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暗号通貨に国債市場、日本円が抱える内憂外患

2017/09/21

 

【2017/09/19 日本経済新聞】みずほ、「Jコイン」創設表明 他銀とも連携目指す

 

みずほフィナンシャルグループの山田大介常務執行役員は20日、円と等価交換できる仮想通貨「Jコイン(仮称)」を創設する考えを明らかにした。「全ての邦銀が大同団結すべきだ」と述べ、他メガバンクや地銀などとの共同発行を目指す。

 

Jコインは日本円とペッグ(固定)し、ビットコインのように価格が変動しない。プリペイド式の電子マネーの良さを取り込み、信頼性が高く、全国で使える仕組みにする。2020年までに始める構想だ。

 

日本は海外に比べ決済に占める現金比率が高い。ATM網の維持費用などで金融業界全体で1兆円の費用がかかっているとの試算がある。Jコインが普及すれば、こうしたコストが減り、個人利用者の送金手数料やATM手数料を軽減できる。山田常務は「キャッシュレスの果実を利用者に還元することは大いに可能」と述べた。

 

 日本発の暗号通貨や暗号通貨為替システム導入の動きが徐々に表面化するなか、日銀の金融政策はついに国債市場の機能停止の瀬戸際にまで追い込んでしまった。日本円が抱える内憂外患は確実に悪化している。

 

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日本の暗号通貨推進の動き

 日本でも民間銀行による独自の暗号通貨発行や、暗号通貨同士の為替プラットフォームの実現に向けた動きが進んでいるようですね。

 

 日本の暗号通貨の発行の動きについては、MUFGコイン、SBIコイン、みずほコインなど、主に企業内の共通通貨として利用されると考えられている暗号通貨に関するものでした。

 

 今回発表されたJコインは、企業内決済ではなく、企業間や個人間での決済利用があらかじめ想定されていることが、いままで発表されてきた日本の暗号通貨とは一線を画すようです。

 

 「1Jコイン=1円」という固定レートとなる予定なので、ビットコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリウムといった、値動きが荒々しく半ばギャンブル目的の暗号通貨とは異なり、決済目的で利用する企業や個人が増えるかもしれませんね。

 

 

 いくら様々な暗号通貨が登場しても、それが互いに交換可能であったり、各暗号通貨が至る場所の至る取引で利用可能となるための決済インフラの構築が進まなければ、普及はしません。

 

 しかし暗号通貨決済が、場所や取引種類を問わず、いつでもどこでも可能となるための基盤づくりはすでに進行しているようです。

 

 現在、SBIホールディングスとリップル社(暗号通貨リップルの開発企業)の合弁会社であるSBI Ripple Asiaは、暗号通貨の基盤技術であるブロックチェーン技術を利用した、内外為替一元化システム(RCクラウド)を開発しています。

 

 これは「Ripple Solution」という、リップル社が開発した外国為替プラットフォームをベースに、日本の内国為替処理も一元的に行うことが可能なクラウドシステムのことです。

 

 ※以下は個人的な憶測も含まれているのでご注意ください。書いたとおりのことが実現しない可能性もあります。

 

 Ripple Solutionの仕組みこちらの動画を少し見ましたが、この為替システムが実現すれば、例えば日本円をJコインと交換したり、JコインをMUFGコインと交換することもできるかもしれませんし、Jコインを米国に米ドルとして送金することもできるようになるかもしれません。

 

 またこの為替システムを決済処理に加えることにより、例えばビットコイン用決済端末でもJコインでの支払いが可能となるかもしれません。

 

 内外為替一元化システムが導入されることで、通貨や国境という垣根を越えた、高速で低コストな決済や送金の実現化が期待されます。

 

RCクラウド

画像ソース:Ripple

 

 その副産物として、JコインやMUFGコインといった日本発の暗号通貨同士の交換ができるようになるでしょうし、決済端末の種類によらずにどの暗号通貨でも決済が可能となることが期待されます。

 

 そうなれば暗号通貨決済の利便性は確実に増しますから、高速・低コストがウリの暗号通貨決済は日本で大きく広がっていくかもしれませんね。

 

 現在、この新システムの開発や実用化を支援する「内外為替一元化コンソーシアム」には、今年7月時点で61の国内金融機関が参加しています。

 

