中国政府の規制強化とブラックストーンとの関係


ネットでらくらく日本語対応「海外⇔日本」双方向送金。
海外送金サービスの「黒船」が日本に来航してきたぞ!

メルマガ最新号
  • [アボマガ No.75]「バブル」2(配信日: 2019/06/13)
  • [金のメルマガ No.10]最終回:備えあれば憂いなし(配信日: 2018/12/07)

→登録はこちらから

中国政府の規制強化とブラックストーンとの関係

2018/03/21

 

【2018/03/14 ブルームバーグ】中国投資、ブラックストーン株を全て売却-IPO以来の投資に幕

 

中国の政府系ファンド(SWF)の中国投資(CIC)は、保有する米投資会社ブラックストーン・グループの株式を売却した。これによりCICは、新規株式公開(IPO)以来10年余り続けてきたブラックストーンへの投資に終止符を打った。

 中国政府にとって、ブラックストーンへの出資は歴史的な取引でした。

 

 第二次世界大戦終了後、中国政府がブラックストーンの新規公開株に対し30億ドルを出資する2007年までのあいだ、中国政府は一切外国株式に出資したことがなく、また中国政府が外国株式の購入を可能とするような法律もありませんでした。
【2017/06/07 Bloomberg】Q&A With Steve Schwarzman: “There Are No Brave Old People in Finance”

 

 2007年は中国が「金融版改革・開放」とも言える動きをさらに強めた年です。

 

 2007年は1月に当時の温家宝首相が全国金融工作会議で「外貨準備の運用ルートの多様化」を宣言し、3月には全人代で外貨準備を原資とした投資会社設立について政府の了承が得られました。この投資会社はCICのことで、6月にはCIC設立の具体的なスキームが発表されました。

 

 この流れのなかで、同年5月に中国政府はブラックストーンの新規公開株30億ドルへの出資を発表したのです。

 

CIC設立までの流れ

画像ソース:みずほ総合研究所 ※PDFファイル

 

 中国側は出資交渉の際に「4年間(最初の要求は3年間)は保有し、その後は1/3ずつ段階的に売却する」ことを主張し、ブラックストーン株式を長期保有する意図ははじめからなかったと考えられます。

 

 実際にCIC側はブラックストーン株式を段階的に売却していったようです。

 

 中国側は金融の改革・開放に関するある目的のためにブラックストーンへの出資を決めたように見えますが、その目的が達成されたのでしょうか?

 

スポンサーリンク

中国の対外投資規制強化とブラックストーンとの関係

 中国政府は2016年末ごろから企業の対外投資規制を強めてきました。現在、ここ数年で海外投資を積極的に行ってきた中国企業に対する中国当局の監視はますます強まっています。

 

 実は中国規制当局による企業の監視が強まり始める以前より、一部中国企業がブラックストーンとの取引を通じて海外の不動産や不動産関連資産を購入してきた事実があります。

 

 破綻懸念がくすぶる海航集団(HNAグループ)、最近公的管理となった安邦保険集団(Anbangグループ)。この2つの企業は2016年前後にブラックストーンと何回も不動産関連取引を行ってきたのです。

 

 検索エンジンでざっと調べただけでもこれだけのブラックストーンとの取引が出てきました。

 

[(売)ブラックストーン→(買)海航集団]

 

【2016/04/06 MINGTIANDI】BLACKSTONE SELLS TYSAN STAKE TO HNA FOR $337 MIL
 香港不動産開発企業である泰昇集団の株式
 3370万ドル

 

【2016/10/05 WSJ】ブラックストーン、中国ITアウトソーシング会社を売却
 文思海輝技術(パクテラ・テクノロジー・インターナショナル)
 6750万ドル

 

【2016/10/24 CNBC】China's HNA Group to buy 25% stake in Hilton
 ヒルトン株式
 65億ドル(1株あたり14.6%のプレミアムで)

 

[(売)ブラックストーン→(買)安邦保険集団]

 

【2014/10/14 HOTEL MANAGEMENT】Intrigue and espionage: Concerns arise over Waldorf Astoria sale
 ウォルドルフ=アストリア(マンハッタンにある高級ホテル)
 約20億ドル

 

