ル・ボンの群衆心理と没個性化-おかしな群衆や集団には決して入ってはいけない-


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ル・ボンの群衆心理と没個性化-おかしな群衆や集団には決して入ってはいけない-

   今回はフランスの社会心理学者、物理学者のル・ボン氏による群衆心理 についてです。


   群衆心理は社会的証明のメカニズムの一つを示すもので、群衆心理のメカニズムをざっくりと知ることで自分に害を与える社会的証明から身を守る方法を考えさせてくれます。 そうした一般の人に対する有用性があると思うので、ここで一つ紹介します。


   ル・ボン氏の群衆心理に関する考察は、現在の社会心理学における群衆や集団の心理メカニズム解明の礎となっています。 現在ではル・ボン氏の群衆心理の考え方が社会心理学でそのまま受け入れられているわけではないですが、それでも一般人の教養として現代に活かせる有用性は今なお健在です。

群衆心理とは何か

   群衆心理とは人間の群衆で生まれる心理のことです。


   ル・ボン氏によれば群衆の中には、群衆にいる各個人のアイデンティティや責任感が埋没して、すべての個人の感情や観念が同じ一つの大きな集団精神を生み出すとしています。


   こうした集団精神を持つ群衆を心理的群衆と呼び、心理的群衆がもつ集団精神を群衆心理と呼んでいます。 そして群衆たちはこの群衆心理によって導かれた行動をとってしまうのです。


   例えば海外の政治デモの参加者を見ると、参加者はデモの掛け声に従って周りを気にせず大きく叫んだり、大統領のポスターに落書きをするなどします。 普通このような行動は社会に生きる人間として褒められるものではなく、一見野蛮とも思えますが、これがル・ボン氏の言う個人のアイデンティティや責任感が埋没していることの一例です。


   デモの参加者たちの中に政権を倒すという同一の群衆心理が生まれており、この群衆心理に染まることで一見反社会的で知性に欠けるように見える行為も何のその、政権打倒に向けた統一的な動きが起こるのです。


   このように各個人のアイデンティティや責任感の埋没が発端となって群衆に生まれる一つの全体的な精神が群衆心理なのです。


   ル・ボン氏は無意識によって形成される群衆心理は非常に原始的な性質をもつものだと論じています。 群衆心理は非常に感情的で簡単に物事を信じやすく、単純な思考で物事を白黒で考え、自分の命をも犠牲にするほどの徳性が備わっていると述べているのです。


   確かに海外のデモなどを見ると、私たちの中にはデモは勢いは凄まじいけれども、非常に感情的で単純だな...とか、あんな密集したところにいるのは危険だよ...と何となく思う人もいるかもしれません。


   日本で行われる大規模デモに対しても、いわゆる文化人や経営者等の中には反知性的であると批判している人も少なくありませんし、群衆心理が原始的だと感じることはわからないこともないです。


   以上をまとめると、ル・ボン氏は群衆にいる個人の無意識化が最終的に群衆心理を生み出し、生み出された群衆心理は非常に単純で原始的なものだと捉えているのです。


   ちなみに現代の社会心理学では、参加者個人のアイデンティティや責任感が埋没して群衆心理が生まれるのではなく、参加者個人が集団や群衆のメンバーとしての自分自身のあるべき姿(Social identity)を考えて、思考や行動を適合させていくことで群衆心理が形成されていくという見方もあります(→Social identity theory)。


   確かにサッカーの応援を見ても、チームを応援するというサポーターとしてあるべき姿を各々が考えているからこそ、結果的にサポーター全体の大きな声援につながっているように見えます。


   私も音楽のライブに何回か行ったことがありますが、振り返ってみるとライブを全員で盛り上げるという目的を察知して、それに呼応するように手拍子したり飛んだり跳ねたりしている気がします。 きっと周りも同じように考えていて、それが全体としての大きな盛り上げにつながっているのでしょう。


   私たちの経験的な直感で考えると、確かに集団の一員としてのあるべき姿に自らを合わせていっている方がしっくりくる捉え方のように思えます。


   また群衆心理は必ずしも原始的で反知性的であるとは限りません。 例えば音楽のライブでは会場全体を盛り上げるために非常に秩序だった盛り上げを行いますし、コンサートから帰る際の混雑でも全員が焦らず落ち着いて行動する精神を共有できているものです。


