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リーマン・ショック時よりも悪化している日本国民の貧困化

2016/11/07

 

 【ロイター】家計の金融資産1078万円に減少、「老後の生活」目的が最高に=日銀

 

日銀が4日に公表した2016年の「家計の金融行動に関する世論調査」(2人以上の世帯)によると、金融資産の保有額は平均で1078万円となり、前年の1209万円から減少した。金融資産の保有目的は、高齢化の進行を背景に「老後の生活資金」との回答が過去最高を更新した。

 

金融資産を保有している世帯の保有額は平均で1615万円となり、前年の1819万円から減少した。金融商品別の構成比を見ると、預貯金が55.3%と引き続き過半を占め、同53.2%から上昇。一方、株式や投資信託を中心とした有価証券が16.1%と同17.7%から低下した。

 

・・・

 

金融資産の保有目的(3つまで複数回答可)では「老後の生活資金」が70.5%と引き続き最多で、水準は過去最高を更新した。次いで「病気や不時の災害への備え」が63.7%だった。

 

老後の生活が「心配」と回答した世帯は全体の83.4%と前年の80.6%から上昇しており、高齢化の進行を背景とした将来不安の高まりが家計の金融行動からもうかがえる。

 

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 ロイターの記事では金融資産を保有している世帯に関する指摘が中心となっていますが、実際にレポートの中身を見てみるとむしろ金融資産を保有していない世帯の状況の方がより深刻です。

 

 一言で言えば「全世代で貧困化が急速に進行中」であることがわかります。

 

 下にある1番目の図(図表1)は「金融資産の保有額」で、金融資産を持たない世帯を含めています。2番目の図(図表3)は「金融資産保有世帯の金融資産保有額」で、金融資産を持たない世帯が除いてあります。

 

金融資産保有額の推移

画像ソース:知るぽると

 

 2016年の金融資産保有額が大きく落ち込んでいますが、これは株価の下落が主な要因です。しかし重要なのはそこではありません。上の図から次のようなことが読み取れます。

 

 図表1を見ればわかるように、金融資産を持たない世帯を含めた場合の金融資産保有額の平均が、リーマン・ショックの頃(2008-09年)よりも減少しています。あの未曾有の金融危機の頃よりも、まだ大々的な金融危機が起こっていない現在の方が少ないのです。

 

 さらにより金融資産を持たない層の実態がより反映されやすい中央値を見ると、なんとリーマン・ショックが起きた直後である2009年以降、金融資産保有額が趨勢的に減少しています。

 

 一方金融資産を持たない世帯を除いた場合(図表3)を見ると、金融資産保有額の平均値も中央値も、リーマン・ショックの頃よりはマシな状況です。

 

 つまり金融資産を持たない貧困世帯がリーマン・ショック移行趨勢的に増加してきているのです。

 

 下図は金融資産を持たない世帯の割合を示したものです。リーマン・ショックの頃から金融資産非保有世帯が趨勢的に上昇し、いまでは31%もの世帯が金融資産を持っていません。

 

 さらに驚くべきことは、こうした傾向は世代を問わないということです。どの年代の世帯もどんどん生活が厳しくなってきていることが浮き彫りとなっています。20代の金融資産を持たない世帯が急増していますが、60代以上でも金融資産を持たない世帯が増えてきています。

 

金融資産非保有世帯の割合

画像ソース:知るぽると

 

 高齢者で金融資産を持たない世帯が増えれば、当然年金といった社会保障への依存度が増えていきます。一方で勤労世代も金融資産をもてない世代が時とともに増えてきており、生活を切り詰めながら保険料を支払って高齢者を支えていかなければなりません。

 

 つまり年金・社会保障制度は「貧乏人が貧乏人を支える」制度へと変貌してきているのです。

 

 アベノミクスによってトリクルダウン効果が働いて最終的に社会全体に富が行き渡ると言われてきましたが、上の図表1や図表2を見れば明らかなように、アベノミクスは完全に失敗に終わったのです。いや、失敗に終わっただけではなく金融資産を持たない世帯の増加という「負の遺産」をすでに遺しているのです。

 

 金融資産を持たない世代が増加するのも無理はありません。だって、アベノミクスと平行して家計の実質賃金はどんどん下がっていったのですから...

 

日本の家計の実質賃金

画像ソース:Alhambra Investment Partners

 

 結局アベノミクスは「日本国民の貧困化政策」と言われても仕方がないのです。

 

 さらに覚えておかないといけないのは、こうした日本の貧困化が、本格的な金融・経済不況が起こる前から進展していまに至ってしまったことです。つまり今後待ち受ける株価の下落、金融・経済不況の本格化によって、日本の貧困化がさらに進んでいくことは避けられないのです。むしろこれからが本番です。

 

 日銀による量的金融緩和+アベノミクスによる株価の吊り上げ、この代償は極めて大きなものとなるでしょう。

 

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