【2016/09/27 Bloomberg】Anbang Said to Complete Most of $6.5 Billion U.S. Hotels Deal
 2016年3月に合意した、Strategic Hotels & Resorts Inc.が保有する16のホテルの購入のうち、15のホテルの購入完了
 最大65億ドル

 

【2016/10/10 Asia Property】Blackstone sells ?500m of Netherlands office assets to insurance arm of China’s Anbang
 ブラックストーンのオランダオフィスが保有するポートフォリオ
 5605万ドル

 

【2017/06/01 HOTEL MANAGEMENT】Anbang acquires Blackstone's DoubleTree in Amsterdam for $391.6 million
 オランダ・アムステルダムにあるダブルツリー(ホテル)
 3961万ドル

 

 以下は取引に関する話し合いが行われたが、結局断念となったもの

 

 スターウッド・ホテル&リゾート
 140億ドル

 

 ブラックストーンが日本に保有する複数の不動産
 23億ドル

 

 またブラックストーンではないですが、安邦保険集団は2016年にクシュナー・カンパニー(トランプの娘婿クシュナーの家族が保有する不動産開発会社)とともに、マンハッタンの「666 Fifth Avenue」にある高層ビルの再開発事業のための合弁企業設立について話し合いを行っていましたが、結局失敗に終わりました。

 

 ちなみに同じマンハッタン5番街にはロックフェラーセンターやトランプタワーがあります。666は悪魔の数字です。

 

 海航集団や安邦保険集団はブラックストーンを介して世界中の不動産を直接・間接的に購入してきたのです。特に公的管理下に置かれた安邦保険集団が積極的に取引に携わってきたことがわかります。

 

 海航集団も安邦保険集団も、2016年秋にブラックストーンとのビッグディールを行っています。中国政府が対外投資規制を強め始めたのは2016年末~2017年初であることから、これらビッグディールが行われた直後のタイミングとなります。

 

「ストーン」と落ちる、「ブラック」な未来

 リーマン・ブラザーズの元社員2人によって設立された投資会社ブラックストーンの財務状況は黄色信号がともっています。

 

 純利益こそ黒字ですが、その多くは保有資産の含み益によるものです。営業キャッシュフローを見ると2年連続のマイナスで、2017年は25億ドルのマイナスと過去10年で最悪です。にも関わらず配当金はいまだに28億ドル支払っています。

 

 一方で2017年には76億ドルという過去10年で最高額の借入を行いました。営業キャッシュフローのマイナス分や配当金の支払いをを借入で賄っているという、危険な財務体質にあります。

 

 さらに気になるのは、Accrued liabilities(未払負債)が増えて営業キャッシュフローのマイナス幅を悪化させていることです。これは役員報酬や退職金等に関する現金流出入を表しており、このマイナス幅が拡大しているということは、役員報酬等の支払いが増えていることを意味します。

 

ブラックストーンのキャッシュフロー計算書

画像ソース:MorningStar

 

 実はシュウォースマンCEO(創業者の一人)は保有するブラックストーン株式からの配当金と役員報酬でボロ儲けしており、2017年は計7.86億ドルのもの報酬を得たのです。2015年には4.25億ドル、2016年には7.34億ドルの報酬を得ています。
【2018/03/02 Reuters】Blackstone Group CEO Schwarzman took home $786 million in 2017

 

 もし営業キャッシュフローのマイナスが続いており資金繰りが厳しい状況で、CEOが本気で経営を立て直す気があれば、役員報酬を減らしても良いはずです。

 

 にも関わらず役員報酬の支払いがうなぎのぼりでCEOが相変わらず多額の報酬を受け取っているということは、シュウォースマンCEOやその他経営陣はブラックストーンに暗い見通しを持っていることを示唆します。おそらくシュウォースマンCEOは近々トンズラするつもりでしょう。

 

 ブラックストーンはここ数年、保有資産に占める運用手数料収入の割合が減っており、キャッシュ獲得効率がジリジリ悪化中です。

 

 またブラックストーンはプライベート・エクイティや不動産という流動性の低い資産を多く抱えており、資金繰りに窮してもそう簡単に換金できません。Fedの利上げ・資産縮小やトランプの貿易戦争等による金利上昇局面という外部環境が、保有資産の売却を今後さらに難しくします。

