2020年、ドットコムバブル崩壊前後との類似点
2020/03/03
先週、COVID-19の世界的な感染拡大による不安から、世界市場は大きく調整しましたね(コロナショック)。
一週間で世界株は11%以上の下落、S&P500は2月19日の最高値から13%下落し、最高値から10%の下落に掛かった日数は史上最速を記録。
画像ソース: Zero Hedge
ダウ平均株価のピークからの下落スピードも1929年のウォール街大暴落前後を抜き1928年以降で最速を記録。
金融、エネルギー、航空等のセクターで売りが激しかったようで、原油価格は急落、銀も急落、金(ゴールド)も値下がりし、現金や国債等の安全資産以外、ほぼすべての資産クラスで急落・暴落を記録しました。
さて、今回は現在の市場と20年前のドットコムバブル崩壊前後との類似性をお話しします。
ドットコムバブル崩壊前後との類似点
今回のコロナショックが文字通りの意味でバブル崩壊の始まりになるかどうかは現段階ではわかりません。
しかし現在の市場は、ちょうど20年前の2000年3月に崩壊し始めたドットコムバブルの崩壊前後といくつもの類似点が見られます。
[S&P500構成銘柄の集中度の大きさ]ドットコムバブル崩壊直前、マイクロソフト、GE、シスコ、インテル、エクソンモービルがS&P500指数構成銘柄の18%を占めていました。
現在、S&P500指数構成銘柄のうち、アマゾン、アップル、アルファベット、フェイスブック、マイクロソフトが18%を占めています。
[ナスダック総合指数の相対的な高さ]下図は「ナスダック総合指数÷ダウ平均株価」の推移です。この指数が伸びるほど、ナスダック総合指数がダウ平均株価以上の値上がり率を示してきたことを意味します。
ドットコムバブル崩壊以降、今日までこの指数は増加傾向を維持し続け、現在の水準はドットコムバブルのピーク期以降で最も高いものとなっています。
ただ、当時のピークと比べると現在はまだ上昇する余地があるようにも見えます。COVID-19が夏にかけて世界的に収束していけば、まだまだバブルが続く可能性があります。
画像ソース: macrotrends
[***]...(省略。アボマガ・エッセンシャルご登録者限定)
[イールドスプレッドの推移]下図は過去のナスダック総合指数と、米国10年債と3ヵ月債の利回り差(イールドスプレッド)の推移です。
リーマンショックの頃は、株価が急落する前の2007年初めごろからイールドスプレッドが急上昇しはじめ、2007年終わりから2009年初めにかけて米国株が暴落したなかでも同スプレッドは上昇を続けました。
一方でドットコムバブルの頃は、1998年9月にイールドスプレッドが底打ち反転し、1999年7月まで上昇を続けました。
その後イールドスプレッドが再び下がりだし、2000年3月にナスダック総合指数がピークアウトし始める前後で同スプレッドの下落は勢いを増しました。
イールドスプレッドは一時上昇するものの、すぐにまた急落を始め、ナスダック総合指数が二番底に達したあたりにようやく同スプレッドは大底に達しました。
イールドスプレッドが大底に達するや否や、急騰しはじめ、ナスダック総合指数も再び暴落しはじめ、2002年9月の大底まで続きました。
画像ソース: FRED
最近のイールドスプレッドを見ると、昨年8月に底打ち反転しましたが、昨年11月より再び下落傾向となりました。
今回の米国株の急落期ではイールドスプレッドも勢いを増して下がってきたことがわかります。
少なくとも現時点において、イールドスプレッドの動きはドットコムバブル崩壊前後と似ているように見えます。
このように、現在のマーケットとドットコムバブル崩壊前後に結構類似点があることがわかります。
もちろん、当時と現在とで状況が完全に一致しているわけではありません。例えば当時と違い今日では世界的に政府・民間の債務が蓄積され、債券の市場流動性が低下し、量的金融緩和も行われるなど、主に信用・債券が関わる分野で当時より危険度は格段に増しています。
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