金価格は底打ち反転?不透明な将来への保険としてのゴールドの価値は増すばかり

投資ブログへのリンク

金価格は底打ち反転?不透明な将来への保険としてのゴールドの価値は増すばかり

2018/11/20

 

 今年4月からの金価格下落基調がどうやら止まったようだ。米ドル指数の動きではなく、米国株の値動きに連動して動きつつあるゴールド。過去、世界が大きく転換するときはゴールドの転換もしばしば同時に起こってきた。米中新冷戦時代が到来した現在において、不透明な将来への保険としてのゴールドの価値は増すばかりだ。

 

[金のメルマガ No.9]金価格は底打ち反転?不透明な将来への保険としてのゴールドの価値は増すばかり

の記事(一部)です。2018/11/12にメルマガ配信したものです。

 

記事全文をご覧になりたい方は「金のメルマガ」にご登録下さい。

 

※金に関する最新情報は2018/12/17(月)から「アボマガ」から配信となります。金のメルマガはステップメール限定となります。ステップメールでは「何故いま金の保有が資産防衛に必要なのか」について、中期的な目線で話しています。

 

金価格はとりあえず底打ち反転したようだ

 最近、金価格は再び上昇基調となりました。8月7日に1オンス1175ドルをつけてから底打ち反転し、10月の終わりにかけて1オンス1234ドルまで上昇しました。ただその後は金価格は下がり、直近で1オンス1209ドル程度です。

 

 また2016年1月から中期の期間でみれば、金価格が上昇基調であることには変わりありません。

 

画像ソース: ブリオンボールト

 

 9月終わりごろから現在にかけての金価格の推移には次の2つの特徴があります。

 

 一つは米ドル指数との関係性です。いままでの金価格は米ドル指数と反対に動く傾向にあり、今年4月から8月はじめごろにかけての金価格の急落時に米ドル指数は上昇しました。

 

 しかし9月終わりごろからは、米ドル指数が上昇するなか、金価格も同じく上昇していきました。

 

 もう一つは米国株と金価格の動きが明確な反対方向の動きを示したことです。S&P500指数は10月1日から10月26日までの4週間にかけて約9%下落し、次の週から現在までに約6.3%上昇しました。

 

 一方で金価格は10月1日からの4週間に約3.8%上昇し、その後は現在までに1.6%程度下落しました。

 

 金投資の一つの目的は株価下落に対するヘッジ目的ですが、最近の動きは改めてゴールドが株価下落に対するヘッジとしての効果があることを表しています。

 

 

 米国株に関して、米国経済の高成長はピークに達したとの市場のコンセンサスができているようです。

 

 今後、トランプ減税の効果が減り、賃金上昇や米中貿易戦争に伴う原材料費の増加で米企業の利益率が下がるとの悲観的な見方が強まっています。賃金上昇や原材料費高騰がインフレ期待を高めれば、Fedの利上げが加速して米経済の冷え込みに拍車がかかる可能性もあります。

 

 米国株をけん引してきたGAFAに代表されるハイテク企業も、コンセンサスが期待するような現在の株価を正当化する収益の成長をあげられる見込みがなくなっている一方、データセンター等への投資が増えています。

 

 ハイテク企業もビジネスサイクルが一巡し、成長から投資フェーズへと入っており、さらなる株価の大幅調整がそう遠くない将来に起こってもおかしくありません。

 

 市場は米国経済の成長は諦め、残るよりどころは世界経済成長の3割を占める中国経済しかないようです。中国の動向で米国株の大幅調整のトリガーが引かれるかもしれないのです。

 

 不動産バブル末期で、輸出主体経済から消費主体経済へと経済構造の転換が迫られている中国が、市場の不安を取り除く経済成長を継続することは果たしてできるのでしょうか(もちろん中国政府による統計データの捏造・改ざんはなしで)。

 

 米国株と反対方向に動く傾向を見せ始めたゴールドは、株価下落に対するリスクヘッジとしての役割を今後強めていきそうです。

 

