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サウジは戦争を「回避」するために「戦争行為」発言をした?

2017/11/09

 

【2017/11/07 CNN】サウジ外相、ミサイル攻撃はイランによる「戦争行為」

 

中東サウジアラビアのジュベイル外相は6日、CNNのインタビューに答え、先日発生したサウジ首都リヤドの国際空港に対するミサイル攻撃について、イランによる戦争行為だとの見方を示し、しかるべき時がきたら、適切な措置を取ると語った。

 

内戦が続く隣国イエメンの反政府武装組織「フーシ」は4日に発生したリヤドの国際空港に対するミサイル攻撃について、自分たちが実行したと主張している。このミサイルはサウジ軍によって撃墜されていた。サウジアラビアや湾岸の同盟国は、反体制派に物質的な支援を行っているとしてイランを非難している。

 

ジュベイル外相は先日のミサイルについて、フーシが実効支配しているイエメンの土地から、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラによって撃たれたイラン製のミサイルだったとの見方を示した。

 

外相は「われわれはこれを戦争行為とみなしている」と指摘。「われわれは適切な時期に適切な方法で対応する権利を有している」とも述べた。

 

 11月4日のサウジの首都リヤドの国際空港に対するミサイル攻撃は、隣国イエメンの反政府武装組織「フーシ」が発射したものであると、フーシ自身も、そしてミサイルを迎撃したサウジ主導連合軍の報道官も認めている。なのに何故、サウジのジュベイル外相はレバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」によって撃たれたと、フーシではなくヒズボラをしきりに強調するのだろう?

 

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サルマン皇太子はイエメン内戦から離れたい

 「サウジ:レバノンが宣戦布告」という記事を見て、「サウジはイラン・イスラム原理主義組織と戦争して、米国に沢山カネを吸われながら崩壊するのかな」と私はしばらく思っていました。

 

 しかし、いろいろと事実を見ていくと、どうも真実は違うところにあるようです。

 

 

 フーシはサウジアラビアの隣国イエメン北部を実効支配する、イスラム教シーア派の一派ザイド派の武装組織、ヒズボラはイスラエルの隣国レバノンのシーア派政治・武装組織です。このうち、サウジと敵対関係にあるのは主にフーシの方です。

 

 2015年にフーシが、当時スンナ派政権下にあったイエメンを実効支配しようとして始まったイエメン内戦では、現サウジ皇太子のムハンマド・ビン・サルマン(MBS)がスンナ派の政権を支持し、シーア派系のフーシに対してサウジ主導連合軍が空爆を仕掛けたことで、今日までサウジとフーシは軍事的な敵対関係にありました。

 

 フーシによるイエメンからサウジへの弾道ミサイル発射が現在まで頻繁に起こっており、先月10月にも少なくとも2回、フーシはサウジに向かって弾道ミサイルを発射しています。
【2017/10/10 XINHUANET】Yemen's Houthi rebels fire ballistic missile at Saudi military command
【2017/10/28 XINHUANET】Yemen's Houthi rebels fire ballistic missile toward Saudi military base in Najran

 

 今月4日のリヤドの国際空港へのミサイル攻撃も、フーシ側、サウジ主導連合軍側も「フーシが主犯」であると述べており、フーシが発射したと考えるのが自然です。
【2017/11/05 Aljazeera】Yemen's Houthis fire ballistic missile at Riyadh 
【2017/11/04 SPA】General / command of coalition forces in support of the legitimate Yemen: Royal Saudi Air Defense Forces encountered a ballistic missile toward Riyadh ※見出しはアラビア語をGoogle翻訳したもの

 

 しかし今回、サウジアラビアのジュベイル外相は、何故かミサイル発射を「ヒズボラが行ったものだ」と主張しているのです。

 

 リヤドの空港へのミサイル発射と同日、レバノンの当時のハリリ首相が、自身に対する暗殺の陰謀があるとして首相を突然辞任し、ハリリ氏が安全確保のためにサウジのリヤドに亡命していることが明らかになりました。ハリリ氏はイランとヒズボラの拡大を恐れているスンナ派の人物です。
【2017/11/04 ロイター】レバノンのハリリ首相が辞任表明、イランとヒズボラを非難

 

