Cognitively Busyとは-不安が負担を生む-


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Cognitively Busyとは-不安が負担を生む-

   今回はこちらの記事に引き続き、System2の弱点についてです。


   System2の力を弱めてしまう心理的な状態である、Cognitively Busyについて説明します。

Cognitively Busyとは何か

   気持ちがCognitively Busy状態であるとは、ある一つの物事に頭が集中していたり意識が向かっているために、他のことを意識的に考えることが苦手になってしまう状態のことを指します。 つまり既に一つの物事にSystem2が使われているときには、他のものを中々System2に使えなくなるのです。


   例えば仕事を行っている最中にメールや頻繁に飛んできたり突然雑用を振られたりすると、イライラして中々仕事に集中できませんよね。 これはCognitively Busyになってしまっているからです。 いままでの作業にSystem2が使用されていたため、メールや雑用を振られると気が散ってしまうのです。


   しかもいま集中している作業から別の物事に頭を切り替えるにはとても大きなエネルギーが必要です。 仕事に集中しているときにメールや雑用等が振られたとき、頭を仕事脳からメール返信や雑用こなす脳に切り替えるのは負担がかかるのです。


   相手に次から次へとひっきりなしに作業を頼むことは、Cognitively Busyによる集中力の低下だけではなくて、頭を切り替えるエネルギー負担によって仕事のダメージを増やしてしまうのです。


   Cognitively Busy状態になるのは何も複数のタスクをこなすときだけではないです。 自分の気持ちがCognitively Busyを引き起こすこともあります。


   どういうことかというと、不安な気持ちで頭がいっぱいになると、System2が不安に満たされてしまって他の作業を行いにくくなるのです。


   例えば皆さんが大学受験を受ける前の気持ちを思い出してみてください。 受験に受かるかどうか、物凄く緊張して心配で心配でしょうがなかった人もいることでしょう。


   このような不安が頭をよぎってしまうと、どうにか不安を抑えようと頭の中をなだめようとします。 しかし不安を抑えよう不安を抑えようという意識が強くなってしまうと、勉強や目の前の試験に中々集中できませんよね。


   これもCognitively Busyによるものです。 不安に意識が持っていかれているため、他のものに中々意識をもっていけなくなるのです。

世の中におけるCognitively Busyの関わり

   Cognitively Busyは世の中いたるところで関わっています。


   例えばマーケティング。 通販やスーパーなどで「限定50品」「セールは今日まで」などといった制限を課すことがよくあります。 これは限定といった言葉で「このチャンスを逃したらもう二度とチャンスはない」という後悔を購買者に押し付けることで、購買者のSystem2を不安に満たしているのです。


   そのため「本当に自分に必要なのか?」という冷静な判断がしにくくなり、こうした後悔に対する不安から勢いで限定品やセールス品を買ってしまうのです。


   また電話を使った高齢者に対する詐欺でもCognitively Busyは使われています。


   息子を装って高齢者に電話を掛け、「30分以内に500万円が必要なんだ」と高齢者を焦らせてすぐにお金を振り込ませる詐欺なんかはまさにCognitively Busyの悪用です。


   不安で頭をいっぱいにさせてSystem2が思うように働かせないようにすることで、高齢者の判断力を下げた状態で何とか振り込ませようとしているのです。


   さらには宗教勧誘でもCognitively Busyは大いに関わっています。 宗教勧誘では自分の人生に不安を持っている人ほど入信させやすいものです(昔、実際に宗教勧誘経験のある人から直接聞いたことがあります)。


   自分の将来に不安になるとだんだんパニックになり、System2によって落ち着いて物事を考えられなくなるもの。 そんなときに優しく声を掛けてくれると、「自分のためを思ってくれている」「これだったら自分を変えられるかも」、そういう気持ちが勝るものです。


   疑うにはSystem2が必要ですが、信じたり勢いに任せて行動することはSystem1によって簡単に出来てしまいます。 このためCognitively Busy状態でSystem2が働きにくいときには、無駄な商品の購入や詐欺、それに宗教勧誘といったものに無意識のうちに肯定しやすくなるのです。


   上のような例を見て、マーケティングや勧誘に関わっている人たちをすべて「Cognitively Busyを利用している嫌な奴らだ」と考えるのはさすがに極論過ぎですが、こちらとしては謳い文句に易々と近寄らずにちゃんと冷静に考えた上で、自分が最も納得できる行動に移したいものです。


   Cognitively Busyを頭では知っていても、とっさに頭から引き出すことは難しいと思います。 なのでちょっと時間をおいて「Cognitively Busy状態になっているかも...」、そんな風に自分を客観視できるかどうかが自己防衛のポイントとなるでしょう。

関連リンク

   ・System2の働きは感情を押し殺すことでも鈍くなります

   →Ego Depletionとは-感情を押し殺すことの代償-


   ・複数の作業をこなすとSystem2が疲弊してしまいます

   →複数の作業を同時にこなすと負担が掛かる-Switching costとMixing cost-


   ・System2を使えば使うほど楽に使えるようになっていきます

   →System2は使えば使うほどエコに使える-やり始めは何事も大変-


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