備えあれば憂いなし

投資ブログへのリンク

備えあれば憂いなし

2018/12/25

 

 今回は最後の「金のメルマガ」です。

 

 今年10月から世界の相場が変調をきたし、世界経済や金融に対する悲観的見通しや警告が海外メディアからもよく伝えられるようになりました。

 

 ゴールド購入による将来への備えがこれから少しずつ報われ始めそうです。

 

[金のメルマガ No.10]最終回:備えあれば憂いなし

の記事(一部)です。2018/12/07に配信したものです。

 

 

高頻度アルゴリズム取引時代に初めて訪れた「逆イールド」

 最近、株式市場が再び動揺していますね。

 

 米国株の推移を見てみると、今年10月から現在まで、のこぎり刃のようにジグザグした急変動を繰り返しながら着実に下がってきていることがわかります。VIX指数も10月に入り、今年2月初-4月初以来の変動をみせるようになりました。

 

 

 そういえば中国の通信機器メーカーファーウェイのCFOが、米国当局の要請によりカナダで逮捕されましたね。これは米中対立の本質が経済以上に安全保障面にあることを意味します。

 

 米中対立の長期化は必至ですし、中露等のドル離れも今後本格化するでしょう。だって、米国が勝手に定めた経済制裁措置に反しただけで、企業幹部が逮捕されるのですから。他国からすれば、やってられませんよ。

 

 

 最近の株式相場の推移が米中貿易戦争をめぐる動きに左右されると考えるのは正しいとは思いますが、本当の懸念はもっと別のところにあります。

 

 一つは高頻度アルゴリズム取引の存在です。

 

 もう一つ、米国債の一部の利回り間で逆イールドが起こり始めましたね。逆イールドとは「2年債米国債利回り>5年債米国債利回り」のように、「短期の利回りが長期の利回りを上回る状態」のことです。

 

 今回は2年債利回りと5年債利回りが逆イールドとなりました。2年債利回りと10年債利回りも逆イールド化に向かっています。

 

画像ソース: Zero Hedge

 

 今回の逆イールド化の主要因は「米国および世界経済成長の減速懸念の高まりによる米長期金利の下落」です。市場が景気後退期を本格的に予見し始めたのです。

 

 そして逆イールドは過去40年、全ての景気後退期に先立って発生している「バブル崩壊のサイン」です。

 

 現在の逆イールド化の主要因、そして株価下落が並行して起こっている事実を重ね合わせれば、現在の逆イールド化はまさに上の意味におけるものとなっています。

 

 

 高頻度アルゴリズム取引が本格的に普及したのはリーマンショック以降です。つまり機械にとって現在の逆イールドは「未知の世界」です。

 

 世界の相場は、制御不能なマシーンによってますます大きく翻弄されていきそうです。

 

そろそろ金相場が注目を浴びそうだ

 一方、金価格は上昇を続けています。

 

 前回の金のメルマガでは、8月の初めごろに金価格が底打ち反転し、10月以降は米国株と反対方向に金価格が動き始めていると書きました。

 

 米国株の下落が進むなか、金価格の上昇は現在まで続いています。金価格と米国株価の逆相関は現在も続いているようです。

 

 現在は季節的に金価格が上昇しやすい時期で、少なくとも2014年以降はすべての年において、12月はじめ~翌年はじめにかけて金価格は急上昇してきました。

 

 いまの金価格の値動きを見るかぎり、今年もこれからの1-4か月程度、金価格が急上昇するかもしれません。

 

赤:12月はじめごろからの金価格上昇局面

 

 ここ何年かの金相場は短期的に金先物投機家の売買を反映したものでしたが、現在はそうなっていません。これは投機家による金先物買いの余地が十分残されており、金価格が急騰する可能性があることを意味します。

 

 Fedが利上げ早期終了を検討しており、金融緩和再開の可能性が少しずつ出ていますし、金先物買いが増えてもおかしくありません。

 

 もちろん、投機家が空売りを仕掛けて金価格が下落する可能性もゼロではありません。しかしショートした金のポジションはいずれ解消する必要があります。

 

 現在のようにポジションがほぼない場合には、ショートしてもいずれ買い戻しが発生して元通りになります。私たちのように将来への保険や資産保全目的で何年もゴールドを保有しておく身としては、金ショートによる金価格下落は一時的な下落として無視できるものです。

 

 これまで金価格はなかなか思った通りに上昇してきませんでしたが、もしかしたらそう遠くないうちに急上昇の第一弾が起こるかもしれませんね。

 

 

 金価格が米国株と反対方向に動き始め、米国株安に連動して金価格が上昇し始めたことは良い流れです。

 

 金価格が思うように伸びずに辛抱する期間が続いてきましたが、金投資家にとっての春は近いかもしれません。

 

備えあれば憂いなし

 最後にこの世で最もおそろしいグラフを2つ、お見せしましょう。

 