 金価格の短期の変動に大きな影響を与える、ヘッジファンド等の金先物の動きをみると、10月に入ってこれまで売り越しだったネットポジションが一気にプラスに反転しました。

 

画像ソース: 第一商品

 

 

 金の需要をみます。今期のQ318の金需要はほぼ前年と変わらないものでした。金地金と金コインの需要が前年比28%上昇、中央銀行の需要が前年比22%上昇し、宝飾品需要も堅調に前年比6%増えました。

 

 金地金、コイン、宝飾品の需要増は主に中国が牽引しました。またイランやインドも需要増に寄与しています。中央銀行の需要増はロシア、トルコ、カザフスタンが中心で、今回の22%増という伸びはQ415以来です。

 

 しかしこれら需要増のほぼすべてを金ETF投資の需要減が消し去りました。ペーパーゴールドよりも現物のゴールドに人気が集まっているようです。ただし、下図には反映されていない10月には金ETFは流入増となっています。

 

画像ソース: World Gold Council

 

 金ETFの需要はCOMEX金先物の投機家ポジションの動きと似た動きをします。金先物ポジションがほとんど解消されてしまっている現在、金ETFの需要減の影響はやがて薄れるでしょう。

 

 一方で現物金への需要増は新興国通貨の下落に伴う資産保全の意図もあるでしょうし、世界の中央銀行も米国のトランプ政権の動きに危機感を感じて外貨準備の多様化を今後も進めるでしょう。

 

 季節的にも感謝祭、クリスマス、インドの結婚式シーズン、中国の旧正月と金需要が増すシーズンに入っています。金需要は今後伸びていくのだろうと思います。

 

 金の供給は金生産量が少し増えていますが、現在は大規模な金鉱開発が進んでおらず、金生産量が大きく伸びる可能性は低いです。金鉱企業も金価格が上昇しないなかでの増産には消極的です。

 

 

  • 今後も長期金利の上昇や米中貿易戦争激化、米企業(特にハイテク企業)の収益伸び悩み、中国経済の成長鈍化とともに、米国株も調整しやすい局面にある
  • 金先物のネットポジションがほぼ解消されている。金ETFの需要も減少しにくい状況
  • 金現物需要が大きく、季節的にもこれから伸びやすい一方、しばらくの間金供給量が大きく増える可能性は低い

 

 以上から、金価格は伸びやすい時期に入っているように見えます。

 

 ただし、今後の株式相場の動きによっては、サブプライムローン危機~リーマン・ショックのときのように、一時的に金価格が下がることもあるかもしれません。

 

 「いまが金購入のラストチャンス」または「もう一段安になって金購入のラストチャンスが訪れる」という2つのシナリオのいずれが来ても良いように、金購入するとよいでしょう。

 

米中冷戦、中東、金準備。世界が大きく動くのはほぼ確実

 省略

世界の転換はゴールドにとっての転換にもなりやすい

 今回の米中対立や中東情勢の変化のように今後の世界の形が大きく変わるときにはしばしばゴールドにも大きな動きがあります。

 

 英国から米国への覇権の移行時は金本位制の崩壊も同時に起こりました。第二次世界大戦終戦の約1年前に誕生したブレトンウッズ体制のもと、1オンス35ドルの金為替本位制が誕生しました。

 

 1970年代にペトロダラーシステムが生まれたときは、ニクソン・ショックによる金為替本位制の崩壊がありました。当時はスタグフレーションも重なり金価格は高騰しましたが、結局は不換紙幣としての米ドルが世界通貨となり、世界各国の外貨準備が「ゴールド→米ドル」にシフトしたことで通貨としてのゴールドは瀕死に陥りました。

 

 ソ連解体時はあまり金との関係はありませんでしたが、米国覇権体制が確立しテロ戦争の時代になると、金ETFの登場で金取引がますます自由化されて金価格が上昇していきました。

 

 そしてリーマン・ショックを機に、中国、ロシア等新興国を中心に金準備を増やす動きが強まり、新興国から外貨準備資産としてのゴールドの地位が少しずつ向上していきました。

 

 

