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日銀の金融政策は地域金融機関をますます弱体化させた
2016/10/27
※本記事掲載の画像はすべて日銀金融システムレポート(2016年10月号)から引用したものです
日銀が10月24日に発表した金融システムレポートに関する記事です。NHKは次のように報道しています:
日銀は、国内の不動産市場について、都市部を中心に価格が上昇する中、金融機関による不動産業向けの貸し出しが一段と伸びているとして、市場の動向を今後注視していく必要があるとする報告書をまとめました。
日銀は24日に公表した「金融システムレポート」で、国内の不動産市場について、・・・都市部を中心に不動産価格の上昇が続く中、今年度に入って銀行で不動産業向けの貸し出しが一段と伸び、市場では高値での取り引きも見られるとしています。
また、地方の銀行では、不動産を運用先に組み込んだ投資信託=リートを含む不動産ファンドへの投資がさらに増加していると指摘しています。
一方、報告書では、マイナス金利政策の影響で金融機関が企業への融資や有価証券の運用で稼ぎにくくなる中、今後、収益を確保しようと過度にリスクをとるようになれば、金融システム全体の安定性が損なわれるおそれがあるとして、各金融機関の動向も注意が必要だとしました。
10月24日発表の今回の日銀の金融システムレポートを実際に読んで一番重要であると感じた部分は、日銀のマイナス金利政策が金融機関に与えてきた悪影響があらわになり、レポート内で日銀自身もマイナス金利が国内の金融環境を悪化させてきたことを暗に認めていることです。
今回レポートは、日銀がマイナス金利政策を導入して半年以上という、それなりの期間が経過して出た初めてのレポートです。そこでまだマイナス金利政策を導入していない一年前のレポートも同時に見てみました。
一年前のレポートと比較してみて明らかに違うのは、一年前は金融機関の収益性の問題について大きく触れられていなかったのに、今回のレポートでは「金融機関の収益性低下に伴う潜在的な金融脆弱性」と題して、国内金融機関の収益性に対する継承を鳴らしていることです。
今回の金融システムレポートには次のように書かれています(太字・赤字は私がつけました)。
足もとの収益力の減少傾向が長引く場合には、損失吸収力が低下する先が増加し、金融仲介機能が低下する可能性もある。実際、地域金融機関を中心に、預貸金収益と役務取引等利益では経費を賄えない金融機関が増加しており、信用コストが何らかのショックで上昇した場合、コア業務純益ではカバーできずに赤字に陥りやすい状況になってきている。・・・また、長期的な観点からみると、・・・銀行の収益性は、これまでも貸出スタンスに何がしかの影響を及ぼしてきたとみられる。銀行収益に対して継続的に下押し圧力がかかり、資本コストに見合うリターンを確保できない状況が長く続けば、・・・現時点で自己資本が十分であっても、金融仲介機能に影響が及ぶことも考えられる。・・・一方で、低金利・マイナス金利の影響などから貸出や有価証券投資の収益性が低下するなかで、金融機関が収益維持の観点から過度なリスクテイクに向かうことになれば、金融システムの安定性が損なわれる可能性があることにも留意が必要である。
マイナス金利導入前である一年前のレポートでは、ここまで国内金融機関の危うい現状を指摘する文章はありませんでした。
結局、低金利やマイナス金利政策が金融機関のこれまでのビジネスモデルを腐食させ収益性を悪化させてしまい、より高いリターンを目指して海外資産や不動産融資といったよりリスキーな運用に目を向けさせてしまったのです。そしてそのツケが今後回ってきたときの影響はかなり深刻なものになるかもしれないのです。
マイナス金利政策が国内金融環境を悪化させたことは、上に引用した文章でも述べられているように日銀もレポート内で認めています。いやもはや認めざるを得ないほど、悪影響が相当大きいと自覚しているのではないでしょうか。
今回のレポートで個人的に最も興味深かったのは、低金利やマイナス金利が地銀や信用金庫にこれまで与えてきた影響や今後の影響に関して指摘された部分です。
上の引用文にもあるように、地銀や信用金庫のうち本業の収益(ほとんどは貸出による利ざや収入)で経費を賄えなくなっている金融機関の数は趨勢的に上昇しています。地銀で40%以上、信用金庫にいたっては70%以上が本業の収益で経費を賄えていません(色の濃淡は経費を賄えていないレベルの程度を表しており、色が濃くなるほど深刻さが大きいことを意味します)。
利ざやがここまで悪化してしまった主要因は市場金利の低下です。2010年度あたりから市場金利の低下が利ざやの悪化に与える影響がどんどん大きくなっていったのです。ただでさえ地方は人口減少や、預金の伸びと比較して貸出が伸び悩んでいたのに、日銀といった世界の中央銀行の低金利政策、マイナス金利政策が地銀や信用金庫のビジネスモデルを文字通り腐敗させたのです。
さらに日銀は試算によると、今後も数年は地銀や信用金庫の預貸利ざやはマイナス状態が続き、低成長(というか低金利)状態が改善しない限りは長期的に利ざやの回復は難しいことを示唆しています。
ビジネスモデルの腐敗に対処するために、ちょうど日銀による量的金融緩和が始まったころに地銀や信用金庫は投資信託への投資を急増させてきました。地銀にいたっては大手行以上に投資信託残高が多く、投資信託購入のメインの機関投資家になってしまっています。
地銀や信用金庫はこれまで株式投資信託、不動産投資信託(REIT)、債券関連のファンドといった多様な投資信託を購入してきたようです。
こうしたデータを見ると、日銀が地域金融機関のビジネスを腐らせてリスキーな資産漬けにさせたと言われても仕方ないでしょう。もし今後世界中のバブルが弾ければ地域金融機関も致命的なダメージを負うことになるかもしれません。
昨今地方創生という言葉が叫ばれてきましたが、言葉とは裏腹に日銀の金融政策は地方をますます弱体化させていったのです。量的金融緩和政策やマイナス金利政策が結果的に年金給付の減額にも発展する事態への後押しをしたこともあわせて、将来日銀が地方や高齢者を切り捨てた張本人の一人だと言われても仕方ないかもしれません。
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