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日米首脳会談後の日本の財政・金融政策に生じる変化を見極めるのが大切そう

2017/02/07

 

【2017/02/04 東京新聞】「円安誘導」批判で金利上昇 「日銀VSトランプ」の様相

 

 3日の東京の国債市場は午前中、長期金利が前日の終値より0.045%高い0.15%まで一時急上昇し、約1年ぶりの高い水準になった。金利を低く抑え込む日本に対し、トランプ米大統領が「円安誘導」と批判していることが背景にある。午後になって日銀が金利の上昇を強くけん制したため低下。だが、市場は次第に「日銀 VS トランプ」の様相を呈し始めており、日銀の金融政策自体、窮地に陥る可能性もある。

 「あくまで2%の物価目標を早期に達成するためだ」。日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は三日の国会で、金融緩和の目的を説明した。
 ただ、トランプ氏はそうは考えていないようだ。
 日銀は銀行から国債を買い入れることで市場にお金を流しており、国債を大量に買えば買うほど、市場にお金が出回り、銀行や企業は資金を調達しやすくなり、金利が下がる。一方で日本の金利が下がると投資家が米国の方が有利に運用できると判断しドルを買うため、円安に向かう。
 これに対してトランプ氏は「他国は資金供給で通貨安にしている。日本は円安誘導を繰り返している」と日本を攻撃。市場関係者の間では、「これで日銀がさらに金融緩和することが難しくなった」とみなす声が増えていた。

 

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 もしかしたら2月10日(日本時間ではおそらく11日の建国記念の日)に開かれる日米首脳会談を契機に、日本の経済や金融環境の流れは決定的に悪い方向へ傾く可能性もありそうです。

 

 トランプ氏は上のように日本が円安誘導していると批判しており、日米首脳会談では円安政策をやめるよう強く出てくることが予想されます。

 

 日銀の黒田総裁はこれまでの日銀の金融緩和はあくまで物価安定を早期に達成するためと発言しており、円安誘導の意図はないと言っていますが、それは通用しないでしょう。

 

 下図は日銀の総資産額(青色)とドル円チャート(赤色)を比較した図です。2013年の量的金融緩和開始以降、日銀の総資産額と円安ドル高の流れが同時並行的に起こっているのが見て取れるでしょう。2015年6月あたりからはしばらく円高ドル安に流れていますが、2016年9月21日に日銀が長短金利操作付き量的・質的金融緩和を発表して以降、再び円安ドル高に流れています。

 

日銀の総資産額とドル円チャートの比較

ソース:Fred

 

 下図から2013年以降、日銀の新たな金融政策の発表や導入に応じてドル円相場(青線)も大きく動いていることがわかりますから、日銀の金融政策がドル円市場の舵取りを担ってきたと言われても仕方ありません。

 

日銀の金融政策とドル円

ソース:Credit Suisse

 

 

 黒田総裁も12月の金融政策決定会合後の記者会見で、9月終わり以降に急速に進んだ円安について「別に驚くような水準とも思っていない」と発言し、早期の利上げ観測を一蹴しており、事実上さらなる円安ドル高の進展を容認した発言をしてしまっています。
 →【2017/12/21 ブルームバーグ】黒田日銀総裁:円安の容認姿勢を鮮明に-早期の利上げ観測は一蹴

 

 また菅官房長官は、昨年末の日経のインタビューで財務省、金融庁、日銀による3者会合で為替管理していることを認めたうえ、「為替に関しては(トランプ相場で)黙って(円安に)なったと言われるが、私たちが為替の危機管理をちゃんとやっているからだ。」と発言。さらに為替対応は具体的に「色々と」取れるとも発言しています。
 →【2016/12/27 日本経済新聞】展望2017(3)為替、危機管理怠らず 内閣官房長官 菅義偉氏

 

 こうしたことを総合すると、交渉の場で日本がトランプに対して円安誘導をしていないと反論することは難しいのではないでしょうか。

 

 トランプ政権や米共和党によるNAFTAの見直しやTPP離脱、国境税の導入提言などからわかるように、米国の通商政策への意気込みは非常に高いものがあります。大きな目的は膨れ上がった貿易赤字額を減らすことです。ドル安は貿易赤字改善に間違いなく必須ですから、為替政策にも本気で取り組んでくるはずです。

 

 日米首脳会談を開催するにあたって、米国側から麻生財務大臣の同席を要請したことから、為替に関する重要な話し合いや取り決めがされる公算が非常に高いのです。

 

 為替に関する踏み込んだ話し合いや取り決めがされるならば、その後は日本の経済・金融・財政に大きな問題が生じてくる可能性があります。

 

 もしトランプ政権の思惑通り、日本が今後円安になるような政策を自粛するとしましょう。そうなると日銀による従来の金融緩和を継続することは出来なくなるでしょう。上の図や最近の黒田総裁の発言からもわかるように、日銀の金融政策が円安を招いたと指摘されても仕方ないですから。

 

 そうなると国債の長期金利が上昇する懸念があります。すると日本経済はデフレになり、税収も減ります。さらに国債の利払い費も上昇するため、ただでさえ苦しい日本の財政事情がますます厳しくなり、いずれ危険な状態に陥るでしょう。

 

 もしトランプ政権の意向に反して、今後も日銀による金融緩和を継続したとすれば、今度は米国との関係が悪化して何かしら政治的な問題が出てくるのは避けられないでしょう。

 

 映画『スノーデン』の公開にあたり、オリバー・ストーン監督が「将来的に日本がアメリカの同盟国でなくなったときのためにスパイプログラムをダム、駅、発電所、銀行などに組み込んでいた。いざとなれば機能停止に追い込めます。」と発言しており、トランプ政権の意向に反すれば最悪経済・金融・財政どころの話ではなくなります。

 

 スパイプログラムの実行までは行かずとも、米国は当然日本の様々な弱みを握っていると思われますので、もし日本がトランプの意向を無視して今後も日銀の金融緩和を初めとした円安につながる政策を続けるのであれば、それ相応の政治リスクはあるでしょう。具体的な進展がどうなるかはわかりませんが、経済・金融・財政にも悪影響を与えること必至だと思われます。

 

 また今回の日米首脳会談に黒田総裁は出席しない予定なので、日本の参加者たちが日銀が望まないようなトランプからの要求を呑んでしまい、日銀と政・官との間に不和が生じて財政・金融政策の足並みが揃わなくなるといったことも考えられます。それはそれで日本にとってはマイナスです。

 

 正直日米首脳会談がどのような形で終わるのかはわかりませんが、麻生財務大臣と世耕経産大臣が呼ばれていることを考えれば、何らかの為替に関する取り決めが行われる可能性は高そうです。さらにその後の展開はどうしても悪い方向に流れていきやすいのではないかと考えられます。

 

 こうした取り決めがすべて明かされるとはもちろん思いませんが、日米首脳会談後の日本の財政・金融政策に関するニュースや数字にどのような変化が生じたかを気に留めておくと、今後の日本の経済・金融・財政の方向性が見えてくるかもしれません。

 

 経済・金融・財政がどう進展するかは今後の日本の未来に関する決定的な要因になり、いずれ私たちの生活にも直結する話だと思われるので、変化を敏感に捉えていきたいものです。

 

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