 

ブラックストーンの運用資産構成と運用報酬率

画像ソース:Blackstone ※PDFファイル

 

 これらから、ブラックストーンの未来はその企業名が示すように「ストーン」と落ちる、「ブラック」なものとなるかもしれません。

 

 なお、もう一人の創業者であるピーター・ピーターソン氏が20日に亡くなりました。91歳でした。
【2018/03/21 Bloomberg】Peter Peterson, Lehman Exile Behind Blackstone, Dies at 91

 

スポンサーリンク

習近平「こっちも準備万端だ、トランプ」

 今月13日、中国の金融規制当局再編の話が出てきました。中国の銀行規制当局と保険規制当局が統合するとともに、これら規制当局が担ってきた監督業務が中国人民銀行(中国の中央銀行、PBOC)に移管される予定です。

 

 ある中国担当チーフエコノミストによれば「金融機関を異なる当局が監督していたため、この2年は金融機関の規制逃れが目立っていた。今回の統合はそれを効果的に抑制することになる」とのこと。

 

 金融規制当局の権限強化と同時に、PBOCの権限がより強まることを意味するのでしょう。
【2018/03/13 ブルームバーグ】中国人民銀により強い規制上の権限-金融監督見直しの一環で

 

 19日、中国人民銀行(中国の中央銀行、PBOC)の新総裁に易綱氏が選出されました。15年間PBOC総裁の座に就き、中国の金融版改革・開放を推し進めてきた周小川氏の後任です。

 

 これが中国の不動産バブル崩壊の一つのシグナルであることは、日本の不動産バブルの歴史を知っている人々にとっては自明です。
【2018/03/19 Sankei Biz】中国全人代、中央銀行の新総裁に易綱氏 不動産バブルや企業の過剰債務の対応急務

 

 同日、海航集団が中国国内にある9つの不動産(簿価:約2340億円)の売却計画があるとの報道が出ました。債務返済のためとのこと。
【2018/03/19 ブルームバーグ】中国海航集団が国内各地で不動産売却を計画、債務返済で-関係者

 

 そしていよいよ来週26日、「ペトロ人民元」取引が中国でスタートします。いままで原油取引は米ドル一強でしたが、それに風穴を空け、国際決済通貨としての人民元の影響力が徐々に強まることが予想されます。米ドル一強の国際金融体制が崩れ、国際金融体制の新時代に突入するのです。

 

 

 中国もいままでのグローバル経済・金融体制とはおさらばして、新たなグローバル経済・金融体制へと移行していくのです。トランプの貿易戦争と並行して。

 

 しかしそれは破壊的移行となります。中国政府はいよいよ膨大な不動産バブル、シャドーバンキング、企業の巨額債務に大きなメスを入れることになるでしょう。

 

 その過程で習近平にとって邪魔な政治家、官僚、経営者、金融屋もパージされていくんじゃないですかね。米国不動産企業とやけに関係が深かった安邦保険集団を公的管理下に置いた中国当局の姿勢をみればつい思ってしまいます。トランプによるディープステート撲滅と並行してね。

 

 世界のGDPの第一位、第二位がそれぞれ政治・金融(巡り巡って経済)分野で同時にますます大きく揺れていくのでしょう。そりゃすごいことになるでしょうな。

 

 

私が利用しているゴールド購入サービスのブリオンボールト。資産防衛に有効とされる海外のゴールドをネットで簡単に購入できます。トランプに関するニュースも安心して見られるようになります(笑)

 

 →将来に備えたい方は関連記事一覧へ
 →いますぐ備えたい方:口座開設はこちらから-コストが安く済むスポット取引コースが人気です

 

米国証券口座で長期投資。DRIPという米国限定の配当再投資サービスを利用することで、資産を効率的に殖やしやすい長期運用できますよ(DRIPの効果)。口座開設までに必要な一連のプロセスを、一から説明しています(株価崩壊後、安値で購入するための準備や金鉱株購入用としてどうぞ)。

 

 →初めての方はこちら
 →Firstradeの口座開設方法
 →Sogotradeの口座開設方法

アボカドまつりのメルマガ(アボマガ)、金のメルマガ

 あなたが知らない、「危機をチャンスに変えて経済サバイバルする」ための情報をメルマガでお教えします。だらだらとインターネットや新聞を眺めているだけの、あなたの鈍った脳内に新たな刺激と体験を注入します。
 登録は無料です。米国証券口座を利用し始めた方、「アボマガ」ご登録で日本での確定申告方法についてまとめた記事を特典としてプレゼント中です!