 下図は米国の非金融機関が発行した、これから満期を迎える投資適格債券+ジャンク債の額を満期年別に並べたものです。

 

 2019年から米国社債は満期ラッシュを迎え、2023年までに3兆ドルが満期を迎えます。現在の発行済みの半分近くです。

 

画像ソース: Zero Hedge

 

 もう一つ。こちらは満期を迎えるレバレッジドローンの金額の推移です。レバレッジドローンとは「現在最も危険な金融商品の一つ」です。こちらは2021年から24年に掛けて満期ラッシュを迎えます。

 

画像ソース: LeveragedLoan.com

 

 今後、米国債が供給過剰となり、関税合戦やユーラシア非ドル経済圏形成の進展に伴い米ドルが「米国→世界」に流れにくくなり米国内で循環しやすくなることを考えると、長期金利は上昇しやすくなります。

 

 長期金利が上昇すれば、社債やレバレッジドローンの不良債権化が進み、借り換えが難しくなり、上の満期を迎える4兆ドル程度のクレジット資産の一部が「爆発」し、世界金融危機の引き金を引くことになります。

 

 

 早ければ来年、遅くても2021年までには世界金融危機が本格化し、少なくとも2024年ごろまでは大変な状況が続きそうです。ということはこの頃まで、中期的に金価格が上昇するのでは?とも期待できますよね。

 

 早くから将来を見据え、ゴールドを購入して備えてきた方々。おめでとうございます!短期の変動には気にせず、あとはしばらくほったらかしにすれば、いずれ報われることでしょう。

 

 

 というわけで、最後の「金のメルマガ」はこれで締めたいと思います。

 

 今後、ゴールド関連の話は「アボマガ」で時折扱うことにします。今後ともお付き合いください。

 

私が利用しているブリオンボールト。資産防衛に有効とされる海外のゴールドをネットで簡単に購入できます。将来の不透明感をあなたもさすがにお気づきでしょう。不透明感を抱え込むだけで終わるか、それをチャンスに生かして対策を講じるか。あなたはどちらですか?私は後者を応援するために金投資を薦めてきました。

 