 同じスンナ派として、サウジがヒズボラを非難するのは外交的にわかることですが、だからといってイエメンからのミサイル発射をヒズボラがやったと主張するのは、ミサイルを迎撃したサウジ主導連合軍が「フーシの仕業だ」と述べていたのですから、いくらなんでも無理があります。

 

 シーア派が国民の9割を占める、サウジが敵視してきたイランは、少なくとも政治・外交面でフーシとヒズボラを支持している点では同様です。

 

 よって、無理やりな論理を使ってまで、サウジ外相が「ヒズボラのせい」だと主張し、フーシというワードを極力避けている姿勢は、どう考えても不自然なのです。

 

 実は、サウジの王族拘束、汚職撲滅を利用して権限を掌握しようとしているサルマン皇太子は、自身が起こして1万人超の死者、4万人の負傷者を出したフーシとの争いから手を引きたいと、かつての米国高官2人(元イスラエル大使と元国家安全保障アドバイザー)に告げていた事実が、関連するメールのリークから判明しています。
【2017/08/14 Middle East Eye】EXCLUSIVE: Saudi crown prince wants out of Yemen war, email leak reveals

 

 つまり、サウジアラビア側は、今回のリヤドの国際空港へのミサイル発射をフーシではなくヒズボラのせいにすることで、フーシをもはや敵視していないことを外交的にアピールする狙いがあると考えられるのです。

 

 サウジは戦争を回避するために、イランやヒズボラを無理やり敵視し「戦争行為だ」と主張しているように見えるのです。

 

 

 そしてもう一つ、サウジはヒズボラを敵視することで、ヒズボラを極限まで恐れるイスラエルに対し「我々はイスラエルの味方ですよ」と、表向きアピールする狙いがあるものと考えられます。

 

 どういうことなのか。サルマン皇太子の経済ビジョンに着目すると、よくわかってきます。

 

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「脱原油依存経済の構築」がサルマン皇太子最大の関心事

 サルマン皇太子は、サウジの経済面にもっとも視線を熱くする人物です。

 

 サルマン皇太子は「Vision 2030」という、脱原油依存の経済発展および汚職撲滅を目指す経済改革構想の主導的人物です。サウジアラムコのIPOもVision 2030の一環として、サルマン皇太子が主導しています。

 

 そんなサルマン皇太子は、先月24-26日にリヤドで開かれた経済フォーラム「FUTURE INVESTMENT INITIATIVE」で、3000名規模の国際政治家・ビジネスマン・投資家たちを前に演説し、「サウジをすべての宗教に開かれた、いたわりの伝統の国へと戻す」「国民の70%が30歳未満の国で、今後30年は、破滅的なアイデアには関与しない、こうしたアイデアを破壊する(要は経済分野に投資するということ)」という旨、述べたようです。

 

 また、紅海沿岸地域に5000億ドル規模の経済特区メガシティ創設の構想があること、サウジ政府系ファンドの規模を現在の2倍にあたる4000億ドルに拡大させるための投資を行う計画があることも表明しました。
【2017/10/25 Newsweek】CROWN PRINCE PLEDGES ‘MODERATE’ SAUDI ARABIA
【2017/11/08 RT】‘Saudi anti-corruption purge was endorsed by Washington’

 

 「ペトロダラーシステムには依存しない。海外投資家からお金を集めて、脱石油経済構築を目指す」という、サルマン皇太子の本音が見えてきます。

 

 

 サルマン皇太子は、とにかく経済発展第一、そのためのお金の確保が第一、という考えがとても強い印象があります。

 

 上で「サウジをすべての宗教に開かれた、いたわりの伝統の国へと戻す」というのは、一見経済とは無関係のように見えますが、実はサウジ経済に根深く関わっています。

 

 イスラム教の祈りの行為の一つにサラートというものがあり、1日5回の礼拝を行います。他のイスラム教徒の国々ではサラートのする・しないは個人の裁量に任されているのですが、サウジアラビアは戒律が厳しく、サラートを行わないと宗教警察に捕まる場合もあり、義務と化しています。

 

 サウジ国民は平日、勤務時間中に4回程度のサラートを行う必要があり、モスクに訪れたり店を開閉する時間を含め、毎回の祈りごとに15分-30分-1時間程度の仕事の中断を余儀なくされます。サラートだけでなく、サラートを口実としたサボリ時間も含めると、勤務時間の10-45%が費やされているようです。またサラートの時間は日によってバラバラであることも特徴です。

