【Firstradeの使い方】DRIP(自動配当再投資)の設定方法
今回はFirstradeのDRIP(自動配当再投資制度)の設定方法について説明します。
またDRIP出来る銘柄・できない銘柄、DRIPに向いている銘柄・向かない銘柄が何であるのかという、DRIPをフル活用して資産・配当金を雪だるま式に増やすために役立つ内容も併せて説明しています。
DRIP(自動配当再投資制度)とは何か、インフレや老後との関係等については、こちらの記事をご覧ください。
→DRIP(自動配当再投資制度)について
目次
- FirstradeでDRIP(自動配当再投資制度)の設定方法
- FirstradeにおけるDRIP(自動配当再投資制度)の特徴
- 米国株・ADR・ETF、DRIP出来る銘柄、出来ない銘柄
- DRIPと配当利回り:DRIPに向く銘柄、向かない銘柄
FirstradeでDRIP(自動配当再投資制度)の設定方法
Firstradeにログインしてください。
「MyAccount→Positions」を選択すると、自分が購入したポートフォリオが表示されます。
そこに「Dividend Reinvestment Plan」という箇所があるので、そこをクリックします。
すると次のようなDRIPの設定ページに移動します。このページで各種のDRIPの設定を行うことが出来るようになります。
設定は次の2種類から選択できます:
- Option1:すべてのDRIP可能銘柄をDRIPする
- Option2:銘柄ごとに自分でDRIPのカスタマイズをする
Option1
まずはOption1の説明からです。
Option1を行うとすべてのDRIP可能銘柄がDRIPありの設定になります。
いま現在保有している銘柄だけではなく、これから新たに購入するDRIPできる銘柄に対しても自動でDRIPが行われるようになります。
DRIPを初めて行う場合はOption1を選択すればよいでしょう。
Option1の設定は次のように行ってください:
- 設定を行うアカウントを選択
- Option1のチェックボックスにチェックを入れる
- SUBMITボタンを押す
何日か待つとDRIP可能銘柄に「D」というマークがつきます。これでDRIPの設定完了です。
ちなみに新しいDRIP可能銘柄を買ったときに、すぐには「D」マークは付かないので気を付けてください。
購入して数日たつと「D」マークが付きます。なのですぐに「D」マークが付かなくても、別に再度DRIPの設定をする必要はないので安心してください。
Option2
もう一つ、自分でDRIPのカスタマイズをするOption2についてです。
Option2は次のように行えばよいです:
- 設定を行うアカウントを選択
- 「ADD」の欄にDRIPしたい保有銘柄のシンボルを記入する(追加したい銘柄がないときは空白でOK)
- 「REMOVE」の欄にDRIPから外したい、現在DRIP中の保有銘柄のシンボルを記入する(削除したい銘柄がないときは空白でOK)
- SUBMITボタンを押す
このようにFirstradeではオンライン上の簡単な操作で、気軽にDRIPのカスタマイズが出来るところがグッドです。皆さんもうまい具合に使って見て下さい。
FirstradeにおけるDRIP(自動配当再投資制度)の特徴
FirstradeにおけるDRIPの特徴を簡単に並べておきましょう。
- 無料である
- 上場銘柄は基本的にすべて可能(後述)
- オンライン上で設定可能で、銘柄ごとに設定できる
- 端数対応している(重要)
ここで端数対応について簡単に述べておきます。
端数対応とは、受取配当金を再投資する場合、小数点以下の株数分もきちんと再投資することを意味します。
例えば1.379株再投資する場合、端数対応していればきちんと1.379株再投資してくれます。端数対応していないと1株しか再投資できず、残り0.379株は現金受け取りとなります。
要するに、端数対応しているほうが、配当再投資効率が明らかに大きいのです。
端数対応していない場合に生じる最大の問題は、1株に満たない場合に再投資してくれないことです。
受取配当金を再投資する場合、0.572株など、1株に満たないケースは頻繁にあります。
例えばある銘柄を5000ドルで購入したとします。配当利回り4%で四半期配当の場合、毎回の受取配当金は50ドルです(5000×4%÷4)。
よって株価が50ドルより大きければ、配当再投資時の株数は1株未満となります。端数対応していない場合、再投資してくれません。
