相場の終焉間際:コロナ禍で暇を持て余した素人投機家が市場に参入

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相場の終焉間際:コロナ禍で暇を持て余した素人投機家が市場に参入

2020/06/15

 

[アボマガお試し版 No.125]ファーウェイ vs O-RANの記事(一部)です。2020/06/15に配信したものです。

 

 

素人投機家が市場を動かす

 11日に突然米国株価が急落しダウ平均は1861ドル安となり、過去4番目に大きな下落となりました。多くの人にとって不意を突かれたことでしょう。

 

 タイミングとしてはナスダックが最高値を更新したばかりです。年初来のナスダックのリターンがゴールドのリターンを抜かすかどうかのタイミングで急落しました。

 

 

 株価暴落の理由として言われているのが、Fedのネガティブな経済への見通しと感染第2波への懸念からです。

 

 先日10日ののFOMCでパウエル議長は、数百万単位で多くの人々が前の職場に戻れず、職を見つけるまで何年もかかる可能性があると述べました。

 

 最新のOECDの経済見通しによると、今後感染の第2波が起ころうがおこらまいが、高い失業率が2021年にかけて続くとしています。

 

 感染が第1波だけで収まっても、OECD加盟地域の今年の失業率は9.2%2021年のOECDの失業率は8.1%だとしています。

 

 感染第2波が起こった場合、今年の失業率は10.0%、来年は9.9%と予測しています。

 

 たしかにこれを見れば、パウエル議長が懸念するのはわかります。

 

 

 

 もう一つは米国での感染第2波が始まったとの見方が出てきたためです。

 

 現在までブラジル、ロシア、インド、メキシコ、中東など新興国を中心にCOVID-19の新規患者数が増えてきましたが、米国の新規感染者数は一日当たり2万人台と多いながら、漸減傾向が続き、各州は次々と都市封鎖を解除していきました。

 

 しかし都市封鎖の解除からあまり時間が経たないうちに、アリゾナ、アラバマ、テキサス、カリフォルニアを始めとした米国中部・西部を中心に新規感染者数が増えています。

 

 下図を見る限り、14の州・地域は一日当たり新規感染者数が過去最高水準となっています。

 

 

 

 心配されているのが病床不足とそれに伴うCOVID-19患者の死者数の急増です。

 

 下図はテキサス州のCOVID-19患者の入院者数の推移です。都市封鎖解除の第2弾を行った後にまもなく入院者数が再び増加を始めました。

 

 現在の入院者数は4月前半と同じレベルで、3月のピーク時に達する勢いとなっています。

 

 

 

 黒人暴行死事件の抗議デモが今月に入り全米中で過熱化しました。三密状態の抗議デモ参加者同士の感染拡大が進み、少なくとも今月末にかけて新規感染者数が伸びることは十分考えられます。

 

 また世界的に、主に近隣諸国とのあいだの渡航制限を解除する動きが強まっています。7月以降、日本、欧州、オーストラリアなどで再び感染拡大が始まり、感染第2波への懸念が一層強まるおそれがあります。

 

 高い失業率が数年続けば、これまで市場が期待していた世界経済のV字回復達成は困難となります。感染の第2波が生じれば尚更です。

 

 今回の株価暴落は、これまでの株高を支えてきた市場の前提としていた見通しが崩れたために起こったわけです。

 

 

 しかし失業と感染拡大に関する市場の見方には、まだ楽観要素が含まれています。

 

 ・・・

 

 しかも、現在の金融市場は文字通り賭博場と化しています。下図のように3月以降に多くの米国個人が証券口座を開設ました。

 

 Fedの金融緩和策が少なくとも2022年まで続く見通しのなか、コロナ禍での都市封鎖が進み外出禁止となり、暇を持て余した米国人の若者が株式投資に興じるようになったのです。

 

 

 

 彼らはハーツ等の破産申請を出した銘柄、航空株・エネルギー株・クルーズ船株等のコロナ禍で暴落した銘柄、その他テクノロジー株、大麻株などに手を出してきました。

 

 

 またETFを通じてハイイールド債にも手を出してきました。

 

 

 現在は素人投機家が相場を動かしているのです。バブル末期に投資のイロハも知らない人々が市場に参入することは、いよいよ相場崩落のカウントダウンが点灯したことを意味します。

 

 

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