   そういう意味で、群衆心理の種類によってはむしろ大きな社会的秩序を含有しているものも存在するといえるのです。


   しかしいずれにせよ、群衆の一員になることで本来の自分らしさが何らかの形で消えうせてしまうことには変わりありません。 これが群衆心理という、群衆(心理的群衆)の中に出来上がる一つの大きな共同精神を生み出すのです。

群衆心理に染まってしまう原因と没個性化

   群衆心理に染まってしまう人たちは、個人でいるときは全く別の行動をしてしまうものです。 では何故人間は群衆にいると自己意識が失われて、心理的群衆の一員としての別行動をとってしまう傾向にあるのでしょうか。


   ル・ボン氏は群衆たちが別行動を取ってしまう原因として次の3つを挙げています:


  1. 大勢にいるというだけの一種の不可抗力的力による無意識化(無意識状態になること)
  2. 精神的感染
  3. 被暗示性

   言葉は難しいですが、ル・ボン氏による説明は大体次のようなものです。


   まず大勢の集団にいるというだけで、周りの圧力、熱気というもので自分の意志が弱くなり無意識的な性質がより顕著になります。 人間には無意識に働いているSystem1と意識的に働くSystem2の二種類がありますが、熱気や雰囲気によってSystem2が弱まって、無意識的に働くSystem1の力が多くなるというわけです。


   無意識化は精神的な感染に掛かりやすくなります。 無意識になると直感的に正しいと思えることを受け入れる傾向になり、疑うことが出来なくなっていくからです。


   このような状況でライブの手拍子、デモの掛け声、政治家の選挙演説といった暗示を掛けられると、参加者は暗示に呼応した行動を無意識的にとりやすくなったり、何かしらの感情やイメージ(錯覚)にとらわれるようになります。


   こうした暗示が生み出す行動や感情、イメージ等によって、結果的に参加者たちに群衆心理が感染していくのです。


   このような原因によって群衆にいる人たちの心理がより原始的になります。 その結果思考は単純化したり、真実ではなく感情的に正しいと思える極端な行動を取ったりしていくのです。 以上がル・ボン氏の考えの要約です。


   このプロセスの中で私たちにとってとりわけ大事なのは、最初の無意識化の部分です。 何故なら無意識化によって心理的なバリア(疑う、慎重になるなど)が破れてしまうことが、群衆や集団の間違った考えに染まってしまう出発点となるからです。


   現在では無意識化ではなく没個性化(deindividuation)と呼ばれており、ル・ボン氏が言うように責任感等の埋没した無意識状態に必ずしもなるわけではありませんが、それでも心理的なバリアが破れることに変わりはありません。


   結局、群衆や集団にいると、群衆や集団の考えやアイデンティティを暗黙のうちに正しいと考えて、群衆や集団への帰属意識が高まってしまうのです。


   人間は正しいと思った方向に従ったり、頭に植えつけられたこと以外のことを中々考えられなくなってしまう生き物なので、こうした帰属意識が結果的に群衆や集団の考えへの従属や自己意識の弱体化につながるのです。


   その結果ル・ボン氏の言うような精神的感染、被暗示性はもとより、その他にも群衆や集団に従うような心理的要因の影響を受けやすくなるのです。

重要な教訓:おかしな群衆や集団には決して入ってはいけない

   以上のことから一つ重要な教訓が得られます。 それはおかしな群衆心理に囚われないためにも、とにかく変な群衆や集団、組織に入らないことが何よりも大切であることです。


   どんなにまともな人でも、間違った群衆や集団に入ってしまうと没個性化を発端としてとんでもない行動をしてしまう可能性が出てくるのです。


   不良グループに入ってしまったことでいじめの加害者になってしまう真面目だった少年、独善的で強硬派の人間が党首になってしまったがために危険な法律に賛成せざるを得なくなったハト派の党員、偏向報道をしていることに気づきながらも見てみぬ振りして自らの生活のために淡々と業務をこなす報道職員...


   日々の生活の中で人間性や集団の性質を見る目を養ったり、副業等を行って万が一の場合にモラルの欠けた一つの集団から離れてもある程度暮らしていける状況をつくるなどして、没個性化による個人のモラルを沈没させずに済むよう準備しておくことが大切になるのでしょう。

参考文献

   ・The Psychology of Crowd Dynamics(→リンク)

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