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返報性を活かしたビジネス

   返報性を活かしたビジネスの例を一つ挙げましょう。


   現在私は経済に関するニュースを毎日提供してくれるあるメルマガに登録しています。 毎日、その日起こったニュースに関して独自の知見を読者に与えてくれるのですが、毎回その内容の濃さ、広い視点には感化されます。 と同時にものすごく勉強になっています。 無料で提供してくれることが信じられないくらいです。 正直有料にして月額制を採用しても良いのではないかとも思うくらいです。


   このように感じるのはおそらく私だけではないと思います。 他の読者も同じように感じているはずです。 つまりこのメルマガの発行主は上のような行為によって、次の図のようにメルマガの発行主に対する信頼感を構築しているのです。

Reciprocation4


   さらに質の高い無料の経済情報が毎日送られてくるわけですから、これを餌に信頼感はどんどん成長していきます。

Reciprocation5


   さてここで、メルマガ発行主の真の目的は無料で情報を与えることではありません。 真の目的はお金を得ることです。 考えてみれば当たり前ですが、メルマガの発行主はあくまでビジネスを行っているわけです。 ビジネスを行う以上は収益をあげなくてはなりません。 単純に無料で情報を与えているだけでは単なるボランティアになってしまうのでビジネスではありません。


   毎日のメルマガの下部には、発行主が運営している別の有料情報マガジンの広告があります。 そう、メルマガ発行主の真の目的はこの有料情報マガジンに読者が登録してくれることなのです。


   ここでこの情報マガジンは年会費数万円という高額なのです。 よっていきなりこの金額を見ると多くの人は萎縮することでしょう。 しかしここで無料メルマガが私たちの心に植えつけた信頼感が活きてきます。


   メルマガの発行主は毎日無料で質の高い経済情報を届けてくれたわけです。 これによりメルマガ発行主に対する信頼感が構築されています。 しかも無料でこれだけ濃い内容の情報を届けてくれるのであれば、これだけ高額だったらさらに質の高い情報が得られるのではないか、そう考えるのが人間心理として自然です。


   そうです、結局このメルマガ発行主は毎日無料で質の高い経済情報を読者に届けることで信頼感を構築させ、成長させていきます。 そしてこの信頼感を十分大きくさせた上で、有料の情報マガジンに読者の意思で登録してもらうようにしているのです。

Reciprocation6


   重要なのはメルマガの発行主が、読者に有料会員登録をしてもらうというゴールをいきなり達成しようとしてないことです。 少しずつ信頼感を成長させていって、徐々に徐々に有料会員登録というゴールに誘導していることです。


   質の高い情報を無料で与えるという太っ腹精神が客を引き寄せるという、シンプルかつ全うなビジネスモデルだと言えます。

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