今後世界の株価が大きく下がることは時間の問題
2016/11/05
今後世界の株価が大きく下がることはもはや時間の問題となっています。
リーマン・ショック以降、世界の株価は趨勢的な上昇を遂げてきました。アメリカS&P500の株価はリーマン・ショック以降7年連続でプラス成長を遂げてきました。
しかし現在の株価は企業業績に裏付けられたものではなく完全にバブルによって形成されたものとなってしまいました。IMFの直近のレポートをみても、世界の株がバブル状態になっていることがわかります。
画像ソース:IMF
※元の図の「Risk-free rate」と「Equity-risk premiums」が逆だったので個人的に訂正しました
リーマン・ショック以降はアメリカの中央銀行であるFedをはじめ、世界中の中央銀行がこぞって量的金融緩和政策を行い、カネをばらまいてきました。このカネが株式や債券、不動産といった市場に流れていき、今日までバブルが形成されてきました。まさに「中央銀行相場」となっているのです。
画像ソース:FRED
しかしここ最近は市場に様々な異変が起こり始めています。
不動産市場に目を向けると北米で悪化しています。2016年10月のカナダ・バンクーバーの住宅販売件数が前年比39%減少しました。またアメリカのニューヨークでも住宅販売件数が大きな落ち込みを見せていますし、不動産市場もどんどん悪化しています。
債券市場に目を向けると2016年7月あたりから各国の国債利回りが徐々に増加してきています(下図は10年債利回りの変化を表したもの)。日本や欧州などの中央銀行がマイナス金利政策を導入中で、人為的な低金利状態にあるなかでの国債利回り上昇ですから、危険なシグナルです。
画像ソース:ブルームバーグ
アメリカの株式市場に目を向けると、機関投資家が最近市場から撤退しています。下図はバンクオブアメリカ・メリルリンチに口座をもつクライアント投資家による株式売却額を表していますが、右側の図のようにここ1年近くは年金基金などを含む機関投資家を中心に売却額が趨勢的に減少しています。
画像ソース:Zero Hedge
他にも様々な金融機関が既に重要顧客に対して株式を売却することを勧めてきましたから、投資家の株式市場からの撤退は着々と進んでいると見て良いでしょう。
しかし実はアメリカの株式を買い支えている主体が存在します。それはアメリカ企業です。実はアメリカ企業の自社株買いによってアメリカの株式市場はこれまで持ちこたえられてきたのです。
下図の青棒が表すように、S&P500企業は2013年以降、毎四半期ごとに1,000億ドル以上の自社株買いを行ってきました。これがアメリカの株式市場を支えてきたのです。
画像ソース:FactSet
しかし上の青棒を見ると、ここ3年で自社株買いの額は丸天井を帯びてきており、2016年第二四半期では大きく落ち込んでいます。前年、前々年の第二四半期と比べても減っています。息切れしているのです。
それもそのはず、いままで企業は実質的に借入たカネを自社株買いに充ててきたわけですから。企業の自社株買いによる株式市場の支えももはや長くは続かないでしょう。現在のように徐々に金利があがっている状況では、だんだんと借入するのも難しくなりますから。
画像ソース:Zero Hedge
最後に各世界株式のインデックスの動きを見てみると、アメリカ、日本、ドイツの株価が見事に一致して動いていますね。さらに赤色の新興国株式の値動きも2015年の途中から先進国株の値動きと連動しているのが見て取れます。いまや世界中の株式が連動して動いているのです。
画像ソース:Bloomberg
以上のことから、今後世界の株式市場が趨勢的に悪くなるのはもはや時間の問題といえそうです。
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