アボマガで紹介した2銘柄のレビュー
2020/02/11
今回はバリュエーションが割安である、***と***のレビューです。
新型肺炎ウイルス拡大に伴う中国経済の停滞というリスクがあるなか、今回お話しする割安な銘柄の最新の投資判断について書いていきます。
***:業績は大底付近にある
***の株価は今年に入って下落傾向が続いています。
決算公表後に***の株価は一日で6.7%下落しました。売上高、一株当たり利益(EPS)ともにコンセンサスを下回り、特にEPSはコンセンサスを21%以上も下回ったためでした。
しかしその後反発し、株価は決算公表前の水準に回復しています。
昨年の***の業績は散々なものでした。売上高は一年間で11%、EPSは20%、それぞれ減少しました。これは市場が10年ぶりの悪い水準となったためです。
業績低下と並行して営業利益率も減少傾向が続き、直近は一けた台となっています。
しかし近年の数字を眺めてみると、業績に改善の兆しが見られます。
各四半期ごとに売上高と営業利益の前年同期比伸び率を見ていくと、売上高の伸び率は昨年9月をピークに改善傾向、営業利益の伸び率はおととし12月をピークに改善傾向で、今期はわずかながら営業利益がプラスの伸びとなりました。
営業利益がプラスになった要因は大きく三つあります。
...(省略。アボマガ・エッセンシャルご登録者限定)
このように、***の業績は悪いながらも、すでに明るい兆しが出ています。
2022年に向けて成長が加速していく
...(省略。アボマガ・エッセンシャルご登録者限定)
これら3つの成長ドライバーによって、2022年にはEBITDAが13億ドル増える見通しです。この数字は昨年のEBITDAのおよそ23%にあたります。
現時点では計画段階にすぎませんが、2024年以降も米国での生産拡大を考えているようです。
FCFの大幅増加はほぼ確実か?
***の設備投資は2019年までの2年間に2倍近く上昇してきました。
昨年にプラントが竣工・稼働開始となり、2020年以降はこの分の設備投資が大きく減ることになります。
2022年の設備投資は19億ドルを予定しており、昨年の設備投資のピークからおよそ11億ドル減ることになります。
上述した***の成長プロジェクトは2022年ごろから本格的な生産が始まります。一方で設備投資は2022年に向けて縮小していきます。
その結果、2022年には10億ドルの営業CFの増加+11億ドルの設備投資の削減により、21億ドルのFCFが新たに産出されるとしています。これは昨年のFCFに近い数字ですから、3年間でFCFがほぼ倍増することを意味します。
昨年は市場の10年ぶりの低調でFCFが振るわなかった年でした。もし2022年までに業界の再編による競争力の高まりが起きたり、世界経済が回復して業界が活況となれば、さらにFCFは伸びます。
将来の買収の可能性も考えれば、3年後にはFCFが2.5-3倍程度になる可能性も否定できません。
中期的に、***の業績がグーンと上昇してもおかしくない状況なのです。
最後に購入タイミングについてです。現在、株価FCF倍率およびPERは数値的には十分割安であり、業績は大底付近にあります。
支払配当金はFCFの7割未満であり安全域が広く、5%近い配当利回りがあり、今後成長がほぼ確実な***はいま購入しても問題ありません。
しかし中国の新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞により、一時的に大きな打撃を受ける可能性があります。
そのため、あと2-3ヵ月以内に***の株価が一時的に急落する可能性があります。
ここが、業績が大底付近にある***の大きな買いチャンスとなる可能性がありますので、このタイミングを狙ってしばらく様子見するのも一つの手です。
いずれにせよ、短期的に株価の上昇は期待できませんが、地道に配当再投資を行い、安くなったところで追加投資をしていれば、数年後にリターンが目に見えて現れるのではないでしょうか。
***:***事業は不調が続くが...
続いて***です。過去一年で株価が3割値上がりし、S&P500をアウトパフォームしてきた同銘柄ですが、昨年9月半ばからはほぼ横ばいが続いています。
決算発表後に***の株価は一時下がりましたが、現在は決算発表前に近い水準にまで戻っています。
...(省略。アボマガ・エッセンシャルご登録者限定)
***事業は堅調、業績は底打ち反転が近い
...(省略。アボマガ・エッセンシャルご登録者限定)
自社株買いが下支え、大きな株価下落は起こりにくい
今年上半期までは業績は芳しくないかもしれません。
しかしその間、***は巨額の自社株買いで株価を支えます。
***は昨年第四四半期におよそ20億ドルの自社株買いを行いました。今年からは3カ年計画に従って自社株買いの勢いが本格化します。第一四半期にはおよそ40億ドルの自社株買いを行う予定です。
そのため、FCFで見たバリュエーションが割安な***の株価は、短期的に業績不振が続いても下落余地は限定的となります。
今年は大体100億ドルの自社株買いとなる見通しであり、今年から2022年の3年間で計300億ドルの自社株買いを行う予定です。
近年、小規模の自社株買いしかしてこなかった***の株価が中期的に下支えされますし、1株あたり配当金の伸びにもつながります。
今年下半期以降、***は売り上げが少しずつ伸び出し、コストカットが合わさり利益が伸び、そこに自社株買いが加わることで、***に対する悪いイメージは払拭されていきそうです。
***のビジネスモデルは米中貿易戦争や新型肺炎等によるサプライチェーンの停滞・組み換えリスクの影響を受けにくいと考えられます。
株価FCF倍率がリーマンショック期並みの割安さで、市場拡大の恩恵を受けることが間違いない、負債削減中かつ巨額の自社株買いを3年間行う予定の***は、外的混乱や金融市場の崩壊に強く、将来の株価下落余地はあまり大きくないと考えられます。
配当利回りは2月7日現在で5.42%あります。
株価FCF倍率はリーマンショック期並みの低さが続く
将来の金融危機を見越して、いまは株式投資を完全に控え現金を貯めておられる方もいらっしゃるかもしれません。当メルマガでは金融危機がそう遠くない将来に迫っていると何回も書いてきたわけですから尚更です。
現在、将来の投資用に現金を多めに抱えておくことは非常に重要です。しかし一方で、一切投資しないことは配当再投資によって株数を増やす機会を損失することも意味します。
***のように、非常に割安で、財務の心配が小さく、配当利回りが高く、配当成長が見込める銘柄は、いまのうちからちょこちょこ購入し、地道に配当再投資を続けられると良いと思います。
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