 内外為替一元化システムが稼動し、問題なく動けば、日本における決済活動は革新的に変わるかもしれません。

 

 

日本円にとって暗号通貨は外患でしかない

 日本でも着実に動いている、暗号通貨導入の流れ。しかしもちろん現時点では100%普及すると断言することはできません。何か重大なセキュリティ上の欠陥が見つかったり、実用後に思いもよらないシステムトラブルが生じるなどして、期待はずれの結果に終わる可能性もゼロではありません。

 

 しかしほぼ確実に言えることがあります。それは現在の暗号通貨導入の流れは「日本円にとっていくらでも悪い方向には流れるが、良い方向に流れることはない」というものです。

 

 真っ先に考えないといけないのは、日本における暗号通貨の出現により、日本円が通貨競争に巻き込まれることで日本円のシェアが確実に低下することです。

 

 日本円は現時点での日本の唯一の法定通貨で、日本国内での決済シェアを独占してきましたから、Jコイン等との通貨競争に巻き込まれてシェアが食われることはあっても、増えることはあり得ません。

 

 暗号通貨を利用した取引はスピード、コスト面で日本円を大きく上回ることが予想されますから、暗号通貨取引の使い勝手や安全性、安定性に問題ないかぎり、Jコイン等の需要は時間とともに加速度的に増えていく可能性があります。つまり日本円のシェアが結構食われることは可能性としてあるわけです。

 

 シェアの食われ具合は予測できないにしても、日本円が国内通貨としてのシェアの一部を奪われることはほぼ間違いないのです。少なくともシェアが増えることは絶対にあり得ません。

 

 一方、暗号通貨の登場により日本円との共存共栄が図られ、相互作用により日本円の需要が増える可能性も考えられなくはないですが、あまり期待できそうにありません。

 

 日本円をコントロールする日銀の金融システムは古いシステムで、新型のブロックチェーン技術を基盤とした金融システムとはまったくの別物です。

 

 リップル(XRP)のように日本円や米ドルといった旧来のシステム上の通貨を仲介することは技術的に可能となるかもしれませんが(ブリッジ通貨)、何らかの形で旧来のシステム上の処理が発生し、余分な時間やコストを費やすことは避けられないでしょう。

 

 取引のスピード、コスト、柔軟性といったパフォーマンスは、日本円を使わずに暗号通貨だけで完結させたほうが高くなるでしょうから、日本円と暗号通貨の相乗効果はあまり期待できないと個人的に思っています。

 

 暗号通貨の登場により、日本円はこれら暗号通貨との「競争」や「共存共栄」が発生しますが、上のように個人的には「競争は免れない」が「前向きな共存共栄はあまり期待できない」と考えます。

 

 つまり日本円の価値は相対的に減少してしまう蓋然性が高いと思っています。

 

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国債市場の機能不全という、日本円の信用に関わる内憂

 日本発の暗号通貨(特にJコイン)やRCクラウドの将来的な導入は、日本円にとって外患であることは間違いありません。

 

 しかしそれだけではなく日本円は「構造的問題」という内憂を抱えています。

 

 日銀は量的金融緩和政策を通じて日本円をジャブジャブ刷ってきたのはご承知の通りです。

 

 実はいま、日銀金融政策の弊害がいよいよ国債市場の機能不全という形で生じる瀬戸際にいます。

 

 先日公表された日銀の今年4-6月分の資金循環統計の国債等保有者内訳の数字は、かなりショッキングなものでした。

 

 これまで国債の保有を大きく減らすことのなかった保険・年金基金が、2017年に入って国債保有を減らし始め、その減少が止まらないのです。いままで資産の4割を国債で保有してきた生保が、利回りを求めて社債や外債にシフトし始めたことが背景にありそうです。また公的年金も今年に入って再び国債保有を減らし始めています。

 

 これで銀行含め国内の機関投資家がすべて国債を大きく放出し始めたことになります。

 

 にも関わらず、国債の買い手である日銀、海外投資家の国債の購入ペースは、ここ1年でみるみるうちに減ってきています。

 

 全保有者の国債等の保有残高は2018年第二四半期をピークに下がり始めており、ここ3四半期はほぼフラットです。

 