分散投資を考えれば、1銘柄に5000ドル投資するというのは結構な金額です。株価が50ドルを上回る銘柄はたくさんあります。
DRIPは少額の資金からでも再投資して複利運用することに価値があります。端数対応していないということは、小口投資家、特に資金は少ないものの老後を真剣に考え早くから資産形成に挑戦する若者たちは、DRIPの恩恵をほとんど得られないことになります。
DRIPで再投資してくれないということは、配当再投資したつもりになっていても、バイ・アンド・ホールドしていることと変わりありません。
配当再投資をして株数を複利で増やすことと、バイ・アンド・ホールドで株数を全く増やさない場合、下図のように資産価値・受取配当金ともに、長期の成績は雲泥の差となります。
端数対応していないことに気づかず、実は配当再投資していないことに気づくのが遅れると、長期投資で最も大切な「時間」を無駄にしてしまい、あなたの資産形成プランに致命傷を与えかねません。
よって端数対応しているかどうかは、DRIPを使う上で極めて重要です。
残念ながら、日本の証券会社ではいまのところ、端数対応しているDRIPサービスを提供してくれるところはないようです。そもそも大半の証券会社ではDRIPすらできません。
Firstradeでは端数対応しています(当サイトでもう一つ紹介している米国証券会社のSogoTradeも対応しています)。
Firstradeなど、米国証券会社のDRIPを使わないと、配当再投資によるまともな複利運用ができないのが実情です。
米国株・ADR・ETF、DRIP出来る銘柄、出来ない銘柄
Firstradeでは、大概の銘柄はDRIP可能です。
アップル、マイクロソフト、インテル、ジョンソン・エンド・ジョンソン、AT&Tなどの有名どころの企業はまずDRIP可能だと考えてください。
チャイナ・モバイル、グラクソ・スミス・クラインなど、米国株ではなくADR(米国預託証券。米国以外の国で設立された企業が発行した株式を裏づけとして米国で発行される有価証券)もDRIP可能です。ETFもDRIP可能です。
ニューヨーク証券取引所、ナスダックという大手取引所に上場している銘柄は、米国株であれADRであれETFであれ、基本的にDRIP可能だと考えて大丈夫でしょう。
一つ、Firstradeで銘柄を検索し表示されるページに、「Div Reinvestment Plan」という項目があり「Yes/No」と書かれています。
例えばアップルは「Div Reinvestment Plan」に「No」と書かれています。
しかしFirstradeでDRIPする場合、このYes/Noに関わらず自動配当再投資してくれます。よって「Div Reinvestment Plan」は特に気にしなくて大丈夫です。
ただし、米国には大手証券取引所を介さずに証券会社や金融会社の店頭で取引が行われるOTC市場というものがあります。
OTC市場ではニューヨーク証券取引所、ナスダックに上場していない銘柄が取引されます。OTC市場の例にピンクシートがあります。
こうした、大手証券取引所に上場せず、OTC市場で取引を扱っている銘柄は、DRIPできないようです。
ADRのなかには、有名企業であってもOTC市場でしか取引できない銘柄があります。例えばソフトバンクグループADRはピンクシート銘柄です(2020年10月31日現在)。
DRIP出来ない銘柄は、全銘柄にDRIPを適用したり個別にDRIPを適用しようとしても、銘柄の横に「D」マークが付きません。
DRIPと配当利回り:DRIPに向く銘柄、向かない銘柄
DRIP(自動配当再投資制度)は手数料無料で、わざわざログインして取引する手間を省いて勝手に複利運用してくれる、非常に便利な機能です。
しかし効率的に資産価値や受取配当金を殖やす上で、すべての銘柄がDRIPに向くとは限りません。
DRIPとは、配当金を再投資して株数を複利で増やすことで、資産価値と受取配当金を雪だるま式に増やすための制度です。
- 資産価値=株価×株数
- 受取配当金=1株当たり配当金×株数
重要なのは成長率です。複利運用では成長率がたった1%違うだけでも、長期的なパフォーマンスに極めて大きな違いを生むことになります。
資産価値、受取配当金の成長率は次の計算式となります。
- 資産価値の成長率=株価騰落率+株数成長率
- 受取配当金の成長率=1株あたり配当成長率+株数成長率
