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FRBが3月利上げしそうですね。米国経済が回復していないなかで。

2017/03/07

 

 米国の3月の利上げが確実視されてきていますね。

 

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 3月14日-15日に開かれるFOMC後に、イエレン議長は利上げを発表すると見込まれています。当初は3月の利上げ観測は低く利上げ確率も半分に満たなかったのですが、ニューヨーク連銀総裁等の利上げ容認発言等もあり、急激に利上げ観測が高まりました。

 

 イエレン議長は3月3日に単に利上げをするだけではなく、今後の経済見通しに問題がなければ近年よりも利上げペースを早める旨を話しています。フィッシャー副総裁も事実上の利上げ容認発言をしています。
 【Bloomberg】Yellen Says March Hike 'Likely Appropriate' If Progress Persists

 

 前回のFOMC議事録を見てもFOMCのメンバーの多くは労働市場とインフレ率が現状(1月当時)の期待通りに推移していれば、早期の利上げが妥当だとも話しており、結果的には既定路線の利上げになりそうです。

 

 米国のインフレ率は2016年7月から上昇しており、2017年1月のCPIは2.5%にも達しています。その要因は原油価格の上昇に伴うガソリン等の価格の上昇です。

 

米国インフレ率

画像ソース:U.S. Bureau of Labor Statistics

 

 失業率も2017年1月は4.8%で、リーマンショック以降の最低水準を維持していますので、確かに利上げに踏み切るのはFRBの論理としては妥当なのかなと思います。

米国失業率

画像ソース:U.S. Bureau of Labor Statistics

 

 とはいえ利上げするにしても、米国経済が回復途上にあるから利上げをするとは言えない状況です。下図は現在の労働市場の動向を2007年12月のリーマンショック前と比較した図です。青線が2007年12月、オレンジ線が2017年1月です。重要なのは左半分の薄オレンジのUtilizationと紫のWagesの部分です。

 

 UtilizationとWagesの領域を見ると、現在は2007年12月よりも悪い状況であることがわかります。以前よりも労働参加の割合と賃金の上昇率がともに下がっているわけです。失業率は前回と同様に低いレベルにはありますが、25-54歳までの雇用労働者の割合は少なく、求職活動をしている人も減っており、さらに雇用されていたとしても大して賃金をもらえない状況にあります。

 

米国の雇用市場比較

画像ソース:Investing.com

 

 下図は1990年代後半のドットコムバブルのときと2012-16年までの経済指標を比べたものです。現在の株式市場はいくつかの指標でドットコムバブルの頃を上回っていますが、経済指標を見ると明らかに現在の方が悪いです。

 

ドットコムバブルの頃と比較した現在までの経済指標

画像ソース:Market Watch

 

 リーマンショック以降、家計の所得の中間値は減少ないしはフラット、貧困者の総数は大きく上昇した後高止まりの状況が続いています。

 

 インフレ率も経済活動が活発化して賃金上昇が起こったことが要因ではなく、単に原油価格の上昇によって増えているだけです。

 

 こうしたことから、FRBの論理として利上げをすることが妥当だとしても、実際の経済状況からみると利上げはいずれ米国経済や市場に悪影響を与えるものと思われます。

 

 FRBは3月15日に利上げをすることになりそうですが、この日は連邦債務の上限引き上げ期限でもあり、オランダ総選挙投票日でもあります。3月15日に大きなイベントが重なっています。市場に何らかの動揺を与え、その後の市場心理にも影響を与える可能性があります。

 

 またFRBはトランプ政権や米議会と真っ向から敵対しており、すでに互いの権力闘争の狼煙はあがっています。現在FRBはバランスシートの縮小という金融緩和の出口戦略本格化に向けた話し合いも行われていますが、イエレン議長の任期が来年2月に切れることもあり、短い時間の中でFRBが権力闘争との兼ね合いで大胆な行動に出る可能性も無視できません。

 

 今回の利上げ自体にそこまで大きなインパクトはないかもしれませんが、今後の(特に金融面での)世界的動乱の本格的な合図になるかもしれません。

 

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