 

 これらは当然サウジの経済活動にとってはマイナスの影響を与えます。サウジのGDPやサラートの時間から、サウジはサラートによって毎年1200億-5100億ドルのGDPを喪失しているという粗い見積もりもあります。
【2017/01/17 Vox】Saudi Arabia's strict religious rules cost its economy tens of billions every year

 

 1200億ドルですら、サウジの昨年の財政赤字790億ドルを大きく上回る額です。サウジはサラートの戒律を緩和させるだけでも、かなりの経済効果、および政府歳入の増額に寄与しそうなのです。

 

 サルマン国王は現在の厳しい宗教面の戒律を緩和しようとしており、最近も宗教界の反対を押し切って女性の自動車運転を認める方針を発表・導入しました。

 

 Vision 2030には女性の労働参加率を30%に増やすと掲げており、女性の権限拡大にはサルマン国王はどうも消極的に見えます。ただ女性の自動車運転の許可等を足がかりにしながら、徐々に宗教的規制を緩和させ、経済発展や政府歳入の足しにしていきたいという思惑が透けて見えます。

 

 

 さらに、現在はサルマン皇太子が主導で、敵対する王族や元大臣(著名投資家のアル=ワリード・ビン・タラール氏も含まれる)、を拘束するという、凄まじい内政の権力闘争・汚職撲滅が行われています。少なくとも11人の王子と38人の元大臣がサウジ政府によって拘束されたとの話もあります。

 

 これもまた、サウジ政府やサルマン皇太子にとって、金銭的なメリットが大いにあります。

 

 サウジは拘束した王子や元大臣をはじめとした、1200を超える銀行口座を凍結し、凍結した資産をすべて接収すると言われていますが、WSJの情報によれば、資産接収でサウジ政府は8000億ドルを得られるという話が出てきています。

 

 8000億ドルという数字は、現在のサウジの外貨準備の約1.6倍にあたるという、超巨額なものです。もしサウジ政府が本当に8000億ドルを手にできれば、今後原油価格が下落したとしても、少なくとも数年~10年以上はサウジの財政は持つことになりそうです。
【2017/11/08 Zero Hedge】Real Motive Behind Saudi Purge Emerges: $800 Billion In Confiscated Assets

 

 ※ただし、本当に8000億ドルを得られるかどうかはまた別の話です!

 

 このお金は国民にばら撒いて政府の支持率を上げることにも使えますし、政府系ファンドを通じた投資拡大にも使えますし、担保として世界中から巨額の借入を受けたり社債を発行することもできるでしょう。

 

 サウジはいままではオイルマネーに支えられた国家で、通貨リアルは米ドルにペッグされていますから、ペトロダラーの崩壊に伴いペッグ制を維持できなくなると、通貨リアルが大幅に減価される懸念がありました。

 

 しかしもし8000億ドルもの資産を接収できれば、サルマン皇太子の経済政策とも重なり、リアルの減価を抑えることが期待でき、金融面でのサウジ国家崩壊を避けることにつながるかもしれません。

 

 こうしたことを考えれば、何故、いま、サルマン皇太子が自身の命に掛かるリスクを承知で大規模な汚職撲滅に動いているのか、わかることでしょう。

 

 「ペトロダラーシステムには依存しない。海外投資家からお金を集めて、脱石油経済構築を目指す」...

 

 サウジが現在、こうした方針で動いていることがわかるでしょう。

 

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中東のドタバタ劇、帰結は「イスラエルの孤立化」?

