権威とハブと効率化
何故権威性が私たち人間に備わっているのでしょうか。 一つ考えられるのが、私たち人間は古来から手段を作ってグループで活動してきたことです。
グループ内で統率を図って行動するためには、グループ内でしっかりとコミュニケーションが取れていないといけません。 誰かグループ内に一人リーダーが居て、そのリーダーに従っているのが一番楽です。 何故なら統率を図るための労力がぐっと減るからです。
例えばグループ内に20人の人がいたとしましょう。 そしてグループ内で一つの行動指針を決定したいとしましょう。 もしもグループ内にリーダーがいない場合には、各個人個人がみんなとコミュニケーションを取らないといけません。 そう考えたときに、必要となる人と人とのつながりは全部で190本も必要になります(=20C2 = 20×19÷2)。
一方でもしもグループ内に一人リーダーがいて、リーダーの意見に従えばよいとしましょう。 そうすると必要なつながりはたった19本で済みます。 必要なつながりの本数が10分の1にまで減りました。
このようにグループ内に一人リーダーがいれば、必要なコミュニケーションの量がずっと効率化されるのです。
何故コミュニケーションの量がぐっと少なくなったのかというと、リーダーがグループ内のハブになっているからです。 リーダーにつながりを集中させているのでコミュニケーションが効率化されるのです。
現代でもハブは効率化のためによく使われています。 例えばAmazonを考えてください。 Amazonにはあらゆる種類のジャンルの商品が扱われていて、私たちユーザーは簡単なクリックであらゆる商品を安く購入することができます。 何でも扱っていますから非常に買い物が楽になりました。
今までは食料品や日用品だったらスーパー、ゲームやパソコンは家電量販店といった、購入したい商品ごとにそれぞれの店に行く必要がありました。 つながりが複数本必要だったわけです。
しかしAmazonは本をはじめ食料品、ゲーム、何でも取り揃えています。 Amazon一つで何でも入手できるわけです。 つまりつながりが一本で良いわけです。
このようにハブは様々なものを効率よく集めることが出来るのです。
さらにAmazonの例はハブと権威との関わりもはっきりと表してくれます。 Amazonには世界中の人が欲しい商品目当てに毎日殺到しています。 あらゆるジャンルを安く購入することができるわけですから、購入者が殺到するのも当然です。 そして毎日購入者が殺到しているわけですから、膨大な売上げを誇ることができます。
ビジネスの世界ではもちろん多くの売上げ、そして利益をあげた企業が上流企業として扱われます。 これらが投資家の増加や株価の上昇を生み出すからです。
多くの購入者が集まり、多額の売上げや利益を上げるという意味で、Amazonは権威のある企業といえます。
しかも毎日人が殺到するということは、Amazonに商品を出展したい企業が増えることになります。 消費者だけでなく、供給者もこぞってAmazonに集まるわけです。 「Amazon様、私どもの商品をAmazon様に出展させてください!」、そんな感じなのです。
商品供給者がAmazonに殺到するという意味でも、Amazonの権威性を高めています。
こうした二つのことが合わさって、ハブであるAmazonの地位、権威が常に上昇しているのです。
権威性とハブ。 これらは太古の昔から私たち人間社会に根付いた、効率化のための一つの知恵なのです。
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