トランプが「本当にやろうとしていること」を考える_2

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トランプが「本当にやろうとしていること」を考える_2

2018/09/18

 

 前回の続きです。

 

 前回、トランプが本当にやりたいことは米中貿易戦争のヒートアップではなく、中間選挙や2年後の大統領選挙で勝つことであることであると話しました。

 

 トランプが選挙で勝つために支持基盤を固めて任期を全うするために優先的にしなければならないことは、次の3つだと言いました。

 

  • 米国製造業復活に力を尽くす
  • ドル安
  • トランプ政権にとっての潜在的・顕在的な敵による米国に関するデータの乱用阻止

 

 最初の2つについては前回は成しました。今回は3つ目について話します。

 

[アボマガ No.14]トランプが「本当にやろうとしていること」を考える_2

の記事(一部)です。配信日は9月14日で、米国が中国に追加関税第3弾の導入を決定した日よりも前です。

 

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トランプ政権にとっての潜在的・顕在的な敵による米国に関するデータの乱用阻止

 これは、陰謀渦巻く現在から、来(きた)るAI時代(諜報時代)に向けて、米国民の個人情報や米国の機密情報がトランプ政権にとっての潜在的・顕在的な敵に恣意的に活用され、トランプ政権の支持率や米国の経済、安全保障が脅かされることを防ぐことを意味します。

 

 「トランプ政権にとっての潜在的・顕在的な敵」とは、トランプの政敵、NSA等の諜報機関、グーグル・フェイスブック等のプラットフォーマー、大手欧米メディア、中国・ロシア等の海外の国などを指します。

 

 「敵」という表現を使っていますが、必ずしもトランプにとって本気で潰す相手を意味することではありません。例えばグーグル、フェイスブックなどは「規制対象としての敵」くらいに思って下さい。

 

 大きくは「米国内」と「海外」に分けられます。

 

 まずは理解しやすい海外について話しましょう。その中でも中国に関する話をします。

 

米中貿易戦争とはハイテク覇権、つまりデータ・情報を巡る争い

 「データの乱用阻止×中国」とは、中国のハイテク覇権阻止のことです。中国への技術移転や中国の知的財産権侵害に断固として立ち向かうことを意味します。

 

 中国のハイテク覇権阻止は経済面と安全保障面が絡みます。

 

 経済面については、中国が「中国製造2025」計画を通じて、政府主導でAI、ビッグデータといった最先端技術を利用した世界の次世代産業を握ることに対する、米国側の警戒があります。

 

 安全保障面は、今後サイバー空間や宇宙空間が安全保障上重要な領域となり、中国が最新技術を駆使したサイバー攻撃などにより米国の安全保障を揺るがしうることを、米国側は懸念しています。

 

 中国は2001年に中国がWTOに加盟して以降、中国市場に参入する外資企業に対し、中国地元企業との合弁事業を義務付けるなどして、中国政府主導で技術や知的財産を欧米から盗み続けてきました。

 

 米国政府や産業界は自由貿易のルールに反し、政府が介入して海外の技術や知的財産を盗み、今度は盗んだ技術や知的財産を活用して、さらにはこれらで稼いだカネで米国の最先端ベンチャー企業を買収し、経済覇権を握ろうとする中国を許すわけにはいかないのです。

 

 さらに盗んだ技術や知的財産を活用して、軍事システムから生活インフラ(エネルギー源、配線網、医療、交通管制、上水道など)へのサイバー攻撃、また米国の個人情報や軍事機密データを盗み、外交で優位に立ったり無人ステルス爆撃機(ドローン)で中国にとって不都合な米国にとっての要人を暗殺することも潜在的に可能です。

 

 世界のルールを無視して技術や知的財産を盗み、これらを活用して経済や安全保障上の脅威になろうとしている中国を、米国が到底許すことができないのは自明です。

 

 だから、米中貿易戦争が収束しないのです。だから、トランプ政権は外国投資リスク審査近代化法案(FIRRMA)を今年8月に成立させ、中国企業や政府系ファンドによる、重要技術・重要インフラ・機密性の高いデータを持つ米国企業の買収阻止強化に動いているのです。

