するようにしてください。
配当再投資の特徴:株価価格下落耐性がつく
上の話に含まれる話ではありますが、配当再投資をすることで株価下落耐性がつくようになります。
株価が元本割れの水準が続いても、配当再投資をすることで資産価格はいずれ元本を上回るようになるのです。
さらに株価が下落しても、元本を下回る状況は時間と共になくなっていきます。
配当利回り4%の銘柄を3年間配当再投資すると、3年後に株価が購入日より10%下落していても、資産価格は元本以上となるのです。
株価下落幅が線より上部にあれば、資産価格は元本以上
※ここでいう配当利回りは、「現在~将来」の配当利回りが一定であることを仮定している
株価の下落幅にもよりますが、配当利回りが4%以上の銘柄を購入していけば、3-5年でポートフォリオの元本割れはなくなっていきます。
この状況になれば、もう配当再投資をやめることは絶対にできなくなるでしょう。
株価下落にビクビクする必要がなくなり、ポートフォリオが育っていくことが楽しみで楽しみでしょうがなくなりますから。
配当再投資の特徴:高インフレに負けなくなる
配当再投資により、高インフレに負けない投資が可能となります。
株式は高インフレ期には実質リターンがマイナスになりやすい特徴があります。高インフレに弱いのです。
しかし高インフレ期は、企業も物価上昇に合わせて価格を上げて収益を伸ばしますので、高インフレに強い適切な銘柄を選べば増配を期待できるようになります。
よって、高インフレ期は他の時期よりも高配当利回り、高配当成長を期待でき、配当再投資の絶好の期間だと考えられるのです。
このことを確かめるために、少し歴史を振り返ってみましょう。
下図は10年移動平均で見たときのS&P500銘柄の株価成長率(橙)、配当成長率(青)、インフレ率(緑)を表しています。
緑線のインフレ率が大きく上昇している時期を見ると、株価成長率と配当成長率の合計がインフレ率に追いついていない傾向があることがわかります。
ソース: ONLINE DATA ROBERT SHILLER
よって、バイ・アンド・ホールドで株式を保有していては、高インフレ期の実質リターンはマイナスとなります。
しかし配当再投資により高インフレ期に負けない投資が可能となり、インフレ率が下がり始めたときの株価、配当成長率の上昇とともに実質の資産価格、受取配当金が急増することになります。
バイ・アンド・ホールドは高インフレに負ける投資。配当再投資は高インフレに負けない投資。
この違いをご記憶下さい。
最後に、下図は1900年から現在までの米国株(S&P500銘柄)の配当利回りとPER(10年移動平均)の推移です。
米国では1910年代後半、1940年代半ば、1970-80年代前半あたりに高インフレになったのですが、その頃の配当利回りを見てみると、いずれもその前後よりも配当利回りが高くなっている傾向にあります。
また高インフレ期にはPERが低い傾向にあることも見て取れます。
株価の低迷が配当利回りの上昇を促しているというわけです。
つまり、高インフレ期は格好の配当再投資期間なのです。
将来の資産価格、受取配当金を大きく殖やすためのポートフォリオ育成期間。それが高インフレ期となります。
高インフレ期はバイ・アンド・ホールド投資と配当再投資のあいだに、天と地ほどの差が出ることがわかります。
2020年代は世界的な高インフレ期に突入するおそれがあります。
ぜひ配当再投資をしてインフレに負けない投資をしてください。
最後に、一つ注意点です。
高インフレ期は配当再投資によるポートフォリオ育成期間ですので、株式は売却せず、受取配当金はすべて配当再投資に回すことが前提となります。
よって、将来の高インフレを見越して、高インフレに強く途中で取り崩してもよい別の資産を保有しておくことが望ましいです。
その筆頭がゴールドです。
- ゴールド(金鉱株含む):「現在の」実質資産価格を殖やす資産クラス
→必要であれば、途中で現金化してもよい - 株式:配当再投資することで、「将来の」実質資産価格を殖やす資産クラス
→高インフレ期には出来る限り現金化を控えたほうが良い
※「現在」とはインフレ率上昇期、「将来」は高インフレ後のインフレ率下降期を指します。
このように捉えて下さい。
「DRIP」で誰でもラクラク、無料で配当再投資
以上、配当再投資の手法、目的、仕組み、早く資産を殖やすコツ、特徴について述べてきました。
配当再投資は株価の下落時にこそ力を発揮できる、リスクの低い投資手法であることを話しました。
特に今後は株価低迷や高インフレが現実的なシナリオのため、配当再投資が大きな力を発揮する時代が到来するかもしれません。
配当再投資を知るか知らずか、実行するかしないかで投資家の運命が決まってしまう...かもしれません。
しかし一つ、残念なことがあります。
日本の証券口座で配当再投資をしようとすると、次の2つの問題があるのです。
- 毎回口座にログインし、手動で配当再投資しなければならず手間が掛かる
- 配当再投資に取引手数料が掛かる
配当再投資の取引手数料の問題は、特に少額から投資を始めたい人たち(若者たち)にバカにならない影響を与えます。
初期投資額100万円、配当再投資に関わるパラメータ(3種類の成長率)をすべて5%としたときの受取配当金をシミュレーションしました。
日本で米国株に投資すると、 配当再投資時に最低でも5ドル(500円以上)の手数料が掛かります。
配当は四半期ごとに支払われる場合が多いので、配当再投資すると1銘柄につき年間で2000円は掛かります。
20銘柄に投資すると、配当再投資で毎年掛かるコストは4万円となります。
こうした条件のもとで受け取り配当金を見てみると...
時間が経つにつれて、配当再投資手数料のありなしで受取配当金にかなりの違いが生じることが一目瞭然です。
そこで米国証券口座の出番です。FirstradeやSogoTradeの「DRIPサービス」を使うと...
- 配当金支払われると、証券会社が勝手に配当再投資してくれる
(配当再投資の手間が一切かからなず、配当再投資忘れも防げる) - 配当再投資時の手数料が掛からない
DRIPをすれば、先ほどの図で「青棒」のような推移を辿ることができるようになります。
DRIPのありなしの違い、恐るべし!
配当再投資するなら、DRIPが使える米国証券口座を使うほうが利便性、コストの両面で圧倒的に有利となります。
特に初期投資額が少ない人たちにとっては、DRIPのありなしは将来の生活に結構関わってきますので、DRIPを使えることは非常に重要です。
まだ米国証券口座を保有していなければ、ぜひこの機会にFirstradeやSogoTradeの口座を開かれてみてはいかがでしょうか。
米国証券口座で長期投資。日本よりも圧倒的に安い手数料で世界中の株式に投資できます。DRIPを使えば手数料無料で誰でもラクラク配当再投資できます。
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