 現在の米中対立が、米国と対立していたり一帯一路に大きくかかわるであろういくつかの国々の中央銀行の金準備増加につながっている流れをみると、今後通貨としてのゴールドの価値がじわりと上昇しそうです。これはゴールドの役割が増すことを意味しますから、普通に考えれば金価格の上昇につながりそうです。

 

 

 最後に、「アボマガ」のほうでは話しましたが「金のメルマガ」では話していなかったことがありましたので、話しておきます。日本円についてです。

 

 …

 

 上に並べた出来事が同時に発生すると、円建て金価格はいずれ大きく伸びていくと思います。

アボマガリンク


アボマガ・エッセンシャル(有料)の登録フォームこちら


アボマガお試し版(無料)の登録フォーム


このエントリーをはてなブックマークに追加   
 

関連ページ

ハイパーインフレ、基軸通貨の崩壊が株式に与える影響
COVID-19ワクチンの早期普及と量的緩和の拡大・拡充を期待する強欲な市場
「ピークオイル」は需要減ではなく老朽化・投資不足による供給減を指すことになる
市場は「Going To トラブル」?
機会を掴むには準備が肝心
「世界大恐慌×株高」というシナリオ
相場の終焉間際:コロナ禍で暇を持て余した素人投機家が市場に参入
米上場廃止?中国株ADRの行方
経済V字回復は厳しいが、金価格はV字回復
超高配当利回りとなった石油メジャー株
株価暴落時に守るべきたった一つのルール
COVID-19が石油需給に与える影響を考える
2020年、ドットコムバブル崩壊前後との類似点
アボマガで紹介した2銘柄のレビュー
アボマガで紹介している銘柄
「長期配当再投資+貴金属投資のハイブリッド戦略」
何故、金強気相場はこれから本気出すのか:マイナス金利、為替ヘッジ
ターニング・ポイント
ホルムズ海峡封鎖?短期的なエネルギー価格見通し
2019年、来るか、金融ショック
バブル崩壊は自分で気づく必要があるもの・輝きを増すゴールド
鮮明さ増す高インフレの流れ
有事の金
低リスク高リターンが見込める石油銘柄
見えない爆弾だらけの原油市場。目先にとらわれてはならぬ
備えあれば憂いなし
アルゴリズム取引の本格的な暴走までそう遠くはない?
中期的安定性の高い石油銘柄
原油価格は本当に、気分屋で困りますね(笑)
金価格は底打ち反転?不透明な将来への保険としてのゴールドの価値は増すばかり
ピーポじゃないよ!ヴィーヴォだよ!_2
ピーポじゃないよ!ヴィーヴォだよ!
割安なタバコ銘柄を探す
ESG投資:社会問題を相場吊り上げに利用する
日銀量的金融緩和はすでに瀕死、その先に待ち受ける「超円安」
「超円高」に期待しすぎてはいけない
消えかかるドル高材料、近づく金購入「ラストチャンス」
悪材料まみれになってきたテンセント_2
悪材料まみれになってきたテンセント_1
知ると知らずで大違い、配当再投資の隠れた特徴
配当再投資:雪だるま式に資産を殖やし残りの人生を謳歌する投資手法
人民元がゴールドにペッグしている??
「金価格の歴史的上昇トレンド」が新興国から始まる
米中貿易戦争勃発で米国株も怪しくなってきた。笑うのはロシア?
SECメンバーが「米国株式相場のクラッシュ」を厭わない規制導入を提唱した
米国政府の税収の1/4、1/3が利払いで消える日
金価格の伸び悩みはレパトリ減税の影響?
[2018/05/23]フラッシュクラッシュ時代、逆指値売り注文は自殺行為
[2018/05/16]新興国市場に赤信号点灯、世界金融危機の幕開け?
[2018/04/24]トランプが税制改革法案に埋め込んだ「マルウェア」
[2018/04/02]米国の自国優先主義は海外の金持ちを惹きつける
[2018/03/31]トランプは円安ドル高を許さない
[2018/03/24]リーマン・ショックから始まった金融市場の「真の終わり」の規模
[2018/03/17]新時代に向けて世界構造の破壊に本格的に着手し始めた米中
