配当再投資のリスク低減効果:私のポートフォリオの結果を材料に

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配当再投資のリスク低減効果:私のポートフォリオの結果を材料に

2018/01/10

 

 今回は「配当再投資」によるポートフォリオのリスク低減効果について、私の実際のポートフォリオを材料に解説しています。専門家や企業のように理論的数値を提示するだけでなく、一人の投資家が得た現実の数字を見ることで、投資リテラシーをもっと高めてほしいと思います。

 

配当再投資は株価下落耐性を強める

 当サイトの記事でゴールドの購入を勧めていることもあり、皆さんのなかには私がゴールド信奉者であると思われる方もいるかもしれません。

 

 しかし実際に私はゴールドや金鉱株といったゴールド関連資産だけでなく、株式投資(長期投資)も行っています。そして長期的にはゴールド関連資産ではなく、株式をメインに資産を形成することを目指しています。

 

 ではどのように株式資産を形成しようとしているのか。それは「配当再投資」という手法を利用した資産形成です。

 

 配当再投資というのは、読んで字のごとく株式保有者に定期的に支払われる配当金収入を、同株式の再投資に充てるという投資手法を指します(分配金収入や利子収入も同様)。

 

 この文章を読んだだけでは「ただ配当金を再投資するだけでしょ?」と思われるかもしれません。しかし実は配当再投資をするしないで長期的に低リスク・高リターンのポートフォリオを形成できるかどうかで雲泥の差が出てしまうのです。

 

 配当再投資の大きなメリットの一つは、株価の下落に耐性をもった、リスクに強いポートフォリオを形成できるようになることです。

 

 下図は配当再投資を実行した場合のポートフォリオの資産価格のリスク耐性度を、ポートフォリオ全体の配当利回りごとに示したものです。

 

配当再投資による株価下落リスクヘッジの度合い

 

 例えば配当利回りが5%(茶色)のときは、配当再投資を5年続けると株価下落の許容度が0.8を切っています。これは株価が購入時の2割減(0.8倍)になっても購入時の元が取れていて損はしていないということです。

 

 さらに配当利回りが5%の場合に初回購入から14年経てば、株価が購入時の半分に下落しても損をしないで済むのです(まともな株であれば14年後に半値というのは普通はありえないです)。別の言い方をすれば、初回購入から14年経ったときの株価が購入時と同じでも、資産は2倍に増えているということです。

 

 ※上のグラフは受取配当金をリターンから除いています。もし受取配当金もリターンに含めれば、上のグラフはもう少し押し下げられる、つまり上のグラフが示すよりも実際のリスク耐性はもう少し強いことになります。

 

 このグラフが意味している、配当再投資がポートフォリオの株価下落リスクへの耐性を高めるということを皆さんによりリアルに理解していただくために、私の実際のポートフォリオの成績を少しお見せしましょう。

さて、私の成績はというと...

 お見せするのは私の証券口座内のポートフォリオのデータをもとにして作成したグラフです。今回利用するポートフォリオは株式・ETFからなるものです。金鉱株やゴールドETFは含みますが、現金やブリオンボールトで保有しているゴールドは含んでいません。

 

 下図は私のポートフォリオ全体の購入価格(簿価と呼ぶことにする)に対する、各年末のポートフォリオ時価総額の割合を示したものです。つまり含み損益率を表します。青棒が私の実際の成績(配当再投資あり)、橙棒は仮に配当再投資をしなかった場合の成績です。

 

 私が投資した銘柄のなかに破綻して紙くず化した銘柄が含まれているために、なんだか惨憺たる結果のように見えますが、2017年末における「時価/簿価」をご覧ください。配当再投資を仮にしなかった場合には-3.81%ですが、配当再投資をした結果+1.76%となっています。

 

 配当再投資をしなければ2017年末でも私は含み損を抱えていることになりますが、配当再投資をしたがために含み益を抱える結果となったのです。

 

配当再投資をする場合としない場合との含み損益の比較

 

 上の黄棒に着目してください。これは実際の私の含み損益比率と配当再投資なしの場合の含み損益の差分(青棒ー橙棒)です。上から明らかなように、時間が経つにつれて差分が勢いを増しながら拡がっていることがわかります。

 

 これが実は配当再投資のミソです。この差分というのは、配当再投資で追加購入された株数の上昇分を反映したものです。下図の緑棒は各年末におけるポートフォリオの購入で得た株数(配当再投資分は含めない)に占める、配当再投資で得た株数の割合を表します。黄棒の差分は先ほどの差分と同様です。2つが似たような推移を辿っていることがわかります。

 

配当再投資による株数の増加

 

 上の緑棒は配当再投資により増えた株数を表す一つの指標です。重要なのは個々の緑棒の数字ではなく、緑棒の増え方です。だんだん増加の勢いが増していることがわかりますが、これは実は指数関数的な増加です。というのは配当再投資によって得られる株数は配当利回りの大きさで複利で殖えていくからです。

 

 例えば配当利回りが5%であれば、1年後に配当再投資による株数は1.05倍になります。2年後には1.1025倍に殖えます(1.05×1.05)。3年後にはこれに1.05を掛けた1.16倍になります。こうやって配当再投資により得られる株数は複利で、つまり指数関数的に殖えていくのです。