このうち、DRIPや配当再投資で関わるのが株数成長率です。株数成長率は、配当再投資時の配当利回りに一致します。
「株数成長率=再投資時の配当利回り」
つまり、DRIPに適している銘柄は「現在の配当利回りが高い銘柄」です。
逆にDRIPに適さない銘柄は「現在の配当利回りが低い銘柄」です。
現在、配当利回りの低い銘柄は、DRIPするよりも、DRIPを解除して配当再投資を一時停止し、受け取った配当金を別の配当利回りが高く割安で、業績が安定して長期成長できそうな銘柄に追加投資する方が良いです。
その方が、ポートフォリオ全体の株数成長率が高まり、より効果的な複利運用が可能となります。
「配当利回りが低いとはどの程度を指すのか?」と言われると、絶対的にこれが正しいという数字はありません。バリュエーション、配当成長率などによるためです。
強いて一つの目安をあげるとすれば、配当利回り2.0-2.5%です。「配当利回りが2.0-2.5%を下回ったらDRIPを一時停止する」のです。
一つのシミュレーション結果をお見せします。これは以前、投資メルマガ「アボマガ」で配信した内容です。
下図は銘柄Aと銘柄Bにそれぞれ50万円投資してできたポートフォリオのトータルリターンを、DRIPの一時停止・再投資あり/なしの違いでどれくらい変動するかを示したものです。
DRIPを一時停止する側である銘柄Bの配当利回りの違いに応じて3ケース用意しました。手数料や税金は考慮していません。
ケース1
- 銘柄A:配当利回り5%、配当成長率7%、株価騰落率7%
- 銘柄B:配当利回り3%、配当成長率10%、株価騰落率10%
一般的に配当成長率と株価騰落率は長期的に一致します。また配当成長率が高い(低い)銘柄は配当利回りが小さい(大きい)傾向があります。
配当成長率10%の銘柄は、配当利回りが3%未満のことが多いです。株安である程度割安になったときに配当利回りは3%以上になる傾向があります。シミュレーションはこうした傾向を意識しています。
銘柄BのDRIPをそのまま続けたほうが、わずかにトータルリターンは高くなります。
ケース2
- 銘柄A:配当利回り5%、配当成長率7%、株価騰落率7%
- 銘柄B:配当利回り2.5%、配当成長率10%、株価騰落率10%
長い目でみると、銘柄BのDRIPを一時停止して銘柄Aに配当金を回した方がややリターンは高くなります。ただし配当金を手動で投資する際の手数料や手間を考えると、あまり大きな違いはないのかもしれません。
ケース3
- 銘柄A:配当利回り5%、配当成長率7%、株価騰落率7%
- 銘柄B:配当利回り2%、配当成長率10%、株価騰落率10%
銘柄BのDRIPを一時停止して銘柄Aに配当金を回した方が、長期的にリターンは高くなります。よってDRIPを一時停止しても良さそうです。
以上から、次のようなルールを決めておくと、DRIP一時停止による運用成績の上昇とDRIP一時停止による手間の発生とのあいだのバランスがとれるかもしれません。
- 配当利回りが2.0%を下回った場合、DRIPを一時停止する
- 配当利回りが2.5%以上となった場合、DRIPを再開する
なお、一時停止と再開で配当利回りをズラしているのは、こうすることでDRIPの再設定/一時停止手続きの回数を減らし、手間をある程度減らせるためです。
(手間が気にならないのであれば、例えば配当利回り2%でDRIPの再設定/一時一時停止のいずれも行っても構いません)
また配当金の一部を生活資金等に利用するためにDRIPを一時停止したい場合も、配当利回りが小さい銘柄からDRIPを一時停止していくと良いでしょう。
なお、DRIPを一時停止すると配当再投資を忘れてしまい、結果複利運用の効率が悪くなるリスクもあります。
DRIPを一時停止しても、毎回配当金を受け取ったときに再投資しなくても大丈夫です。他の投資資金とまとめて投資したほうが、手間の面でも手数料の面でも良いです。
しかしこうした追加投資も忘れてしまい、配当再投資を何年もサボり続けると、パフォーマンスに影響し出すことが考えられます。ご注意ください。
再投資が面倒な方は、多少複利運用効率が下がっても、すべての銘柄にDRIPを適用しておくことをおすすめします。
米国証券口座を開いて米国株投資をスタートしたい方は、次の記事をご覧ください。
→米国証券口座を開いて米国株式投資を始める
初回公開日:2015年12月1日
最終更新日:2020年11月1日
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