 

 EUも米国と同様に、中国のハイテク覇権に懸念しています。米国、EUはいずれも中国のハイテク覇権阻止で協調しているのです。

 

 中国のハイテク覇権阻止は米軍にとって極めて重要であり、米国の政界、産業界も重要視しており、トランプ支持の点数稼ぎには欠かせません。

 

 今後、中国への技術移転、知的財産権侵害の問題は、米中貿易戦争にとどまらず、国際的な問題として強い流れとなっていくでしょう。

 

「陰謀論×AI時代」をつなぎ合わせる、データ・情報

 もう一つは、「データの乱用阻止×米国内」という目線です。

 

 これは「これまでから現在までの米国政治」と「来るAI時代への対応」という2つの面があると考えます。

 

 米国政治において、データ・情報(諜報)は大きなトピックの一つとなっています。

 

 2013年のスノーデン・ファイルの公開をきっかけに、9.11同時多発テロ以降、NSAが電話、電子メール、ウェブサイト等から米国民や世界中の人々の個人情報を収集してきた事実が発覚したことは、皆さんもご存知のことでしょう。

 

 ヒラリー・クリントンは国務長官時代、私用メールサーバーを介して機密情報(最高機密情報含む)を送受信していた事実が発覚しています。

 

 トランプのロシアゲート疑惑がいまだ収束せず、米民主党によるトランプ弾劾の名目にも利用されていますが、ロシアゲート疑惑は2016年の大統領選時にトランプ陣営がロシアと共謀してクリントン陣営にスパイ行為を働いたという「諜報」に関する政治問題です。

 

 さらに、そもそもロシアゲート疑惑が事実であることを裏付ける証拠がいまだ出てきておらず、ロシアゲート疑惑自体がトランプを潰すための「情報操作」である可能性が十分残されています。

 

 このように、スノーデン・ファイルが公表された2013年以降、データの収集、情報の運用や利用、諜報活動といった「データ・情報(諜報)」をめぐる政治的な動きが米国政治の根底にあるのです。

 

 最近、「データ・情報(諜報)」をめぐる政治的な動きをますます混迷化させうるうねりが、米国民の側から生まれています。

 

 トランプ支持者たちが「QAnon(Qアノン)」という陰謀論を信じ始めており、トランプにとって彼らを喜ばせることが大統領職にとどまるために重要になりつつあることです。

 

 今年8月はじめに行われたトランプの集会でも、「QAnon」のロゴを描いた衣服や帽子を身にまとったトランプ支持者が集まり、陰謀論をめぐる動きが米国政治の大きな争点の一つとなっているのです。
【2018/08/06 Newsweek】トランプ政権を支える陰謀論「QAnon」とは何か

 

 2017年10月に「Q」と名乗る匿名の人物が米国のインターネット掲示板やサイト上に、トランプを支持する内容の米国の陰謀論に関する記事を掲載しはじめ、それが徐々に浸透し、いまではトランプ支持者から熱烈な歓迎を受けています。

 

 「Anon」とは「匿名の」という意味の形容詞「アノニマス(Anonymous)」のことで、「Q」という匿名(Anon)の人物が陰謀論を掲載したことから、Qが主張する陰謀論をまとめて「QAnon」と呼びます。

 

 …

 

 重要なのはQAnonという陰謀論の正誤や善悪ではありません。QAnonを信じるトランプ支持者が増え続けており、トランプは選挙で勝利するためにQAnon信奉者を喜ばせる行動を取らざるを得なくなりつつあることが重要なのです。

 

「Q」に担ぎ上げられるトランプ

 

 実際、ホワイトハウスがブレナン元CIA長官の機密情報アクセス権限を剥奪してQAnon信奉者を喜ばせたり、トランプが故マケイン上院議員の追悼式に参加しないなど、QAnon支持者を意識したとも読み取れる出来事が起こっています(マケインはQAnonno標的の一人)。

 

 …

 