 

 上図で緑棒と黄棒が同じような振る舞いをしていますが、緑棒が指数関数的に増えるということは、黄棒も指数関数的に増えていくということです。

 

 要は、配当再投資をする・しないによる含み損益の差分は、今後指数関数的に拡がっていくのです。データ上の都合で含み損益のみ触れていますが、含み損益に売買差益と配当収入を加えたトータルの損益の差分もまた、指数関数的に拡がっていきます。何故なら差分の本質は配当再投資による株数の増加分であり、この増加は指数関数的振る舞いをするからです。

 

 

 上でお見せしたポートフォリオはゴールドETFや金鉱株も含まれています。これらは配当を生まなかったり配当利回りが低く、私も売買差益目的で保有しているので、配当再投資の効果を見るためには含めないほうが都合がよいです。

 

 そこでもう一つ、私のポートフォリオからゴールド関連資産を除いたポートフォリオで、上と同じグラフをお見せしましょう。一目瞭然、先ほどよりもよりダイナミックなグラフになっています。

 

配当再投資による株数の増加、含み損益の増加

 

 こちらでは破綻した企業の銘柄の影響がさらに大きくなっており、一見絶望的なグラフに見えます(破綻した企業の銘柄はまだ売却していないので、すべての年の時価/簿価、含み損益に反映されています)。しかしよく見るとそんなに絶望的ではありません。

 

 2017年。もし配当再投資をしていなければ、私はゴールド関連資産を除いて-14.5%の含み損を抱えていました。しかし配当再投資をした結果、含み損は-4.85%にまで抑えられているのです。さらにここに売買損益と配当収入を加えた実際の損益は、実はトントンです。

 

 3年半配当再投資を続けた結果、ポートフォリオの時価は-14.5%も下がったにも関わらず、ポートフォリオ全体の損益はプラスマイナスほぼゼロなのです。

 

 もう一度、最初に示した配当再投資を実行した場合のポートフォリオの資産価格のリスク耐性度を、ポートフォリオ全体の配当利回りごとに示したグラフをご覧ください。

 

配当再投資による株価下落リスクヘッジの度合い

 

 私のゴールド関連資産を除いた配当利回りは大体4%程度です。上のグラフの濃緑線です。濃緑線の3年半のところをみると株価下落の許容度は大体0.87-88くらい、つまり時価が12-13%程度下落したくらいで収支(含み損益のみ。売買損益、配当収入は含めない)が釣り合うわけです。

 

 私の場合は配当再投資分を除いた時価が簿価に比べて-14.5%下がったので含み損を抱えていますが、それでも-4.85%に抑え込めました。売買損益と配当収入を加えれば収支はトントンです。

 

 それは先ほど話したように、配当再投資により株数が指数関数的に殖えたからです。2つ上の図の黄棒の差分をみればかなりダイナミックな変化になっていますが、これはゴールド関連資産を除いたことで配当利回りが高まったからです。ポートフォリオ全体の配当利回りが高いほど、配当再投資あり・なしの成績の差はより顕著になり、配当再投資ありのときの成績がより高まります。

 

 

 ここまでご覧いただければ、配当再投資がポートフォリオの株価下落リスク耐性を強めることをリアルに認識できるのではないでしょうか。

 

 私のポートフォリオ(ゴールド関連資産を除く)は2015年に-27%の含み損を抱えるほど絶望的な内容でしたが、それからたった2年で収支がトントンになるくらいに回復したのです。

 

 あまり投資の知識がない方であれば、-27%の含み損を抱えた段階で投資を投げ出していたかもしれませんが、私は配当再投資をすれば損失はいずれ解消することを知識として知っていたので、あまり気にせず投資を続けていました。

 

 知識って、大事ですね。

 

 

 最後に、私が米国の証券口座を利用した投資を薦めているのは、配当再投資を効率よく行えるサービスを提供しているからです。

 

 DRIP(ドリップ)と呼ばれるサービスで、これを利用することで各銘柄から得られた配当金を自動的に、購入手数料ゼロでその銘柄の再投資に充てられるのです。これは日本の証券会社では提供されていないはずで、米国の証券会社を利用する必要があります。

 

 毎回配当再投資のために証券口座にアクセスすると面倒ですが、DRIPを活用することでそんな手間を全く掛けずに、放置しておいても勝手に配当再投資されるので非常に重宝しています。しかも購入手数料無料で。

 

 私は3年半DRIPしてますけど、本当に良いサービスですよ。手間をかけずに勝手にリスクに強いポートフォリオが出来ていくのですから。いままで日本の証券口座を利用して長期投資してきた人たちも、米国の証券口座を利用する価値はあるかもしれませんね。

 

米国証券口座で長期投資。DRIPという米国限定の配当再投資サービスを利用することで、資産を効率的に殖やしやすい長期運用できますよ。口座開設までに必要な一連のプロセスを、一から説明しています(株価崩壊後、安値で購入するための準備や金鉱株購入用としてどうぞ)。

 

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