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2018年2月5日-6日、世界同時株安だと?

2018/02/07

 

画像ソース:TACTICAL INVESTOR

 

 パニックするにはあまりにも早すぎる。今回の世界同時株安はまだまだほんの「序の口」だよ。

 

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【訃報】VIXショート投資家たち...

 2月5日の米国株式相場の動揺は、株式や債券等の金融商品のボラティリティを見て売買判断するファンド(ボラティリティ・ターゲット投資家と呼ばれることがある)による短期間での大量株式売却にあると見られています。

 

 モルガン・スタンレーによると、ボラティリティをターゲットにした機関投資家(今回は主に年金保険ファンド)による株式の大量売却が今回の米国株式や世界の相場を揺らしたそうです。
【2018/02/06 Zero Hedge】"The VIX Finally Went Bananas": Morgan Stanley's Post Mortem Of Everything That Happened

 

 大体ストーリーは次のようなもののようです(真相はわからないが...)。

 

  • アルゴリズム取引を行う複数のファンド(今回は主に年金保険ファンド)が、株式ボラティリティの上昇を察知したのか50-100億ドルの株式売り注文を出した
  • しかし株式市場の流動性が欠如しており、思うように売却できなかった
  • これは株価下落、株式市場のボラティリティ(VIX指数)増加につながるが、これらにVIX先物買いが重なった
  • これは他のボラティリティ・ターゲット投資家の株式売却を促す
  • こういった要因が複合した結果、株価大幅下落、VIX指数急増につながった
  • VIX指数の増加は、今後他のボラティリティ・ターゲット投資家による追加の株式大量売りに発展する可能性がある

 

 ボラティリティ・ターゲット投資家は株式や債券のボラティリティが下がりそうならば買いを入れ、上がりそうならば売りを入れます(ボラティリティをショートするということ)。

 

 今回は株式のボラティリティであるVIX指数が前営業日の17.31から37.32に2倍以上も急増し、一時50のレベルにまで達したこともあり、ボラティリティ・ターゲット投資家の株式売却が大きく進み、米国はじめ世界各国の株式相場が大きく動揺したのです。

 

 今回の相場の動揺で壊滅的な損害を被ったのが、VIX指数にショートするETPの購入者です(ETPとはETF, ETNといった上場投資商品の総称のこと)。これは文字通り「VIX指数の減少に賭ける」投資商品です。

 

 関連商品で最大規模のプロシェアーズ・ショートVIX短期先物ETF(SVXY)は一日で83%近く下落、2番目の規模をもつベロシティシェアーズ・デーリー・インバースVIX短期先物ETN(XIV)はなんと92%以上も下がり、文字通り奈落の底に真っ逆さまとなりました。

 

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 XIVを組成しているクレディ・スイスは今月21日に同ETNを早期(繰り上げ)償還すると発表しました。早期償還と言えば聞こえは悪くないですが、要は「強制売却」という意味です。XIVの目論見書に書かれている「一日で20%を超えて下落した場合に早期償還できる」という権利を行使したわけです。
【2018/02/07 日本経済新聞】クレディスイス、VIX連動証券を早期償還 資産規模は約2000億円

 

 クレディ・スイスの発表によると、VIXショートETNの早期償還に踏み切った理由は、ここ数日間続いてきた相場の高変動状況により、同ETNが想定してきた"穏やかな市場"というシナリオが崩れ去ったためのようです。たった数日間のボラティリティの動きで前提シナリオが崩れ去るくらい、極めて脆弱でほぼブラックな投資商品を金儲けのためだけに販売してきた事実を認めたようなものです。
【2018/02/06 CNBC】Credit Suisse says it will end trading in the volatility security that's become the focus of this sell-off

 

 NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETNというVIXショートETNを組成した野村證券も、クレディ・スイス同様に同ETNの早期償還(強制売却)を公表しました。クレディ・スイスと同様な早期償還条項の権利行使をしたためです。NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETNは一日で96%も下がっていました。

 

 VIXショートETPは個人投資家も取引可能なこともあり、個人投資家にも被害が出ている模様です。

 

 今回の相場の動揺は「VIXショートしていたリスクに疎い投資家を市場から排除」する結果をもたらしたというのが、最も意味のある結論かもしれません。

 

 これによりVIXショートを下支えする材料が一つ消え去ったことになります。言い換えれば、以前よりもボラチリティが急増しやすい相場環境となったといえるでしょう。

 

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債券市場で同じ大量売りが起こると血に染まる

 今回、ボラティリティ・ターゲット投資家の株式売却に端を発したとされる世界相場の動揺は、個人的にはまだまだ「序の口」、いずれこんな動揺では済まない出来事が起こると思っています。

 

 今回はまず金額が少ないです。モルガンスタンレーによれば主に年金保険ファンドが100-150億ドルの株式売り注文を出したとのことですが、この数字はボラティリティ・ターゲット投資家のレバレッジ込みの投資総額と比較すればまだまだ少ないです。

 

 以前にも書いたとおり、IMFによるとボラティリティ・ターゲット投資家の運用資産総額は8200億ドルであり、ここにレバレッジが掛かるので1.64兆ドルの資金が世界の市場に投入されている可能性があるのです。
[2017/11/18]ボラティリティ・ターゲット戦略は株式・債券市場を一瞬で破壊する

