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バブル崩壊は自分で気づく必要があるもの・輝きを増すゴールド

2019/05/21

 

 今回は株式市場とゴールド市場についてみていきます。

 

 短期的には米国株高と金価格安が進んでいる印象を受けてきた方が多いかもしれませんが、今月6日からの米中貿易戦争の再過熱化への懸念に伴う株価下落により、目線を変えた際の真逆の景色がやや鮮明化されました。

 

 昨年の段階で分水嶺を越えており、バブル崩壊の初期段階がすでに始まっている可能性があります。

 

[アボマガ No.66]バブル崩壊は自分で気づく必要があるもの[アボマガ No.67]世界暗黒化のなかで輝きを増すゴールドの記事(一部)です。2019/05/14、05/16に配信したものです。

 

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すでに先進国株のバブル崩壊は始まっているか

 早速世界の株式とゴールドの値動きを見てみましょう。下のチャートは株価が急落し始めた昨年10月1日から現在までの世界の株価指数と金価格(ゴールドETFの価格)のチャートです。

 

 赤線が金価格で、その他はすべて各国の株価指数です(青:米国、緑:日本、桃:英国、黄:ドイツ、水色:中国)。

 

 

 

 今回の米中貿易戦争再過熱への懸念による株安により、昨年10月1日から現在までのリターンはゴールドが最も高い+8.8%となりました。

 

 今年2月20日からの金価格の軟調な推移から受ける印象とは裏腹に、世界株が急落し始めた昨年10月1日から現在まで、ゴールドは世界株をアウトパフォームしてきたのです。

 

 一方で米国株、ドイツ株、英国株、日本株という先進国株はすべてマイナスリターンとなってしまいました。

 

 日本株の昨年10月1日からのリターンは-11.5%であり、すでに本格的なバブル崩壊フェーズに入っているのかもしれません(メディアは一切報道しませんが)。ただ日本株の推移は特に重要ではありません。

 

 重要なのは、今回の米中貿易戦争の再過熱化で、昨年10月1日からの米国株のリターンがマイナス化したことです(-3.5%)。何故なら昨年10月初から現在まで米国株は下落サイクルに入っていない、まだまだ上昇の余地があるという期待を、株高優先と思われていたトランプ自身が潰したためです。

 

 別の表現をすれば、現在までバブルが継続しているのか崩壊が始まっているのか非常に判断が難しい状況でしたが、トランプはバブルが継続しているとの見方を大きく後退させたわけです。

 

中国株の荒々しい値動きはレバレッジによるもの

 値動きが最も特徴的なのが中国株です。

 

 米中貿易戦争がやや落ち着いたタイミングに中国株が大幅反発した理由は、中国の金融緩和政策の影響が市場に波及したためだとみられます。

 

 中国人民銀行は主に中小企業への融資を銀行に促すために、昨年から金融緩和策を実施してきました。

 

 今年の第一四半期の中国の融資総額は8.2兆元で、前年同期比40%の上昇です。

 

 

 こうした緩和マネーの一部が中国株式市場にも流入してきたとみられます。実際、今年2月、中国株が急上昇した月にマージンローンが突然増えました。マージンローンの上昇幅は2015年以来です。2015年は中国株が暴騰→暴落した年に当たります。

 

 余談ですが、トラスト商品等にも緩和マネーが流入し、17年以降の中国当局の規制により衰退を続けてきたシャドーバンキングも少し息を吹き返しているようです。

 

 

 また今年4月19日をピークに中国株は下落してきましたが、4月の新規人民元建て融資は約1兆元と3月の1.69兆元を6900兆元下回り、融資の勢いが弱まった時期と並行しています。
[2019/05/09 朝日新聞]国の4月新規人民元建て融資、1.02兆元に減少 予想下回る

 

 このように、中国人民銀行の金融緩和政策を根源とする中国株へのレバレッジを掛けた投資熱の高まりが、今年以降の中国株の荒々しい動きの原動力となったと考えられます。

 

 中国政府は2020年までの10年間に経済成長率を2倍にするという目標達成のために、今後もしばらく金融緩和策を続けるでしょう。

 

 果たして金融緩和策で中国株を押し上げ続けられるのかどうか不透明です。中国にはGDPの300%近い負債が積み重なっていますし、2023年の上半期ごろまで毎四半期ごとに5000億元~1.15兆元程度のオンショア社債が満期を迎えますから。

 

ゴールド需要の勢いが増している

 続いてゴールドの需給をみてみます。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が公表した情報によれば、昨年一年間のゴールドの需要は前年比4%増でしたが、今期はそれを上回る7%もの伸びを見せました。

 

 昨年一年間は「中央銀行の爆買い」と「欧米投資家による金ETFの大幅需要減」という二極構造のなか、金需要は前年比4%伸びました。

 

 今期は「中央銀行の爆買い」に加え「欧米投資家による金ETFの需要増」が加わり、金需要が大きく伸びたのです。

 

 ・・・

 

 この一時要因を除けば中央銀行の1Q19の金需要は187.5トンで前年同期比116%増です。また第一四半期としては、少なくとも2013年以降で最大の需要増となります。

 

 新興国中央銀行による、準備資産の米ドル占有率を減らし、ゴールドの割合を増やす準備資産多様化戦略が大きく進展しています。

 

