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何故傷口が大きいほどより傷口を広げる行動を取るのか

   前回の記事損得行動4パターンの4番目、損×高確率のケースをグラフを交えて詳しく紹介しました。 そして人は傷口をさらに広げる行動を取ってしまうことを説明しました。


   プロスペクト理論は、元の傷口が大きければ大きいほどより傷口を広げる行動をしやすくなることを述べています。 今回は傷口を広げる行動がどういった原理で成り立っているのかを説明することにしましょう。

Case1:スリ傷の場合

   まずは傷口が小さい、ちょっとしたスリ傷の場合です。


   道を歩いているあなたは誤って1000円札を道端に落としてしまいました。 すぐさま拾おうとしたら、黒いTシャツを着た別の男が1000円札を拾い上げました。


   1000円札を返してもらおうとその男に問いかけたところは、男はこう言いました:


   「サイコロを投げて6を出したら返してやるよ、だけど他の目を出したらさらに1000円払え。それが嫌ならおとなしく落とした1000円俺によこしな」


   何やら理不尽なことを言っていますが、要は1000円払うか、それともサイコロを投げて6の目なら損なし、6以外の目なら2000円損するギャンブルのどちらかを選択しろと言っているのです。


   このときだったらさすがに1000円払う方を選択しますよね。 サイコロを投げる方が分が悪いですし、1000円払う方が合理的ですしね。


   グラフで表すと下のようになります:


Prospect Theory20


   点Aが1000円を払った時に感じる痛み(スリ傷)、点Bがサイコロギャンブルに対する痛みです。 点Bよりも点Aの方が上にあるので、点Aの方がまだマシ、つまり1000円払う方がサイコロギャンブルを行うよりもマシだということです。


   プロスペクト理論にしたがったときに、何故1000円を払うようなスリ傷のときにはスリ傷を受け入れる方がまだマシになるのでしょうか。 それはお金を失うマイナスの価値(青線)が参照点の近くでは傾きが急だからです。


   青線はS字カーブを描くので、参照点付近(原点付近)が一番縦方向に急となります。 これにより1000円を失うときの気持ちと2000円を失うときの気持ちの差が大きくなります。 この差の大きさが、2000円を払うかもしれないギャンブルをするくらいなら1000円失うスリ傷の方がまだマシだと考えることにつながるのです。


   このようにスリ傷程度の痛みだったら、これ以上傷を広げない判断ができるのです。

Case2:重症の場合

   次は腕からドクドクと血が流れているほどの重症を負っている場合です。 前回の記事を再び例としてあげましょう。


   前回は次の二つの選択を考えました:

  1. 300万円払う
  2. 90%の確率で500万円払う

   下がそのグラフです。 点A(赤丸)が90%で500万円払う行為に対して感じる傷、点D(緑丸)が300万円払う行為に対して感じる傷です。


Prospect Theory19


   このときは点A、つまり90%で500万円払う行為の方がマシだと考えていることになります。 点Aが点Dよりも上の位置にあるからです。


   何故300万円を確定で払うという、腕からドクドクと血を流すような大きな傷を負うことを迫られている場合には、90%で500万円を払うというさらなる血を吹きだす可能性のある方を選択するのでしょうか。


   理由は参照点から離れると青色のS字カーブの傾きがどんどん緩やかになっていく(Diminishing sensitivity)からです。 参照点から離れれば離れるほどお金の感覚がマヒしてきます。 300万円や500万円という金額はどちらも社会人の年収並の大きな金額です。 よって300万円を失うのも500万円を失うのも、どちらも大きなショックであることには変わりないですからそこまでショックの差が大きくないのです。


   だったらちょっとでも損をしないで済む方法の方がいいんじゃないか、そんな風に思うわけです。 だから10%でも損しない望みのある方を選択するのです。


   しかも90%という実際の確率は体感的には70%ちょっとしか感じないですし。 この実際の確率と体感確率との違いがさらにギャンブルを行う方向へと気持ちを向けてしまうのです。 (図でいえば緑線と黒線との離れ具合です。)


   こうした理由から腕から血をドクドク流すくらいの重症を甘んじて負うくらいなら、さらに血を吹きだす傷をリスクを負ってでも一筋の望みに賭けてしまうのです。

まとめ

   最後にまとめです。


   Q. 傷口が大きい程、さらに傷口を広げてしまうとはどういうこと?

   A. 損する金額が少なければ損を受け入れられるけれど、損する金額が大きければさらなるリスクを負ってでも損を回避したがるということです。


   Q. 何で傷口が大きい程、さらに傷口を広げてしまうの?

   A. 一つはDiminishing sensitivity。もう一つは実際の確率と体感確率との開きの大きさです。 この二つが同時に働くことで、さらなるリスクを負う行動を取ってしまうのです。

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