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トランプ政権にしてやられたサウジアラビア

2017/07/15

 

 6月5日に突然、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、エジプト、バーレーンの4カ国がカタールとの断交声明を発表したことにより始まった、湾岸諸国の対立。

 

 (ただしその前日の6月4日に、カタールの国営メディアアルジャジーラが、UAE、イスラエル・米国の秘密外交の一端を暴露したのがトリガーだと個人的には思っています)
[2017/06/08]カタール断交の陰にイスラエルあり
[2017/06/12]カタール断交がテロ関連情報暴露の流れを生んでいる

 

 その後一時はサウジ側とカタール側との本格的な武力衝突にまで発展する事態になりかねない、外交的に非常に緊迫した時期もありましたが、どうやら現在はひとまずピークを越えて冷戦状態に向かいそうです。

 

 サウジ側がトランプ外交の罠にまんまとはまったことにより...

 

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トランプ政権にしてやられたサウジアラビア

 サウジ等4カ国はカタールとの断交を発表し、その後カタールとの陸海空の国境をすべて閉鎖し、サウジ、バーレーン、UAEに住むカタール人の追放令を発表しました。

 

 その後事態はどんどん深刻化していき、緊張がピークに達したのは6月23日に中東4カ国がカタールに対して「13箇条の要求」を突きつけたときです。

 

 これはカタールに対し、イランとの外交関係を縮小とか、トルコ軍基地をいますぐ撤去せよとか、アルジャジーラを閉鎖せよといった無茶苦茶な要求を並べてカタールに突きつけたのです。最後通牒以外の何物でもありません。
【2017/06/23 ParsToday】サウジなどアラブ4カ国、カタールに国交再開の条件を提示

 

 サウジ等中東4カ国は13箇条の要求をカタールに突きつける前から、すでに国連をはじめ国際社会から大きなバッシングを浴びており、孤立化への道を歩んでいました。

 

 しかしそれでもカタールに戦争一歩寸前の最後通牒とも受け取られかねない要求を突きつけた背景には、おそらくそれまでトランプが一貫してサウジアラビアを支持していたことがあるものと思われます。

 

 13箇条の要求を突きつける二日前の21日、サウジアラビアのサルマン国王は、自らの息子である、当時副皇太子だったムハンマド・ビン・サルマン氏(略してMBS、住宅ローン担保証券の略称と同じ)を皇太子に昇格しました。
【2017/06/21 ブルームバーグ】サウジのサルマン国王、息子のムハンマド国防相を皇太子に指名

 

 MBSは今年4月にトランプ政権に文字通り5600万ドルの賄賂を渡したと報道されており、トランプ政権に寄生しようとと関係を築こうとした人物のようです。またサウジアラムコIPOの最高責任者でもあり、米国の投資銀行を引き受け幹事に迎えるなど、米国とのつながりが非常に深いとされるのがMBSです。

 

 MBSが皇太子に格上げされてから、MBSとトランプはすぐさま電話会談を行っていますから、サウジアラビアはこれでカタールへの最後通牒要求提示の信任をトランプ政権から得たものと勘違いしたのではないでしょうか。

 

 意気揚々と、満を持して13箇条の要求をカタールに突きつけたものの、世界各国からのサウジ等4カ国への非難はますます強まっていきます。

 

 カタールが要求を断固として跳ね除け、世界各国からの非難も強まる中、サウジ等4カ国は当初7月2日としていた受け入れ期限を48時間だけ延長しました。米国独立記念日を新たな期限としたうえで、これでダメならどうなるかしらんぞ、といった格好です。

 

 そのときです。これまでサウジの支持を表明してきたトランプが米国独立記念日前日になって突然、湾岸諸国に対し結束を呼びかけたのです!

 

 トランプの華麗なる転身、青天の霹靂。サウジ側はトランプの突然の発言に呆然としたのではないでしょうか。

 

 追い討ちをかけるように、7月11日、米国とカタールはテロリズムへの資金提供を巡る対策を講じる覚書に署名しました。

 

 サウジ等はカタール断交を「カタールがテロリストを資金援助してきた」と主張することで正当化していましたが、今回の覚書によりサウジ等4カ国はカタールをこれ以上敵視する正当性が失われてしまったのです(もし敵視を強化すれば、サウジ等は米国を信用できないと世界にアピールすることになるのですから)。

 

 覚書を主導してきたのは米国のティラーソン国務長官ですが、彼はカタール断交の当初から湾岸諸国に対し「ケンカはやめろ」と言い続け、対立鎮静化に向けて動いてきた人物です。

 

 トランプがサウジ支持を表明してサウジ側の好き勝手な振る舞いを後押しした中で、裏ではティラーソン等が着々と外交的問題沈静化を推し進め、サウジ等が13箇条の要求を出して「ならずもの国家の極み」とも言える様なエスカレートした行動をとった途端、「ケンカはよせ」とトランプ。そしてカタールとの覚書に署名。

 

 まさに米国がうまーくサウジ等が世界中に大っ恥を撒き散らすよう仕向け、サウジ等がまんまと米国の罠にはまり大恥をかかされ骨抜きにされながら、カタール断交はピークをすぎて冷戦状態に向かっていた、そのように推移してきたものと私の目には映っています。

 

**********

 

 原油安による財政赤字の継続や対外純資産の止まらない減少など、カネにお困り中のサウジアラビアですが、外交でも墓穴を掘ってしまった格好のようです。上手く行かないときはとことんダメですね。

 

 サウジアラビア、ご愁傷様です。

 

 →Next:
 [2017/07/18]30年以上続けてきた金融政策維持に暗雲立ち込めるサウジアラビア

 

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