メルマガ登録ページへ

当サイトの関連記事

スポンサーリンク このエントリーをはてなブックマークに追加   
 

関連ページ

10年後、世界地図から消えているかもしれない国
トランプが「本当にやろうとしていること」を考える_2
トランプが「本当にやろうとしていること」を考える_1
フランス革命前後期との比較でわかる、「AIによる人間支配」のシナリオ
AIネットワーク化と智連社会
貿易戦争と中東情勢緊迫化をつなぐものとは??
米国のシェールオイル増産停滞のスキを見て原油増産を企てるサウジアラビア
[2018/04/12]安全保障分野でも「国境なき組織」の弱体化が本格化している?
[2018/04/10]WTOを頭越しにすでに始まっている米中二国間交渉
[2018/03/29]データ中心時代の秩序形成には「世界的カオス」が欠かせない?
[2018/03/21]中国政府の規制強化とブラックストーンとの関係
[2019/01/14]プーチン「金正恩氏、朝鮮半島でゲームに勝利」(敗者:日本)
[2017/12/14]現金バラマキ政策を決定したサウジはバッドシナリオ進行中?
[2017/11/09]サウジは戦争を「回避」するために「戦争行為」発言をした?
[2017/11/07]ヒラリー・クリントン、もう闇を隠し通すのは無理そうだ
[2017/10/31]ギュレン運動を巡る対立が背景にある?ドイツ・EUがトルコへの資金提供カットへ
[2017/10/09]中東でますます本格化する米国・米ドル離れ
[2017/08/14]「中国は北朝鮮問題を外交的に解決するしかない」という弱み
[2017/08/11]どこか阿吽の呼吸を感じさせる米国と北朝鮮の緊迫状況
[2017/08/05]人工知能向け個人情報取得に邁進するモディ首相
[2017/07/25]米国単独覇権終了へ―世界大激動の過渡期突入は確定―
[2017/07/15]トランプ政権にしてやられたサウジアラビア
[2017/06/27]いよいよトランプの逆襲が本格的にはじまる...?
[2017/06/24]シリア情勢の回復進展の陰で動きの慌しいサウジ・イスラエル
[2017/06/12]カタール断交がテロ関連情報暴露の流れを生んでいる
[2017/06/08]カタール断交の陰にイスラエルあり
[2017/05/16][世界あるある探検隊]北朝鮮による核・ミサイル実験の前にはよく情報(諜報)関連の重大な事実が明るみに出るあるある(特にNSA関連)
[2017/05/11]フランスがソフトランディングする道筋は見えない
[2017/04/14]中国も米国も本心では対北朝鮮の全面戦争を行うつもりはなさそう
[2017/04/09]米国のシリア攻撃は戦後秩序解体の狼煙?
[2017/03/28]オバマケア代替法案の成立断念。米国が崩壊する道はもはや避けられなさそう
[2017/03/21]近々北朝鮮有事が勃発するかもしれない~世界大動乱時代の幕開け~
[2017/03/13]生き残りに必死なサウジアラビア...国際的地位は確実に衰退してきている
[2017/02/22]世界情勢振り返り。北朝鮮、フランス、トルコ
[2017/02/01]世界の動向メモ。為替問題、ドイツの動き、移民入国制限措置の隠された意味
[2017/01/13]トランプ政権はNATOの自滅を狙っているのかもしれない
[2017/01/06]鏡よ、鏡、鏡さん… ウィキリークスの本気。2017年は現代版グラスノスチが加速するかも
[2016/11/17]大きなうねりが進行中:ブレグジット、トランプの次は欧州
[2016/11/04]米国単独覇権の終焉:世界の情勢が目に見える形で変化している

▲記事本文の終わりへ戻る▲

▲このページの先頭へ戻る▲