 →いますぐ備えたい方:口座開設はこちらから-コストが安く済むスポット取引コースが人気です

アボマガリンク


アボマガ・エッセンシャル(有料)の登録フォームこちら


アボマガお試し版(無料)の登録フォーム


このエントリーをはてなブックマークに追加   
 

関連ページ

ハイパーインフレ、基軸通貨の崩壊が株式に与える影響
COVID-19ワクチンの早期普及と量的緩和の拡大・拡充を期待する強欲な市場
「ピークオイル」は需要減ではなく老朽化・投資不足による供給減を指すことになる
市場は「Going To トラブル」?
機会を掴むには準備が肝心
「世界大恐慌×株高」というシナリオ
相場の終焉間際:コロナ禍で暇を持て余した素人投機家が市場に参入
米上場廃止?中国株ADRの行方
経済V字回復は厳しいが、金価格はV字回復
超高配当利回りとなった石油メジャー株
株価暴落時に守るべきたった一つのルール
COVID-19が石油需給に与える影響を考える
2020年、ドットコムバブル崩壊前後との類似点
アボマガで紹介した2銘柄のレビュー
アボマガで紹介している銘柄
「長期配当再投資+貴金属投資のハイブリッド戦略」
何故、金強気相場はこれから本気出すのか:マイナス金利、為替ヘッジ
ターニング・ポイント
ホルムズ海峡封鎖?短期的なエネルギー価格見通し
2019年、来るか、金融ショック
バブル崩壊は自分で気づく必要があるもの・輝きを増すゴールド
鮮明さ増す高インフレの流れ
有事の金
低リスク高リターンが見込める石油銘柄
見えない爆弾だらけの原油市場。目先にとらわれてはならぬ
備えあれば憂いなし
アルゴリズム取引の本格的な暴走までそう遠くはない?
中期的安定性の高い石油銘柄
原油価格は本当に、気分屋で困りますね(笑)
金価格は底打ち反転?不透明な将来への保険としてのゴールドの価値は増すばかり
ピーポじゃないよ!ヴィーヴォだよ!_2
ピーポじゃないよ!ヴィーヴォだよ!
割安なタバコ銘柄を探す
ESG投資:社会問題を相場吊り上げに利用する
日銀量的金融緩和はすでに瀕死、その先に待ち受ける「超円安」
「超円高」に期待しすぎてはいけない
消えかかるドル高材料、近づく金購入「ラストチャンス」
悪材料まみれになってきたテンセント_2
悪材料まみれになってきたテンセント_1
知ると知らずで大違い、配当再投資の隠れた特徴
配当再投資:雪だるま式に資産を殖やし残りの人生を謳歌する投資手法
人民元がゴールドにペッグしている??
「金価格の歴史的上昇トレンド」が新興国から始まる
米中貿易戦争勃発で米国株も怪しくなってきた。笑うのはロシア?
SECメンバーが「米国株式相場のクラッシュ」を厭わない規制導入を提唱した
米国政府の税収の1/4、1/3が利払いで消える日
金価格の伸び悩みはレパトリ減税の影響?
[2018/05/23]フラッシュクラッシュ時代、逆指値売り注文は自殺行為
[2018/05/16]新興国市場に赤信号点灯、世界金融危機の幕開け?
[2018/04/24]トランプが税制改革法案に埋め込んだ「マルウェア」
[2018/04/02]米国の自国優先主義は海外の金持ちを惹きつける
[2018/03/31]トランプは円安ドル高を許さない
[2018/03/24]リーマン・ショックから始まった金融市場の「真の終わり」の規模
[2018/03/17]新時代に向けて世界構造の破壊に本格的に着手し始めた米中
[2018/03/07]トランプの鉄鋼・アルミニウム輸入関税の真のターゲットはどこだ!?
[2018/02/28]物流、トランプ、中東、日銀...物価上昇・通貨減価懸念材料ズラリ
[2018/02/07]2018年2月5日-6日、世界同時株安だと?
[2018/02/03]144A for life -米国ハイイールド債市場を席巻する破滅的闇証券-
[2018/02/01]金利上昇が止まらないー草
[2018/01/24]米国経済が良くなると米国株相場はダメになる
[2018/01/10]配当再投資のリスク低減効果:私のポートフォリオの結果を材料に
[2017/12/29]2018年に向けて、金市場の動向をみる
[2017/12/06]ビットコインバブル→電力消費・発電問題発生→バブル崩壊
[2017/12/04]『金持ち父さんのこうして金持ちはもっと金持ちになる: 本当のフィナンシャル教育とは何か?』を読んでみた
[2017/11/27]トランプによる世界金融市場の大粛清がいよいよ始まりそうだ
[2017/11/23]トランプ税制改革は借り入れ依存企業への死刑宣告
[2017/11/18]ボラティリティ・ターゲット戦略は株式・債券市場を一瞬で破壊する
[2017/11/13]債券市場崩壊の初期段階がすでに現在進行中?
[2017/11/01]IMFは世界の中央銀行として世界を支配したいのか?
[2017/10/15]トータル・リターン・スワップの出現は第2のAIGショックの発生を暗示する
[2017/10/03]MiFID2は世界金融危機を拡大させ、大陸欧州を自滅に導く破壊ツール
[2017/08/26]世界金融市場クラッシュの予兆が見えた
[2017/09/21]暗号通貨に国債市場、日本円が抱える内憂外患
[2017/09/13]ドル離れの動きがFedの量的金融緩和政策再開を促す:その2
[2017/09/12]ドル離れの動きがFedの量的金融緩和政策再開を促す
[2017/08/24]日銀のETF買いは「貯蓄から投資へ」移行する家計を罠に陥れる
[2017/08/20]中国のシャドーバンキングスキームの崩壊はすでに始まっている
[2017/08/16]つみたてNISAのみの利用での長期資産形成は難しい
[2017/08/02]「金融の神様」がグローバル金融の崩壊を警告し続けている
[2017/07/26]世界の大揺れが確実に近づいています
[2017/07/13]「世界金融市場大揺れへのカウントダウン」は、すでに始まっている
[2017/07/09]相変わらず「自身の出口戦略」にしか興味のない日銀・黒田総裁
[2017/07/04]「悪徳」銘柄への投資こそ、年金運用には向いている...!?
[2017/06/29]短期の変動に目を奪われすぎず、本当のリスクに焦点を合わせよう
[2017/06/18]イエレンさん、本当にバランスシート正常化なんてできるの?
[2017/05/18]備えはお早めに:ゴールドへの備えに適した期間は着実に減っている
[2017/05/05]中国金融市況の悪化が米国株式市場の熱狂を生んでいる
[2017/04/29]中国金融当局のレバレッジ是正勧告は世界市場を溶かすかもしれない
[2017/03/07]FRBが3月利上げしそうですね。米国経済が回復していないなかで。
[2017/02/25]インサイダーたちによる爆売りブーム...米国株式市場のバブルの宴のフィナーレが迫っている
[2017/02/17]米国債しか頼れない日本、アジア国際金市場を着実に発展させている中国
[2017/01/24]トランプ政権は米ドル・米国債に対する大胆な政策を画策しているかもしれない
[2016/11/15]トランプの当選が市場に与える影響
[2016/11/05]今後世界の株価が大きく下がることは時間の問題
[2016/10/18]官製相場にかなり近づいた国債市場:日銀の八方美人的な振る舞いに潜む「テーパリング」への道

▲記事本文の終わりへ戻る▲

▲このページの先頭へ戻る▲