 つまり市中の国債はほとんど尽きており、保険や年金基金の国債放出により、かろうじて日銀の国債買い入れが維持出来ている、それでも買い入れペースは下がっている、というわけです。

 

 これを国債市場の機能停止が間近であると表現する以外に、どのように表現すればよいのでしょうか。

 

日銀資金循環統計_国債等の保有者内訳

画像ソース:日銀

 

 数字をみるかぎり、昨今の日銀金融政策への反対票を投じ続けてきた、木内前日銀審議委員が述べた国債買い入れは「来年中ごろに限界に達する可能性」は現実的なものとなりそうです。

 

 黒田氏の総裁就任以来、新発10年国債の取引不成立は、2014年4月14日、2015年9月24日、2016年10月19日、2017年5月1日-2日午前、2017年6月29日と5.5日も起こっています。

 

 来年4月に黒田さんの総裁任期が切れる前に、国債市場の異常は今後表面化される予感がします。

 

 

 国債市場の機能の健全性は、日本円の信用そのものに直結する話です。日本円金融システムのドンである日銀が、自らの金融政策で国債市場を機能不全直前に陥れ、日本円の信用毀損のリスクさえ高めているという、日本円に関する構造的な問題、内憂がすでに顕在化しているのです。

 

 Jコインという、日本円の代替暗号通貨が出てくれば、当然日本円に信用できない人々の受け皿になることも考えられます。

 

 遅くとも2021年というJコイン導入予定年の一年後までには、資産防衛を済ませておかないと、大変なことになるかもしれませんね。早いに越したことはありませんが。

おわりに

 最後に、日銀の金融政策決定会合が本日行われましたので、それに関することを簡潔に述べて終わりにします。

 

 金融政策は維持でしたが、今回から審議委員に加わった一人である片岡剛士氏は反対票を投じました。

 

 反対理由は、金融緩和効果が「2%の物価上昇率を達成するには不十分」だとするものです。片岡氏はリフレ派ですから、これは「いまの金融緩和政策では足りない。もっと強烈な金融緩和政策を実行するべきだ」という意味です。

 

 片岡氏は日銀審議委員に加わる前は三菱UFJリサーチ&コンサルティングに務めており、MUFGコイン普及のために、日本円の価値毀損につながりうる金融緩和政策を推進することは考えられる、というのは以前私が述べたとおりです。

 

[2017/07/09]相変わらず「自身の出口戦略」にしか興味のない日銀・黒田総裁

 

 日本の場合は米国や欧州と違い、MUFGコインという中央銀行以外の民間銀行発行の暗号通貨が来年4月に一般向けに解禁予定であるという特殊事情も考える必要があるだろう。

 

 今月新たに日銀審議委員に加わる2名はともにMUFG出身者であるから、MUFGコインを広めるために日本円を結果的に弱める方向に作用する意見を出す可能性は考えなければならない。

 

 またJコインといった、他の日本発の暗号通貨にとっても、日本円の毀損はシェアを伸ばす絶好のチャンスとなります。

 

 そうそう、日銀もまた、暗号通貨の導入を検討し始めているようですね。日銀幹部はプーチンのイーサリウム支持に目が釘付けとなったとか。

 

 日銀が暗号通貨版「新円」を導入するに際し、現在の日本円の債権債務問題はどうにか清算しておきたいでしょう。現在の日本円の負の部分は切り離し、暗号通貨版新円を新装開店したいはずです。

 

 そう考えると、日銀がどうにかして日本円の価値を毀損させる方向に舵を切るのは、日銀にとってもメリットがある行動といえなくもありません。

 

 また1000兆円を超える債務を抱える政府にとっても、日本円の価値毀損は実質的な債務減額となりますので、政府にとってメリットがあります。

 

 つまり日本円の価値毀損は、場合によっては政府・日銀・金融機関の利益にかなうとも言えなくもありません。

 

 そうした目線を持っておくのも、通貨革命時代には大切かもしれません。

 

 中央銀行の金融政策の一番の目的は「物価の安定を通じた金融システムの安定性確保」であり、「家計が保有する資産価値の保護」などという文言は政策目標に一言も書かれていないことを、お忘れなく。

 

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画像ソース:Zero Hedge

 

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