[2018/03/07]トランプの鉄鋼・アルミニウム輸入関税の真のターゲットはどこだ!?
[2018/02/28]物流、トランプ、中東、日銀...物価上昇・通貨減価懸念材料ズラリ
[2018/02/07]2018年2月5日-6日、世界同時株安だと?
[2018/02/03]144A for life -米国ハイイールド債市場を席巻する破滅的闇証券-
[2018/02/01]金利上昇が止まらないー草
[2018/01/24]米国経済が良くなると米国株相場はダメになる
[2018/01/10]配当再投資のリスク低減効果:私のポートフォリオの結果を材料に
[2017/12/29]2018年に向けて、金市場の動向をみる
[2017/12/06]ビットコインバブル→電力消費・発電問題発生→バブル崩壊
[2017/12/04]『金持ち父さんのこうして金持ちはもっと金持ちになる: 本当のフィナンシャル教育とは何か?』を読んでみた
[2017/11/27]トランプによる世界金融市場の大粛清がいよいよ始まりそうだ
[2017/11/23]トランプ税制改革は借り入れ依存企業への死刑宣告
[2017/11/18]ボラティリティ・ターゲット戦略は株式・債券市場を一瞬で破壊する
[2017/11/13]債券市場崩壊の初期段階がすでに現在進行中?
[2017/11/01]IMFは世界の中央銀行として世界を支配したいのか?
[2017/10/15]トータル・リターン・スワップの出現は第2のAIGショックの発生を暗示する
[2017/10/03]MiFID2は世界金融危機を拡大させ、大陸欧州を自滅に導く破壊ツール
[2017/08/26]世界金融市場クラッシュの予兆が見えた
[2017/09/21]暗号通貨に国債市場、日本円が抱える内憂外患
[2017/09/13]ドル離れの動きがFedの量的金融緩和政策再開を促す:その2
[2017/09/12]ドル離れの動きがFedの量的金融緩和政策再開を促す
[2017/08/24]日銀のETF買いは「貯蓄から投資へ」移行する家計を罠に陥れる
[2017/08/20]中国のシャドーバンキングスキームの崩壊はすでに始まっている
[2017/08/16]つみたてNISAのみの利用での長期資産形成は難しい
[2017/08/02]「金融の神様」がグローバル金融の崩壊を警告し続けている
[2017/07/26]世界の大揺れが確実に近づいています
[2017/07/13]「世界金融市場大揺れへのカウントダウン」は、すでに始まっている
[2017/07/09]相変わらず「自身の出口戦略」にしか興味のない日銀・黒田総裁
[2017/07/04]「悪徳」銘柄への投資こそ、年金運用には向いている...!?
[2017/06/29]短期の変動に目を奪われすぎず、本当のリスクに焦点を合わせよう
[2017/06/18]イエレンさん、本当にバランスシート正常化なんてできるの?
[2017/05/18]備えはお早めに:ゴールドへの備えに適した期間は着実に減っている
[2017/05/05]中国金融市況の悪化が米国株式市場の熱狂を生んでいる
[2017/04/29]中国金融当局のレバレッジ是正勧告は世界市場を溶かすかもしれない
[2017/03/07]FRBが3月利上げしそうですね。米国経済が回復していないなかで。
[2017/02/25]インサイダーたちによる爆売りブーム...米国株式市場のバブルの宴のフィナーレが迫っている
[2017/02/17]米国債しか頼れない日本、アジア国際金市場を着実に発展させている中国
[2017/01/24]トランプ政権は米ドル・米国債に対する大胆な政策を画策しているかもしれない
[2016/11/15]トランプの当選が市場に与える影響
[2016/11/05]今後世界の株価が大きく下がることは時間の問題
[2016/10/18]官製相場にかなり近づいた国債市場:日銀の八方美人的な振る舞いに潜む「テーパリング」への道

▲記事本文の終わりへ戻る▲

▲このページの先頭へ戻る▲