中央銀行の金需要推移

 

 金ETF需要も伸びました。今期は40.3トンで、前年同期比49%増です。昨年金ETF需要は前年比137.5トンのマイナスで、この大幅な需要減が昨年一年間の金需要の足を引っ張りましたが、今期は逆に購入が増えました。

 

 金ETFの購入者の大半は欧米投資家ですが、昨年暮れから今年1月までの米国政府機関閉鎖懸念、欧州の政治問題(ポピュリズムの台頭など)への懸念といった、主に政治的な不透明要因が金ETF需要増につながったようです。

 

 実際、1月に大きな買いが起き、米国政府機関閉鎖の問題が解消された2月に米国投資家によって一部が売られました。

 

 昨年10-12月の米国株下落期間(特に月間で世界恐慌以来の下落率を記録した12月)に欧米投資家は金ETFに逃げ道を求めましたし、マクロ的な不透明要因が欧米投資家の金需要を引き続き左右しそうです。

 

金ETF需要の推移。紫:北米、緑:欧州、赤:アジア

 

 [アボマガ No.52 53]で、新興国も欧米投資家も、「有事の金」という考えで一致しているのでは?と書きましたが、現在もこの見方は通用するようです。

 

 今後の世界の動乱いかんによっては、金需要の伸びはまだまだ増える余地がありそうです。

 

世界暗黒化のなかで輝きを増すゴールド

 現在、新興国の中央銀行のみならず、欧米や中東の一般の人々も金購入を増やしており、不透明な将来に対する危機意識が金需要を着実に下支えしていると考えられます。

 

 不透明な将来の根底には米国が今後世界有数のエネルギー輸出国に急成長することで、米国が中東によるエネルギー覇権に乗っかって米ドルをばら撒く体制から、中東のエネルギー覇権を奪ってエネルギー輸出を通じて米ドルを回収する体制に様変わりしている流れがあります。

 

 これは歴史的な大々的な変化でありますから、不透明な将来は長続きせざるを得ません。1年、2年で峠を越えるなどという甘い話ではありません。10年続いても不思議ではありません。

 

 今後の金価格も、短期変動を無視すれば、有事の金としての需要が世界的に高まることで着実に上昇していくでしょう。

 

 最近ゴールドを売っているのは中国人や欧米投資家、それに日本人くらいです。短期的なリターンを追い求めたり、危機意識を持とうとしなかったり、メディアによる洗脳が甚だしい国々の人々が売っているだけです。

 

1Q19に金地金・コインの需要を減らしたのは、政府・メディアによる洗脳が甚だしい日本と中国くらいである

 

 現在の金相場は次のような状況にあると考えられます。

 

  • 金需給のタイト化の勢いが増している
  • 金需要の伸びの根底には不透明な将来への世界的な危機意識の高まりがある
  • 実際、すでに通貨面で歴史的な変化が進展中であり、今後10年間は不透明な将来が続いても不思議ではない
  • にも関わらず、金価格にはあまり織り込まれていない

 

 現在のドル建て金価格はあまりにも過小評価だと考えています。

 

 単純に将来の不透明さが進み、資産保全や株価下落リスクヘッジ等の目的で金需要が伸びるだけではありません。

 

 新興国の中央銀行が準備資産の一部をゴールドにシフトしているということは、将来の貿易取引等におけるゴールド決済需要(通貨需要)が長期的に伸びることを示唆します。

 

 1970-80年代のドルの不換紙幣化や金融グローバリゼーションの流れのなかで失墜してきたゴールドの決済需要復活により、新たなゴールド需要が再び掘り起こされるわけです。

 

 

 今年秋から「米国連邦政府の2020年度予算案が無事成立するかどうか(9月30日までに成立しなければ再び一部政府機関が閉鎖)」「Fedが量的金融引き締め終了、場合によっては利下げ再開」「英国のEU離脱問題の再燃」「ECBのドラギ総裁他複数の幹部が退任、新体制へ」といった出来事が控えます。

 

 米中貿易戦争で米国が追加関税の第4弾(3000億ドル相当)を発動する可能性もいまだ残されています。

 

 債券市場やレバレッジドローン市場の崩壊等、世界金融危機リスクは今後も残り続けます。

 

 原油・ガス供給の力関係がOPEC一強から、米国・カタール(カタールは今年OPECから脱退済み)・イラン等の影響力が強まる多極体制へとシフトし、石油ショックや高インフレの再来が懸念されます(1970年代の石油ショック勃発前に、石油覇権が石油メジャーからOPECへとシフトしました)。

 

 デフレ、高インフレ、スタグフレーション、いずれも金価格にプラスに働くことが期待されます。

 

 そして将来的には、今後の経済成長の牽引役となるであろう新興国を中心に、ゴールド決済需要の成長も見込まれます。

 

 短・中・長期的に金価格が上昇する(ゴールド資産保有者の購買力が上昇する)流ればかりが山積みです。

 

画像ソース(一部)

[2019/04/12 ING]China: RRR cut needed to sustain credit growth
[2019/02/24 Bloomberg]Debt Is Roaring Back in China
[2019/05/02 World Gold Council]Gold Demand Trends Q1 2019
[GOLDHUB]Global gold-backed ETF holdings and flows

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