犠牲と利益-大きな利益を得るためには必ず犠牲が伴う-

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犠牲と利益-大きな利益を得るためには必ず犠牲が伴う-

   Antifragile、それは大きな衝撃や変化、混乱が起こった時に多大なる利益を上げられる性質のこと。


   私たちの世界にはAntifragileな性質を持った、あるとき急に大きな利益を生むことができる領域が存在します。 そしてAntifragileな性質をもった領域で上手く行動できるかどうかが、私たちの今後の生活の方向性に大きな影響を与えていきます。


   しかし大きな利益を得ようとするためには、一つ受け入れなければならない要素があります。


   それは犠牲です。 大きな利益を得るためには必ず何らかの犠牲を伴うことを真摯に受け止めなければなりません。


   しかし同時に、領域によっては利益に比べて必要な犠牲は少なくて済むことも忘れてはなりません。 ある程度の許容できる痛みを受け入れることさえできれば、それまでの犠牲を大いに上回る利益を得ることができるのです。

大きな利益を得るためには必ず犠牲を伴う

   大きな利益を得るためには必ず何らかの犠牲を伴う性質は、世の中に溢れています。


   例えば筋トレを考えます。 筋肉をつけるためには、時間やエネルギーを犠牲にして筋肉の細胞を破壊しなければなりません。 刺激に耐えられなかった弱い細胞を壊すことで、同じ衝撃に負けないより強い細胞が作られることで筋肉が強化されますから。


   何も犠牲にしないで筋肉をつけることは無理です。 肉ばっかり食べても脂肪に変わるだけですし、筋肉細胞を犠牲にしないと逆に筋肉はどんどん弱くなってしまいますから。


   投資だってそうです。 上手く行けば大きな利益を得ることが可能ですが、それまでには度重なる犠牲を伴います。


   金銭的なロスはもちろん、お金を失ったことによる心の痛みやリターンを得るまでの時間といったものを犠牲にしなくてはなりません。


   このように身近なところを考えても、大きな利益を得るためには何らかの犠牲が伴うことがわかります。


   しかしそれに伴う犠牲は決して大きすぎるわけではありません。 筋トレでは時間や体力、それに筋肉細胞を犠牲にしますが、こういった犠牲は筋肉を得られるというリターンに比べれば大したことのない犠牲です。


   投資では借金したり一つの銘柄に全財産賭けるといったリスクを取れば、もちろん犠牲は大きくなる可能性があります。 しかし全財産を賭けずに分散して投資し、さらに長いスパンで考えれば十分リスクを下げることができます。


   自分の工夫次第で犠牲を減らしつつ、かつ大きなリターンを得る機会を保有したままにする。 こうしたことが投資では可能です。

階層構造と犠牲

   大きな利益を得るために犠牲を伴わなければならないというのは、何だか釈然としないでしょう。 本心では誰だって「犠牲なんて伴わずに大きな利益をあげたい」と思うはずです。


   しかし残念ながらこのような甘い考えは、自然の理に反しています。 もっとマクロな視点で見ると、犠牲というのが大きな利益をあげるためには切っては切れないことがわかります。


   マクロな視点で見ると犠牲に関して違う目線で見られるようになります。 大きな利益を得るために、何も自分自身を犠牲にしなくてもよいのです。


   キーは階層構造です。 よりマクロな視点で見ると、大きな利益を得るためには必ず階層の上の者(物)が、自分よりも階層が下の者(物)を犠牲にする必要があることがわかります。


   つまり自分よりも弱くて脆いもの(Fragileなもの)を犠牲にすることで、自身のリスクを減らしつつ大きな利益を得ることができるのです。

社会構造と犠牲

   まずは階層構造の典型である、社会構造について考えてみましょう。


   日本の社会のトップに君臨する人たちは私たち国民を犠牲にして、甘い蜜を吸っています感が否めません。


   例えば日本で消費税増税が行われてきました。 表面上の目的は少子高齢化に向けた社会保障費に充てることです。 現状のシステムでは財源を賄いきれないので、その欠陥を埋め合わせるための措置です。


   しかし実態は大きく異なります。 消費税増税分の税収は公務員の給料や輸出企業にほとんど使われてしまっています。


   要は欠陥を利用して私たち国民を犠牲にして、社会的に地位の高い人々が懐を得ているわけです。


   また考えたくはないですが、もし日本が財政破たんすることになったら資産税というものが加算される可能性だってあります。 資産税とは全国民の資産に掛かる相当額の税金のことです。 日本も第二次世界大戦後に行われ、太平洋戦争でかさんだ負債の返済に充てられて劇的に財政が回復しました。
   http://finalrich.com/crisis/crisis-blockade-history-age.html


   このようにどんなに政府が失敗しても、そのツケを払わされるのは国民なのです。 政府が失敗しても、国民を犠牲にすることで政府が大きなダメージを負うことはあまりありません(内閣解散などはあり得ますが、その程度で済みます)。


   逆にもし政府が何かの政策で成功したら、マスコミによって成功が大々的に報道され政権の支持率が上昇し、政府への信頼も高まることでしょう。


   つまりトップに君臨する人たちは成功は自分の手柄、失敗を国民になすり付けることによって、国民を犠牲にした大きな利益を得ることができるのです。

自然構造と犠牲

   階層構造と犠牲や利益との関係は何も人間社会にだけ適応されるわけではありません。 地球の自然と生物との間にも階層構造とそれに伴う犠牲、利益の性質が存在します。


   自然というのは動植物を破壊することによって新陳代謝を繰り返しています。


   例えば隕石の衝突や大洪水といったもので恐竜が絶滅したと言われていますが、恐竜が絶滅することによって哺乳類が誕生するなど地球環境は大きく変わっています。 つまり恐竜を犠牲にして自然は大きな脱皮をして新たなる世界を生み出すことができたのです。


   自然は膨大な種類の生物を生み出してきましたが、現在世に存在する生物はその1%にも満たないです。 つまりいままでに99%以上の生物種が絶滅してきたのです。


   こういった絶滅という目線で見ると、いかに破壊によって自然が出来上がっていることがわかります。


   自然は生物を犠牲にすることで新世界の創造という大きな利益を得ているのです。


   * * * * * * 


   世の中において、犠牲と利益とは表裏一体の関係があります。 犠牲の裏には利益があり、逆に利益の裏には犠牲があります。


   ビジネスで成功を収めた人に対しては私たちは嫉妬してしまいがちですが、その裏には必ず犠牲があります。 時間的犠牲、金銭的犠牲、それに人との交流や遊びたいといった欲の犠牲、こういったものは必ず存在するのです。


   彼らはこうした犠牲を許容し、それよりも成功したときの大きな利益を目指してひたすら努力したことを忘れてはなりません。


   犠牲と利益の関係はどうなっているのか、そして犠牲の規模と利益の規模にどの程度の違いがあるのか、こうした見方は世の中を冷静に見つめるための大きな役割を果たすことでしょう。

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