インサイダーたちによる爆売りブーム...米国株式市場のバブルの宴のフィナーレが迫っている

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インサイダーたちによる爆売りブーム...米国株式市場のバブルの宴のフィナーレが迫っている

2017/02/25

 

 米国の株式市場はいまだにバブル熱が冷めません。

 

 

 米国株式市場に関するいくつかの指標を見ると、現在は1990年代後半のITバブルに匹敵、あるいはITバブル以上のバブルとなっている様子です。

 

米国株式市場のバブル度

 

 しかしこのバブルもフィナーレは確実に近づいているようです。

 

 下図はインサイダー取引の買いに対する売りの比率を表したものです。20を超えるとインサイダーが悲観的であることを意味するようですが、1月以降インサイダーたちが爆売りしていることがわかります。企業の内情を知るインサイダーは現在の株価水準は企業業績と比較して明らかに高すぎだと考えているようです。

 

インサイダー取引レシオ

画像ソース:Barrons

 

 下図はここ1週間程度に行われたインサイダー取引を取引額順で並べてあるリストです(米国企業が中心。緑:買い、赤:売り)。一見しておわかりのようにインサイダーたちによる売り、売り、売りの嵐が巻き起こっています。

 

 ウォルマート、マイクロソフト、フェイスブック、ペプシコ、アップル、ネットフリックス、タイムワーナー、シスコ...大手米国企業の内部事情に詳しい方々が売りまくっているのが現状です。

 

インサイダー取引リスト

画像ソース:finviz

 

 インサイダーたちは2017年以降大きく売りを加速させていますが、現在の米国株式市場は一体どのような環境なのでしょうか。

 

 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BoAML)の顧客による米国株式市場での売買動向に関する最新のレポートによると、もはや米国の株式市場は短期の価格変動による利益狙いの投資家の巣窟となっているようです。

 

 下図は投資家タイプごとの米国株式市場への資金流出入を表したものです。左図が長期のデータ、右図が短期のデータですが、長期では機関投資家と富裕層の個人投資家が株式市場から資金を流出し続けていることがわかります。しかし右図の短期のデータを見ると、機関投資家が米国株式を売却していることは変わらずですが、個人投資家は逆に購入を増やしています。

 

BoA顧客による米国株式市場への資金流出入

画像ソース:Zero Hedge

 

 ここ4週間平均のBoAMLの顧客はリーマンショック以降最高額の資金を米国株式市場に投入しています。牽引役は富裕層の個人投資家です。

 

BoA個人投資家による米国株式市場への資金流出入

画像ソース:Zero Hedge

 

 BoAMLの顧客はもっぱらETFに投資してきました。これは富裕層個人投資家によるものでしょう。一方BoAMLの顧客(機関投資家、ヘッジファンド含む)はヘルスケアや生活必需品といったディフェンシブ銘柄を売却しており、富裕層個人投資家は少なくともディフェンシブ銘柄の大量購入はしていません。

 

 サイズ別で見るとここ4週間は大型株をメインに購入していたようですが、レポート直近の週に限れば大型株は大きく売られています。中型株も大きく売られています。一方で価格変動の激しい小型株は現在まで安定して買われているようです。

 

 これらから、BoAMLの顧客による株式購入者は長期の資産運用目的で米国株投資をしているのではなく、短期利益狙いの投資をしているものと思われます。

 

BoA顧客が投資するセクター、サイズ

画像ソース:Zero Hedge

 

 最後にいままで米国株式市場を牽引してきた企業による自社株買いのペースは明らかに弱まっています。

 

BoA顧客の企業による自社株買いの推移

画像ソース:Zero Hedge

 

 インサイダー取引とBoAMLの顧客による米国株取引の実態をみるかぎりでは、大口長期投資家である機関投資家の株式市場からの撤退の勢いは現在も増し続けており、さらに企業の自社株買いのペースも弱まっている。インサイダーたちも売っている。それでも短期投資家による売買が活発に行われているため、米国の株式市場が持っているようなのです。

 

 こうした環境はもちろんいつまでも続くはずはありません。何かのきっかけでバブルは一瞬で破裂するでしょう。市場の宴のフィナーレは間近です。

 

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