原油価格は本当に、気分屋で困りますね(笑)
2018/11/22
今回は原油についてのお話です。
10月に入り、これまで上昇基調にあった原油価格が急落し始め、一気に下落基調となりました。このまま原油価格は下落を続けるのでしょうか。
一方でサウジアラビアの深刻な財政問題をはじめ、世界の産油国は原油輸出で稼ぎたいインセンティブがこれまで以上に強いように思います。
一体、今後の原油市場の動向がどうなるかとても気になりましたので調べてみました。今回は投資という目線で原油についてみていきます。
の記事(一部)です。2018/11/20に配信したものです。
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2019年に掛けて原油価格は軟調に推移しそう
まずは原油価格について見ます。原油価格は2014-15年の暴落で1バレル30ドル程度で底打ちし、世界経済の回復やOPEC加盟国・非加盟国による協調減産で需給がタイト化し、原油在庫の急速な縮小もあってその後は原油価格は上昇していきました。
2018年に入ると需給がバランス化し原油在庫の縮小も止まりましたが、それでも原油価格の伸びは続きました。
しかし今年の後半に入ると、供給増で在庫がやや増加傾向へと変わりました。そして10月以降、原油需要が急減し始めて原油需給が緩み、原油価格も急落し始めたのです。現在、WTI原油価格は1バレル57ドル程度で、1年間の上昇分がすべて消えました。
上画像ソース: Bloomberg
下画像ソース: OPEC
原油需要減の一番の要因は、対ドルの新興国通貨の下落に伴う新興国の石油需要減のようです。新興国通貨が下落し、新興国通貨建ての石油製品の価格が大きく上昇したため需要が減少したのです。
インドではルピー建てのガソリンや重油の価格が過去最高を記録し、インド政府は燃料税を減税し石油企業に価格の引き下げを求めています。中国でも人民元建て原油価格が1年間で28%上昇しました。原油輸入新興国でエネルギーインフレが起きているのです。
[2018/10/14 Bloomberg]Oil Demand Is Cooling. Just Don't Expect Prices to Follow
新興国通貨はFedの利上げ・量的引き締め継続やECBの量的金融緩和が今年終了見込みであること、米中貿易戦争が長期化しそうなことから、来年にかけても軟調な動きが続きそうです。
また来年は世界経済が低迷すると見られており、これも原油需要減につながるとみられています。市場は米国の経済成長率がピークに達したとの見方ですし、中国の経済指標はどれも低下傾向で今後も中国経済成長率はダラダラ下がりそうです。
OPECとIEAは2019年の世界経済伸び率のコンセンサス引き下げに伴い、原油需要の伸び率を引き下げています。
供給については米国の供給増が今後も続く見通しで、2019年は需要増を上回るペースで供給増となりそうです。
協調減産に合意しているOPEC加盟国・非加盟国が計100万バレル(日量)を追加で減産すれば話は別ですが、そうでなければ少なくとも2019年いっぱいは需給が緩む状況が続き、原油価格も軟調に推移しそうです。
ここまでの話では、どうも原油価格は今後もしばらく下がりそうで投資対象としては魅力的でないように映るかもしれません。
しかし視野を広げるとまったく別の結論に至ります。
中期的には原油価格が上昇する確率が高い
(省略)
以上から、個人的にはIEAが予測するように、2020-25年にかけて原油価格が上昇しやすい局面に入ると思います。
2025年以降の長期となると、自動車の燃費向上や電気自動車の普及により原油需要の伸びが緩やかになるとみられており、原油に強気にはなれません。
しかし2025年までの中期で考えれば、これからの短期的な軟調な原油価格は私たちに石油銘柄への投資チャンスを与えてくれそうです。
次回は中期的安定性の高そうな石油銘柄を紹介します。
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