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Norm理論とは何か

   今回は心理学の一つの理論であるNorm理論を紹介します。


   Norm理論は心理学者のダニエル・カーネマンとデール・ミラーが1986年に提唱した理論です。 Norm理論は人間心理のフレームワークについてのアイデアを提供してくれるとともに、私たちが生きていく上での一つの重要な教訓を教えてくれます。

Norm理論とは何か

   Norm理論とは、私たちは頭の中にいろんな状況に応じたNorm(基準、デフォルト)を持っており、Normを頭の中から無意識に引き出すことでイメージしたり感情を表現したりするという理論です。


   例えば"鳥"と聞くと何を思い浮かべますか。 皆さんの多くはハト、スズメ、ニワトリといった鳥を思い浮かべるのではないでしょうか。 しかしトンビやガチョウといった鳥はすぐには出てこないですよね。 鳥と聞いて真っ先にガチョウを思い浮かべる人は、きっと普段からフォアグラを食している裕福な方なのでしょう。


   鳥と聞いて上のように真っ先にに思い浮かべる鳥というのは一つのNormです。 つまり"鳥に対するハト"は私たちにとって一つのNormなのです。


   もう一つ、今度は次のようなことを考えてみましょう。 例えば「鳥が何羽も集まって近所の公園でたむろしている」という文章を見てどんなイメージを想像できますか。


   多くの人は「ハトが集団で公園の一角をウロチョロしている」様子を想像していることでしょう。 人によってはハトではなくてスズメが整列して並んでいる姿を想像しているかもしれません。


   しかしカラスが公園で何羽も集まってたむろしている姿は中々想像できませんよね。


   これも一種のNormです。 文脈から自分の中のデフォルトの情景を自らの経験などをもとに瞬時に引き出しているのです。


   カラスが公園で何羽も集まっているというあまり経験しないことはデフォルトとは認識されず、ハトやスズメなどごくありふれた光景をNormとして引き出すのです。


   このように私たちは言葉や出来事、鳥といった抽象的なカテゴリーを考える際に、無意識のうちに常にこうしたNormを頭から引き出しているのです。 そしてNormを引き出して考えることが、人間の考える行為の基本とも言えます。


   様々な経験を通じてその人独自のNormが形成され、こうして形成されたNormを通じてその人独自の個性的な考えができるのです。

コミュニケーションが成り立つ理由

   Normというのを直感的に理解してもらうために、コミュニケーションという例をあげましょう。


   人間同士が会話をするときに、話が噛み合うこともあれば噛み合わないこともあります。 気の知れた友達同士や同じ境遇の人とは話がよく噛み合いますが、初めて会った人やまるっきり育った環境が違う人同士だと話が噛み合いません。


   話が噛み合うか噛み合わないか、これを決定づける要素がNormといえます。 会話している者同士で共通したNormがあれば話は噛み合いますし、そうでなければ話は噛み合いません。


   親しい人同士だと、ちゃんと具体的に言葉を言わなくても何となくのニュアンスで話が通じるようになります。


   それはお互いの今までの会話の内容、相手の性格といった経験を通していろんな文脈における共通のNormが出来上がっているからです。 共通のNormがあるからこそ、言葉が多少足りなくてもお互いに同じようなことをイメージすることができるのです。


   人間の共通のNormを形成していく、これが仲を深めて円滑な関係を築き上げる心理的な本質であると言うことができます。


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