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返報性とは

   今回はロバート・チャルディーニ氏が人間心理の基本的原理として提唱した6種類の心理的原理のうち、返報性についてです。


   返報性はある意味で人間社会で上手く過ごすために最も重要な性質だと言えるかも知れません。

返報性とは何か

   返報性(Reciprocation)とは相手から何かを与えられたときに、お礼に同じ相手に対して自分からお返しをしたいという気持ちが芽生える人間の心理的性質のことを指します。 一言で言えば「Give and Take」を表す性質のことです。


   FacebookなどのSNSを考えて見て下さい。 こちらが何か記事や写真などをアップしたときに、友達からよくコメント等が返ってきたりしますよね。

Reciprocation1


   コメントが返ってくるともちろんこちらは普通うれしいと思います。 しかしそれと同時にコメントをしてくれた相手にコメントを返さなければならないという気持ちが生まれますよね。


   これが返報性です。 私たち人間は相手から何かを受け取ると何かお返しをしなくちゃいけないという責任感を自然に感じる生き物なのです。

Reciprocation2


   そしてこの責任感に駆り立てられ、相手にコメントを返すことになります。

Reciprocation3


   何故返報性が私たちの心に備わっているのでしょうか。 一つの考えとしては、返報性が私たちの祖先の生存の重要な手段であったということです。


   私たち人間の祖先である類人猿は、グループ内でつながりを築いて生きてきました。 集団で狩りをしたり、社会的絆を大切にすることで皆で協力しながら生きてきたのです。 これにより寿命を伸ばしたり生殖を成功させることができました。


   グループ内のつながりを大切にすることは、類人猿が生存するための重要な手段であったわけです。


   グループ内のつながりを大切にするためには、グループ内の人ひとりひとりとの絆を築く必要があります。 そのためにはお互いに相手の欲することを与えるのが一番です。 誰しもサバイバルの本能が備わっているので、自らのサバイバルに有益なことを拒むものはいません。


   相手から何か受け取ったらお礼をする。 お礼をされた相手はまたこちらに良いことをしてくれる。


   そうすればお互いがお互いを必要と思って、互いの絆を深めることができます。 そして互いの絆を深めて協力し合い続けることが、結局はお互いの生存のためにもなるのです。

Give and Take and Take!

   さて、最初に私は返報性を「Give and Take」であると言いました。 しかし時には返報性は「Give and Take and Take」になります。 どういうことかというと、相手に与えたよりももっと大きなお返しを相手はこちらにしたいと思うときがあるのです。


   これは返報性の大切な性質です。 ビジネスは「Give and Take and Take」があるからこそ成り立っている部分さえあります。


   例えばお金の貸し借りを考えてください。 普通のビジネスでは、お金を借りた方は利息をつけて貸した人にお返ししますよね。 この利息、利ざやの分だけ、最終的に貸したほうが儲かる仕組みになっています。


   必ずお金を貸したほうが儲かる仕組みがビジネスとして成り立つのは、私たちに「Give and Take and Take」を自然と受け入れる心理が働いているからです。 こうした心理が働かなかったら、利息を払わなければならない貸し借りのビジネスなんて「詐欺だ!」と誰もが思って、広く受け入れられることはなかったでしょう。


   「Give and Take and Take」という性質を考えると、相手からものをもらいまくるよりも相手にものを与えまくる方が、実は自分にとって大きな利益につながる可能性があるのです。

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