 「トランプ政権にとっての潜在的・顕在的な敵による米国に関するデータ・情報の乱用を阻止」したうえで、逆にデータ・情報を上手く利用することが、トランプの支持率アップのために欠かせなくなっているのです。

 

 

 さらに、米国政治だけでなくこれからのAI時代に向けてのデータ・アルゴリズム規制の在り方まで考えなければなりません。

 

 …

 

 つまり、米国やその他各国がデータやアルゴリズムに関する法的枠組みを早急に構築する必要に迫られているのです。

 

 法的枠組みを早急につくりあげ、諜報機関やICT企業らによる「米国に関するデータの乱用を阻止する」(AI時代に即したデータ収集・利活用ルールを強要させる)ことが重要となっているのです。

 

現在の相場はノイズである

 もう一度、トランプが支持基盤を固めて任期を全うするために優先的にしなければならないこと3点を並べます。

 

  • 米国製造業復活に力を尽くす
  • ドル安
  • トランプ政権にとっての潜在的・顕在的な敵による米国に関するデータの乱用阻止

 

 いままで見てきたように、これら3つはトランプ政権の本質的課題だと考えられます。

 

 よってこれら3つの達成のためには、現行のトランプ政権の動きと180度異なる動きが出てきてもおかしくないということです。

 

 例えば米中貿易戦争。もし中国のハイテク覇権阻止のためにもっと良い方法(交渉など)が実行可能であれば、追加関税第3弾、第4弾は発動されないかもしれません。

 

 例えば金融政策。Fedの金融引き締めにより米国株相場が大きく調整となったり、米国政府の公債利払い費が増えれば、トランプはその責任をFedになすりつけ、再び金融緩和策に動くかもしれません。

 

 金融緩和により、ドル安や高インフレにすることで、それまで積極的に米国に設備投資してきた製造業を輸出で儲けさせるだけではなく、設備投資のための負債まで実質ベースで減らしてやるのです。

 

 相場も当然ガラッと変わります。ドル高はドル安に転じ、貴金属価格は上がりやすくなります。バブル状態のハイテク株は暴落します。

 

 

 QAnonをめぐる動きは舐めてはいけません。QAnonの主張の根底には、大手メディアが「奴ら」と結託して、マフィアによる米国乗っ取りを支援してきたという考えが含まれます。

 

 不当にトランプバッシングを行う大手メディアはQAnon信者の敵であり、大手メディアはいくらQAnonを押さえ込もうとしても、火消しどころか非に油を注ぐことしかできません。

 

 また陰謀論の性質が、QAnonの動きを止めることをほぼ不可能にします。

 

 陰謀論の主張は「否定できない」点に特徴があります。陰謀論の主張が誤っていることを示す根拠がない一方、陰謀論者は根拠がなくても「陰謀だから陰の勢力が隠している」と主張することで、自身の意見を正当化できるのです。

 

 つまり、陰謀論は一度民衆に広まってしまうと、止めようがないのです。

 

 さらに、トランプ支持者たちの経済的困窮も加わります。

 

 もう一度、米国製造業の雇用者数の推移(事実)を見てください。クリントンがNAFTAを成立させて(事実)米国製造業破壊の布石をつくり、子ブッシュ、オバマの時代に製造業就業者数が大きく減少したのです。

 

 これをみて、クリントン、ブッシュ、オバマによって自らの生活を滅茶苦茶にされたと思わないでいられるでしょうか?

 

画像ソース: ジェトロ

 

 人は誰しも自らの苦境を他人や社会のせいにしたがるものです。これが陰謀論と結びつき、貧困層が多いトランプ支持者は、ディープステートの徒党たちが金儲けのために意図的に自らの生活を壊したという考えを信じ安い状況にあると考えられます。

 

 大手メディアへの敵視、陰謀論を否定することが事実上不可能であること、経済的困窮は、QAnon信奉者たちを非暴力的に押さえつけることを厳しくさせます。

 

 

 いまの相場は「ノイズ」「フェイクニュース」だらけです。トランプの誰にも予想できない不意打ちにより、相場環境がガラッと変わってしまう危険が高まっていることは、忘れてはなりません。

 

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