実力を運と勘違いする-慢心を防ぎ自らを成長させるための心構え-


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実力を運と勘違いする-慢心を防ぎ自らを成長させるための心構え-

   今回は私が頭の片隅に常においている一つの心構えを紹介します。 それは「実力を運と勘違いする」というものです。


   「実力を運と勘違いする」というのは、ほとんどの人にとっては直感に反した、ちょっと気持ち悪い心構えに見えるかもしれません。 しかし成功に慢心しないストイックな気持ちで何事にも取り組んでいく、そういう精神を持ちたい人にとって、一つの心構えの手段として役に立つものと私は考えています。

実力を運と勘違いするとは

   普通人は運を実力と勘違いする生き物です。 偶然によって得られた成功を実力と考え、自分の実力不足による失敗を周りの環境や人のせいにしたり、はたまた運が悪かったで片づけてしまいます。


   こうした傾向は投資家やアナリストなど、不確かなものを扱う人に対して特に顕著です。 2014年7-9月期のGDP成長率予測で、すべての主要アナリスト達は前月比に比べてGDPがプラス成長すると予測していました。


   しかし蓋を開けてみると、実態はまさかのGDPマイナス成長。 アナリストの予測がすべて外れただけではなく、このマイナス成長という事実によってGDPが2期連続のマイナスになり、世界各国から日本は不況入りしたとこぞって認識される事態となりました。


   その後日本のメディアを見ると、まさかの言い訳ラッシュ。 「予測するためのデータが十分に集まらなかった」「予測は簡単ではないことをわかってほしい」という、経済の予測家たちを擁護する記事が乱立していました。


   このように不確かなものを扱う人たちは上手くいけばドヤ顔する一方で、失敗すれば周りのせいにしてしまうのです。


   ※もちろん彼らのすべての成功は偶然によるものとは言っていません。 実力を伴う成功も数多くあるでしょう。 しかし不確かな分野におけるどんな成功もすべて彼らの実力、どんな失敗もすべて運の悪さ、例外だと一緒くたんに考えることが許される風潮がセコいと思っているだけです。


   もちろんこういった考えは自然です。 誰だって自分の成功を自分の実力と考えることで優越感を感じられますし、失敗を自分のせいにしない、運が悪かったと決めつけることで自分に対する劣等感を抑えたいものですから。


   しかし私は上とは逆の考えを持っています。 それは、上手くいかなかったのは自分が悪いためと考え、上手くいったことは運が良かったと思うようにしているのです。 つまり実力を運と勘違いするのです。


   では私は何故実力を運と勘違いするように努めているのか。 こう考えている一番の理由は自分を常に成長させたいと考えているからです。


   上手くいかなかったときに自分のせいであると考えることで、失敗したときやうまくいかなかったときに反省点や次どうすれば良いのかと考えることを怠らない意識を持つことができます。


   一方で成功したときにはたまたま上手くいっているだけだと考えることで、現状の自分に満足したり慢心することなく、常に危機感や意欲をもって先を見つめたいと思っているのです。


   実際私がいままで上手くいったことは運がかなり関わっていると思っています。 受験で国立の大学に受かったことや、数学という自分の思考の基礎を築かせてくれたものに出会えたことは、決して実力だけではなく運の要素も大きいと思っています。


   この考えは自身の過大評価を防ぐ上でも大切だと考えています。 つまり自分で自分に隙を作らせないのです。


   成果をすべて自分の実力だと思ってしまうと、次第に自信過剰になりやすくなります。 しかし自信過剰になってしまうと、自分の直感を信じて行動することが多くなってしまい、じっくり頭を使って考えたり行動する努力を怠りやすくなっていきます。


   自分は天才だ、自分の直感に誤りはないといった考えに陥ってしまい、自分に都合の悪い事実を無視して客観的に物事を見られなくなりがちになってしまいます。


   別の言葉でいえば、Cognitive Ease中毒に掛かり直感で考えることが快感になってしまうのです。


   もしも自分の成功が本当に自分の実力によって得られたのならまだしも、たまたま成功しただけなのに自信過剰になるのは問題です。 自分のこれからの成長も阻害してしまうし、ましてや株式投資などで運よく成功していた場合は調子に乗ったあげくに最後は大損なんてこともありえますから。

実力を運と勘違いすることのデメリット

   ただ自分の成功を運と捉えることには多少デメリットもあります。 それは自分の成功に対する感情が淡白になってしまうことです。


   自分の成功を運と捉えることは自分が成功した原因を「自分にはない」と考えることになります。 そうすると当然ですが、自分の成功を感情を爆発させて素直に喜ぶことはできなくなります。 「ラッキー」くらいに思うくらいです。


   人が喜びや悲しみといった感情を表現するためには、心理的リンクの形成が重要な役割を果たします。


   例えば阪神が巨人に勝つと阪神ファンは"自分が"勝ったかのように喜び、巨人に負けると"自分が"負けたかのように劣等感を感じます。 これは阪神ファンの人が、自分と阪神球団との間に心理的なリンクをつくっているからです。 阪神の勝ち負けが心理的リンクを通じて自分の感情に反映されるのです。


   自分が成功した要因を運と考えると、自分と自分の成功との間に心理的なリンクをつくらないことになります。 そう考えると、上に述べたことから喜びを素直に表現しにくくなるのです。

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし

   「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉があります。 野球好きなら誰もが知っている、野村克也氏の代名詞の一つですよね。


   元々は江戸時代の随筆家である松浦静山が述べた言葉です。 「負けには必ず負ける要素がある一方で、勝ちにも負ける要素が含まれている可能性があるから慢心するな」という意味が込められています。


   勝ち→成功、負け→失敗と置き換えると「成功に不思議の成功あり、失敗に不思議の失敗なし」となります。 失敗の意味を考え、反省し、成功しても慢心しない。


   「実力を運と勘違いする」という考えは、この言葉の精神を反映させたようなものです。 失敗はすべて自分の責任として受け入れ、成功しても運とみなすことで慢心を防ぐのです。


   自分の実力を運と勘違いすることは、自惚れず常に自らを最大の批評家にして客観的に自分を見つめる手段なのです。


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