 「ペトロダラーシステムには依存しない。海外投資家からお金を集めて、脱石油経済構築を目指す」というサウジの戦略は、イスラエルとの今後の関係性にも極めて大きな影響を与えるものと考えます。

 

 1970年代以降、ペトロダラーシステム(米ドル覇権維持のために、原油決済通貨を米ドルのみに制限したシステム。米国の覇権強化のほか、サウジ等湾岸諸国が原油価格高騰による金満化につながった)の導入を、当時のサウジのファイサル国王が米国との秘密外交を通じて決定しました。

 

 ファイサル国王は反共産主義・親アメリカ路線でしたが、イスラエルの存在には強く反発し、第4次中東戦争の際の親イスラエル国家への石油輸出禁止戦略を先導した人物です。

 

 一方で、第4次中東戦争期間中は、イスラエルを支援していた米国に対するアラブ社会の敵意が激しかった時期でした。同時期(1974年頃)にペトロダラーシステムの導入・実施を秘密裏に決定したファイサル国王は、親米の裏切り者と見なされることへの激しい恐怖に襲われていたことを、当時の複数の外交電報が示しています。
【2017/05/31 Bloomberg】The Untold Story Behind Saudi Arabia’s 41-Year U.S. Debt Secret

 

 (ファイサル国王は1975年に甥のファイサル・ビン・ムサーイドの銃撃で暗殺されています)

 

 その後サウジは中東の戦争で一貫して米国を支援してきましたが、もちろんその最大のインセンティブはお金です。お金のためにサウジは悪魔に魂を売ったと同時に、中東を溶かして大イスラエル帝国建設を目指していたであろうイスラエルに利する側に立ち続けたのです。

 

 現在までにサウジアラビアが裏でイスラエルと間接的にでも手を握って、テロ支援活動を実施してきたことはおそらく間違いないですが、その根源は、ペトロダラーシステムおよび、サウジの石油依存経済構造にあるのです。

 

 サルマン皇太子の目指す、脱石油依存経済構築というのは、サウジが裏で親イスラエルに向かう根源、必要条件を真っ向から否定する行為なのです。

 

 すでにサウジアラビアは9.11テロに主導的に関わった国であることは確定で、最近もカタールの王族の一人が、シリア内戦の初期段階からサウジ・米国・カタール・トルコがアルカイダを支援していたと暴露しています。

 

 これらの暴露も、サウジがイスラエルと(少なくとも戦争やテロの面で)手を切る方向に作用する力学を生み出しているのかもしれません。

 

 いずれにせよ、少なくとも経済的な面から、サウジがパレスチナ問題に関する将来の火種を残してまで、シオニスト国家イスラエルと黒い関係を続けることは、高リスクな割りにメリットの薄い非合理的な行動だと言えるでしょう(経済面で連携する分には別に悪いことではないとは思いますが)。

 

 

 サウジはそう簡単にイスラエルと表立って手を切ることはできないでしょう。いきなりイスラエル敵視に向かえば、イスラエルから軍事的・政治的に何をされるかわかりませんから。

 

 数日前、イスラエルの外交電報が暴露されましたね。当時のレバノンのハリリ首相が辞任し、レバノンにおけるヒズボラの影響力がますます強まることを本気で警戒して、すべてのイスラエル大使館に、ヒズボラとイランへの圧力を強化するよう指示しています。またイエメン内戦における、サウジへの軍事支援をすることも合わせて要請しています。
【2017/11/07 Zero Hedge】"Explosive" Leaked Secret Israeli Cable Confirms Israeli-Saudi Coordination To Provoke War

 

 イスラエルは、少なくとも何日か前までは、いまだにサウジを自分たちの仲間だと思っていることが明白です。

 

 だからこそ、サウジは最近、外交面でヒズボラを敵視しているのです。イスラエルとヒズボラはいつ軍事的な衝突が起こってもおかしくないほど関係が悪いですから、サウジのヒズボラ敵視は親イスラエルを印象付けるために欠かすことができないのです。

 

 さらに、ヒズボラに火を注ぐことでイスラエルとヒズボラが大規模な軍事衝突を起こせば、イスラエルの弱体化も期待できますし、イスラエルが対ヒズボラに精一杯となっているあいだに、サウジは自分たちの進むべき戦略を取りやすくなるでしょう。

 

 

 サウジの王族等の拘束は、米国の複数の投資家やトランプ政権が、事前にサルマン皇太子と話し合って行われたとの情報があります。

 

 またロシアのプーチン大統領は、先月にはサウジのサルマン国王と今月にはイランのロウハニ大統領と会談しており、何らかの入れ知恵をした可能性もありそうですね。

 

 

 今回の中東のドタバタは、実はイスラエルの孤立を生んでいる、のかもしれません。

 

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サウジの思惑通りに事が運ぶ保証はない

 今回、サウジが一体どんな経済・外交戦略を持っているのか、個人的に考えてみました。上の内容は、もしかしたらサウジの前向きな未来を想起させるかもしれません。

 

 しかし、今後サウジがどのような道筋を辿るのかは不透明です。正直、主に政治や金融面におけるブラックスワンリスクが多すぎます。考えられるだけでも...

