社会の末期では確証バイアスは我々を地獄に落とす


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社会の末期では確証バイアスは我々を地獄に落とす

   今回は確証バイアスの恐ろしさについてです。


   人間には自分が正しいと思ったことに行動や考えが依存しやすいという、確証バイアスと呼ばれる性質が宿っています。 確証バイアスによって私たちは常識や終身雇用といった社会的神話をあまり疑いを持たずに信じてきたのです。


   しかし私たちが正しいと思ってきた現代社会の掟は、所詮は正しいと思ってきただけに過ぎません。 もしそれが実は正しくなかったらどうなるのでしょうか? そして本当は正しくなくても社会全体が正しいと信じ続けたらどうなるのでしょうか?


   これは場合によっては破滅を生むことにつながります。

社会の末期では確証バイアスは我々を地獄に落とす

   この世には確証バイアスに絶対にしたがってはいけない場面が存在します。 その典型は社会の末期です。


   人間社会は興亡の繰り返しです。 一つの社会、秩序が構成されても、それが永遠に続いたことは歴史を見てもありません。


   もし一つの社会が末期に突入しており、もう短い時間で社会が崩壊するときにいつまでも確証バイアスによって現在の社会が正しいんだ、永遠に続くんだと思ったらどうなるでしょうか。 実際に社会が崩壊して社会全体が狼狽して、我々を地獄に落としてしまいます。


   例えば株価は永遠に上昇し続けるというバブルを信じてしまった人たちはどうなったでしょうか。 株価下落によって資産をぶっ飛ばしてしまって、富豪から不幸への哀れな転落です。


   日本の1980年代のバブルでも、「土地の価格は上昇し続ける」「政府が株価を下げるような政策を行うはずがない」と投機家、それに銀行や一般企業も信じてしまい、投機、際限のない融資、財テクといった考えられないような愚行を行ってきました。


   東大の御用経済学者も、「トービンのq」と呼ばれる指標を復活させて「いまの株価は割安だよ」と宣伝する始末。 (トービンのqとは時価総額を企業がもつ資産の時価で割ったもの。当時は分母に来る土地の資産を企業が多く保有し、価格もバブル水準だったため、トービンのqを計算すると割安に見える。時価を時価で割るという愚行)


   こうして日本社会全体が「株価、土地の価格は永遠に上り続ける」と信じたあげく、バブルは崩壊。 夢から醒めても時すでに遅し。 多くの投機家がぶっ飛び、不動産融資をしていた銀行は地価の大幅下落によって経営破綻の危機、そして山一證券の破綻...


   その後日本経済は20年以上、一度もバブル期のような浮揚を遂げずにいます。 日本国民の生活も長期的にじわじわと困窮、国の借金も急増... バブル期の確証バイアスのツケは大きいのです。


   また日中戦争や太平洋戦争で日本軍を指揮していた権力者たちはどうだったでしょうか。 天皇をトップとする思想を全世界に広めるという信念を持って、戦争に加担した人々はその後どうなったでしょうか。


   彼らの中には敗戦を迎えた後にA級、BC級戦犯となって断罪されたり、戦時中の罪を問われるのを恐れて自決を遂げたという悲惨な末路を迎えています。


   そしてこうした権力者の思想について来させられた国民はというと、皆さんご存知の通り300万人もの尊い命の犠牲を強いられました。 原爆も落とされました。


   さらに戦後も産業の衰退やインフレによって、少なくとも朝鮮戦争が勃発するまでの5年間は生活は困窮しました。 戦時中の困窮も含めると、結局10年以上は国民は苦しい生活を強いられたわけです。


   社会が末期に差し掛かって崩壊直前のときでさえも、確証バイアスによっていままでの社会が正しいことにとらわれていると、いざ崩壊が起こったときに想像できないほどの甚大な被害が生まれてしまうのです。

確証バイアスは見たくない現実を認めさせない

   一つの社会が終わりを告げるときや崩壊間近のときには、事前に何かしらの兆候があるものです。


   株価の大暴落の直前にはちらほらと大暴落を懸念する声がだんだんと聞こえてきたり、貿易統計や債券利回りといった経済や金融の何らかの指数が悪化したりするもの。 また株価も丸天井を帯びてきます。


   おそらく投資を行っている人たちも何となく「この先ヤバイかも...」と感づき始めると思います。


   しかしそれでもいままで株価があがり続けると自分も社会も信じてきたので、確証バイアスによって大暴落の兆しを否定する、見なかったことにする。 まだこれからもきっと株価は上がり続けるんだ、そう信じ続ける。


   そうやって大暴落という大瀑布にいつの間にか飲み込まれて、気付いた時には一気に底にたたきつけられている。


   太平洋戦争を指揮していた人たちの中にも、海軍が壊滅して本土決戦が免れなくなったり、アメリカによる度重なる空襲でもはや勝ち目はないことを何となく気づいていた人もいたことでしょう。


   それでもここで敗戦を認めたら今までは何だったんだという後悔をしたくないという感情にはまり(Sunk-cost fallacy)、天皇のために戦うんだという思想を確証に「一億玉砕」という常軌を逸した無謀な作戦を平気で画策する。


   こうした感情がもたらしたものが、東京大空襲、沖縄戦、そして原爆投下です。


   絶望的な未来を迎えつつあるときに、自らの心理的、精神的負担を受け入れてでも現実と向き合い、冷静な判断をして最悪の被害を免れるよう努めるのか? それとも確証バイアスに従って見たくない現実を見ないフリ、気づかないフリをして絶望的な未来へ自ら飛び込んでいくのか?


   社会の末期にはこうした岐路が待っており、しばしば社会は確証バイアスにしたがって後者を選択してきたのです。


   **********


   最後に、いまの日本はどうでしょうか。 社会はこれから浮揚しそうですか?それとも沈んでいきそうですか?


   もしも沈んでいきそうなら、厳しい現実を把握して自分なりの対処を行っていますか? それとも沈んでいくのがわかっていながら「まだ大丈夫」と信じていままで通りの生活を送っていますか?


   将来まだ見ぬ耐えがたい苦痛を負うも避けるも、あなた次第です。

関連リンク

   ・どうやら人間は行動の源は信じることにある?

   →人間の行動は信じることから始まる?-自ら信じられることを能動的に探すことが大切-


   ・医者でさえも確証バイアスによって知らず知らずに誤診をしてしまうものなのです

   →確証バイアスと医者-誤診の裏に自信あり-


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