 

 このうち株式投資額は1兆ドル、内訳は米国株とその他国々の株が5000億ドルずつだと見られます。

 

ボラティリティ・ターゲット戦略をとるファンドの運用資産総額と、理論上のレバレッジ比率

画像ソース:IMF

 

ボラティリティ・ターゲット・ファンドは、VIX指数の急増とともに保有株式を大きく減らしてきた

画像ソース:IMF

 

 過去、2015年第2四半期→第3四半期に掛けて、株式ボラティリティ(VIX指数)が20→40と一気に2倍も上昇しました。このとき、ボラティリティ・ターゲット投資家は保有株式を半減させました(上図)。

 

 2月5日にVIX指数が2倍超に急騰したわけです。今後VIX指数が再び以前のレベルにまで沈静化しなければ、過去の経験を踏まえて、ボラティリティ・ターゲット投資家が5000億ドルの株式を売却してもおかしくないのです。

 

 モルガン・スタンレーも、今週中に年金保険ファンドによる200-300億ドル規模の株式売却が毎日起こってもおかしくないと試算しています。

 

年金保険ファンド_アニュイティによる2月5日週の株式売却額試算

画像ソース:Zero Hedge

 

 今回の4.6%のダウ平均株価下落、過去最大の1175ドルの下げ幅では済まない事態が近いうちに起こっても、それは想定内の出来事だとして受け止めなければならないでしょう(それが一日で起きるとは限りませんが、少し広い時間幅で見たときにとんでもない下げ幅に達するかもしれません)。

 

 もう一つ、今回は株式相場が大きく下がりましたが、債券相場は急騰しました。ボラティリティ・ターゲット投資家が株式売却の資金を債券市場に流し込んだためだとみられます。

 

リスクパリティファンドが株式売却資金を債券市場に流し込んだ

画像ソース:Zero Hedge

 

 ターゲット・ボラティリティ投資家は債券にも投資しており、IMFのデータをみるかぎりレバレッジも含めて6000億ドル程度債券を保有している可能性があります。

 

 ただでさえ今年に入ってから先進国の長期金利や米国の短期金利が上昇傾向にあり、インフレ期待やパウエル新議長のもとでのFed金融政策に市場関係者が不安視している最中です。米国10年債の変動率も今年に入り上昇傾向にあります。

 

 よってターゲット・ボラティリティ投資家による債券大量売却近々が起こっても不思議ではないのです。もし債券大量売却が起これば、金利急騰はもちろん、債券市場は大パニックに陥るかもしれません。

 

 リーマンショック以後はミューチュアル・ファンドによるハイイールド債投資がものすごく増えており、ターゲット・ボラティリティ投資家のなかにもハイイールド債を多く抱える者がいるかもしれません。そうだとすれば、ハイイールド債の大量売却がいずれ起こってもおかしくないわけです。

 

ミューチュアル・ファンドによるハイ・イールド債の保有割合の推移

 

 前回の記事に書いたように、リーマンショック後はハイイールド債市場は流動性に脆弱な構造へと劣化しています。さらに少なくとも米国ハイイールド債市場では"144A for life"という投資家保護のない高利回りの長期債である、SEC未登録の闇証券が席巻しており、絶対に足を踏み入れてはいけない殺伐とした領域と化していると考えられます。
[2018/02/03]144A for life -米国ハイイールド債市場を席巻する破滅的闇証券-

 

ブルームバーグ・バークレイズ米国ハイイールド債指数の構成要素のうち4割近くが144A for life

画像ソース:Loomis Sayles

 

 金利上昇局面では売りが殺到したハイイールド債の購入者が現れず、そのままハイイールド債市場が崩壊していく未来が目に見えています。

 

 ハイイールド債市場の流動性ショックが顕在化し、それが他の市場にも波及し流動性ショックが顕在化したり、さらなる金利上昇を招いて企業や投資家の資金繰りが苦しくなるという二次・三次・さらなる高次の被害が出てもおかしくないわけです。

 

 今回は株式という流動性の高い市場での大量売りだったからまだしも、流動性が相対的に低い債券、とりわけハイイールド債市場で大量売りが起こったら、今回の動揺では済まないでしょう。

 

**********

 

 昨年11月の前半、日経平均が15日まで続落し、9~15日までに日経平均は885円(3.86%)の下げを記録しました。海外のボラティリティ・ターゲット投資家が、日本株のボラティリティ上昇予測に伴い日本株を売却したことが理由であると言われています。

 

 今回の世界同時株安は、昨年11月に起こった日本株の下落の進化系であると言えそうです。

 

 最初に書いたように、今回の相場の動揺は「VIXショートしていたリスクに疎い投資家を市場から排除」する結果をもたらし、VIXショートを下支えする材料が一つ消え去った、つまり以前よりもボラチリティが急増しやすい相場環境が生まれたと見るのが現実的です。

 

 ボラティリティ・ターゲット投資家による世界相場の動揺には、さらなる進化系が存在するのです...!

 

 まだまだ、相場の浄化は始まったばかりです。こんなもので驚いてはいけませんぞ。

 

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