 

  • 王族等がサルマン皇太子の汚職撲滅、権力掌握への報復として、サルマン皇太子を暗殺するリスク
  • イスラム原理主義グループ、テロリスト、イスラエル等によるサウジへの武力行使・暗殺や、それらが内政・サウジ国民生活の混乱をもたらすリスク
  • 9.11テロ等、サウジがいままで関与したテロ行為に対する訴訟が世界中で巻き起こり、巨額の賠償金が生じるリスク
  • 海外から資金やビジネスマンが湾岸諸国から逃げ、湾岸諸国全体の市場・金融が崩壊し、国民生活や内政の崩壊につながるリスク
  • 王族等からの資産没収が上手く行かず、十分な資金が得られないことにより、サウジの財政が持たなくなるリスク(国民や外国人労働者、企業への補助金カットや増税等による締め付けを継続・強化せざるを得なくなる)
  • サウジの経済戦略が軌道に乗る前に、原油価格の暴落等によりサウジへの信用が悪化、外貨準備のさらなる減少でドルペッグ制の維持が困難になり、最終的に通貨の大幅減価や高インフレをもたらすリスク

 

 少なくとも、以下の3つがすべて満たされないかぎり、サウジの明るい未来はあまり考えることができません。

 

  • サルマン皇太子がこのまま権力を掌握し、国民からの支持率を上げ、内政を安定化させること
  • イスラエル、イラン、ヒズボラ等イスラム原理主義組織らとの武力を伴う大規模な争いを回避できるよう、ミスの許されない外交操縦を取り続けること
  • 王族等の資産没収によって、サウジの財政を少なくとも今後数年は安泰にできるくらいの額を得ること

 

 サウジは今後、茨の道を歩まざるを得ないでしょう...

 

 

 最後の資産没収に関して、サウジ国内の富豪のなかには湾岸諸国の資産をすべて現金等の流動資産に換えて、欧州やアジアに資産退避することを検討しているとの報道もあります。多くの海外投資家も、湾岸諸国のビジネスの安定性や予測可能性について再考しているようです。

 

 湾岸諸国の9000億ドル規模の株式市場からは、サウジの王族等拘束が始まった日から8日までに176億ドルの資金が流出しており、クウェートやドバイの株式指数も同期間に4.5%前後の下落をしたようです。

 

 ただでさえ、原油価格暴落後の2014年終わり頃から減少が止まらない湾岸諸国(というかサウジ)の外貨準備が、さらに早いペースで減少し、湾岸諸国の通貨の安定性を危ぶむ声も出ています。

 

サウジアラビアの外貨準備

画像ソース:Zero Hedge

 

 UAEの中央銀行も19名のサウジ国民の銀行口座情報を提供するよう、UAEの各銀行に求めており、UAEもサウジと同様、口座凍結措置を取る可能性があります。
【2017/11/09 Bloomberg】Saudi Billionaires Look to Move Funds to Escape Asset Freeze

 

 UAEやカタールの銀行は資金獲得手段を海外マネーに依存している面があり(特にカタール)、サウジの内政問題の混乱が湾岸諸国からの止まらない資本流出へと発展すれば、瞬く間に金融状況が悪化し経済や政治の混乱につながるリスクがあります。
[2017/07/21]湾岸金融クライシス勃発懸念...カタール、UAE

 

 金融面で湾岸諸国が液状化していくリスクは無視することができません。

 

 さらにこれは、湾岸諸国が保有する政府系ファンドの資産売却をもたらし、世界中の相場にも悪影響を与え得ることにも注意しなければなりません(貴金属等にはポジティブな影響を与えるかもしれませんが...)

 

 湾岸諸国の問題は、我々の生活にも最終的に何らかの悪影響を与える可能性のある、決して他人事では済まされないものなのです。

 

私が利用しているゴールド購入サービスのブリオンボールト。混沌とする中東情勢。何が起こるかわからない私たちは、備えておくしかなさそうです。

 

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