金価格2330ドル突破、謎の金高が続く

3月から「謎の金高」が続いています。

ドル建て金価格は連日最高値を更新しており、先週金曜日に1オンス2330ドルを初めて突破しました。

新興国通貨を中心に、他の通貨建てでは概ね2022~23年に2020年の金価格の最高値を更新し、その後変動がありながらも上昇相場を続けてきました。

円建て金価格は近年ずっと値上がりが続いています。2021年から通貨安が進み、3年連続で主要通貨のなかで「最弱通貨」となったことの現れです。

ほぼ唯一、燻ぶり続けてきたのが米ドル建ての金価格でした。2022年から利上げと量的引き締め(QT)を開始し、投資家・投機家たちが利息の付かないゴールドを売り続けたためです。

昨年暮れに2020年8月の最高値を更新したものの、その後また下落し、今年2月末までドル建て金価格は湿っぽい値動きを続けていました。

ところが3月に入ると、まるで北国で雪解けが進み、日光を直接浴びた草木が一気に芽吹くかのように、ドル建て金価格の強い値上がりと最高値更新ラッシュが始まりました。

3月以降、欧米のヘッジファンドなどの投機家や投資家が、金先物や金ETFを買っていることはデータを見ればすぐにわかります。

しかしいまの金価格上昇を根拠づける論理、根底で働く市場力学というのがどうにもよくわからないのです。

金価格値上がりの要因として最もよく指摘されるのが、Fedの利下げ期待の高まりです。

しかし市場が予想する利下げ回数は昨年暮れの6回から、いまは3回に半減しました。

利下げ観測後退でビットコインや米国株の価格が下がったと報じるニュース記事もあり、利下げ観測が金価格上昇を促したとする見方は矛盾だらけです。

むしろ米国の実質金利は上昇しており、通例であれば金価格は下がるはずですが、真逆の値動きをしています。

地政学リスクの高まりを背景に安全資産として金需要が高まった可能性はなきにしもあらずです。

モスクワのコンサートホールでの銃撃テロ事件や、イスラエルがシリアのイラン大使館を空爆したことで、ウクライナと中東での戦争が激化しかねない状況にあることは間違いありません。

原油価格の値上がりも続いています。ただ地政学リスクを背景とした値上がりであるかどうか、現時点で確かなことは言えません。

市場力学が判然とせず、モメンタム投資家・投機家が跋扈している以上、いまの金強気相場が今後も続くのか、それとも一転して反落していくのか、先行きは見通せません。

★金相場の短期的な視界は不良です。でも別の部分に視点を向けると、実はすでに金市場で不可逆的な構造転換、パラダイムシフトが進行中であることに気が付きます。

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