ピーポじゃないよ!ヴィーヴォだよ!
2018/10/11
ブラジルのテレコム銘柄を興味本位で分析してみた。それだけ
の記事(一部)です。投資は自己責任で行って下さい。
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今年に入り新興国相場の低迷が続きましたが、9月初旬ごろを底に少し落ち着きを取り戻しています。
下図はいくつかの新興国通貨の米ドルとの為替の動きですが(上昇:新興国通貨安)、9月初旬ごろから新興国通貨安の動きが反転したことがわかります。
しかしそれでも年初来で多くの新興国通貨は対ドルで2桁パーセント下落している状況が続いています。アジア中心に新興国債務が多く、少なくとも2019年終わりまでは先進国中央銀行の金融引き締めやテーパリングの流れが続きますから、新興国はまだまだ注意が必要です。
画像ソース: YAHOO! FINANCE
新興国相場が弱いことから何か新興国株式で長期投資に向いている銘柄がないかどうか探していますが、現時点で特に目立つのはテレコム銘柄の配当利回りの高さです。
「アボマガNo.4、5」ではテレコム株の配当利回りが高いぞということで、・・・について触れました。それぞれ当時の配当利回りは6.12%、7.54%、4.51%でした。
しかし目線を広げると、世界のテレコム株は配当利回りが7%を超える銘柄がザラにあります。
最近、新興国のテレコム銘柄で何か良さそうなのがないかちょっと調べてみました。あまりに変な銘柄を調べても仕方ないので、MSCI新興国テレコム指数の上位10銘柄から選びました。
画像ソース: MSCI
そのなかで今回は、ブラジルのテレフォニカ・ブラジル(通称:ヴィーヴォ)について調べてみました。配当利回りが高く、多くの設備投資が必要だった昨今の新興国テレコム企業のなかでも珍しくフリー・キャッシュ・フロー(FCF)が常にプラスで、またブラジルのテレコムとはどんなものなのか気になったためです。
ヴィーヴォの事業領域はブラジルのみです。ポートフォリオの地理的分散という意味で、あまりに多額を投資するべき銘柄ではないと思います。ポートフォリオのラテンアメリカ銘柄の割合を少し増やしたいときに購入を考えたほうが良さそうです。
また、配当利回りは高いと言えば高いのですが、レヤル安や記事執筆中の株価上昇の影響で、現在の為替レートだと配当利回りは6.9%程度でやや物足りない水準になってしまいました。
後述するように、ヴィーヴォは他にも購入前に少し様子見をしたほうが良い要素がありますので、購入するにしても少し時間を置いたほうが良いかもしれません。
あと、最近は当メルマガで銘柄分析を行うようにもなりましたが、一番の目的は皆さんに長期投資の分析に関する目線をシェアすることで、「皆さん自身の銘柄探しの能力アップ」に寄与したいためです。要は皆さんのサバイバル能力のアップが目的です。
今回もそのような目線で見ていただければ幸いです。個人的には、皆さんにはヴィーヴォに投資して欲しいというよりも、テレコム企業の分析例の一つを皆さんに提示するので、それを踏み台に皆さんにとって良さそうな銘柄を「皆さん自身で」探せるようになって欲しいです。
ヴィーヴォの業績とは関係なく株価が下がってきた
まずは簡単にヴィーヴォ(テレフォニカ・ブラジル)について説明します。
ヴィーヴォはブラジル最大の通信事業者です。NYSEに上場しています。正式な企業名はテレフォニカ・ブラジルでヴィーヴォはブランド名です。しかし企業の決算書を見てもヴィーヴォという名称で通じています。ティッカーもVIVです。
元々はブラジル国営の通信事業者であったテレブラスの一部でしたが、1998年にテレブラスは12の企業に分割・民営化され、その後ポルトガルテレコムやスペインのテレフォニカの合弁のもと、複数の携帯電話事業会社が合併していまのヴィーヴォが形成されました。
現在ヴィーヴォはスペインのテレフォニカの子会社で、テレフォニカは傘下の子会社による間接所有も含め、ヴィーヴォの発行済み株式数の約73%を保有しています。
【Telefonica】ヴィーヴォの株主構成
なお、テレフォニカはブラジル含めラテンアメリカ諸国で事業を展開していますが、ここでは紹介しません。欧州での収益の割合が多いこと、欧州のテレコム株はヴォーダフォンなど他にも銘柄が存在すること、テレフォニカが多額の借入で利払い費が大きいためです。
ヴィーヴォの株価は2007年夏をピークに、現在まで趨勢的に下落してきました。ヴィーヴォの2007年以降の株価は大体1株あたり純利益(EPS)の推移に沿って動いています。
ヴィーヴォの株価は2012年はじめ、2014年中ごろ、2018年はじめの3回に急落していることがわかります。
このうち最初の2回の急落は新株発行が原因です。新株発行でヴィーヴォの純資産はそれぞれ317億レアル、236億レアル増えました。最初の新株発行は設備投資拡大のための増資で、2回目は設備投資拡大のための増資と買収によって生じた新株発行です。
ヴィーヴォは2015年にブラジルの通信事業者グローバル・ヴィレッジ・テレコム(GVT)を約72億ユーロで買収し、顧客数および売上げでブラジル最大の通信事業者になりました。このとき新株発行されました。
【Telefonica】Telefonica closes the acquisition of GVT and becomes the leading Brazilian integrated operator
【2014/09/19 ZDNet】Telefonica expands Brazil presence with ?7.2bn GVT acquisition
一方で2018年の急落はヴィーヴォの問題ではなく、新興国相場の下落やブラジルの大統領選の政局不安に伴うレアル下落の影響がヴィーヴォの株価に波及したものです。
※なお、今月7日の大統領選では決着つかず28日の決選投票に持ち越されましたが、減税や国有企業の民営化など市場寄りの政策を掲げるボルソナロ氏の勝利を市場が確信したため、ヴィーヴォの株価やレアルが上昇しました。
そのため、これまで15-18倍程度あったPERも急落し、現在の為替レートと今年のEPS予想から算出される予想PERは10.4倍程度です。
配当利回りは現在の為替レートで6.9%程度です。株価下落と増配という2つの配当利回り上昇要因があったものの、レアル安が進みドル建ての配当利回りを大きく押し下げてしまいました。
コンセンサスをみると、2018年に営業利益が27%増とのことです。その後は芳しくないですが、2020年までの3年間のトータルで営業利益は24%増えるとの見通しです。
Q218の業績発表を機にヴィーヴォの1株あたり利益のコンセンサスは大きく上方修正されました。しかし2019年のコンセンサスは悪化しており、ブラジルや新興国相場の不安定化もあって、ヴィーヴォの株価は低迷したままです。
4G、4G+への設備投資の成果が出てきているヴィーヴォ
続いてヴィーヴォの業績や事業についてみます。
(以下省略)
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