景気減速気味の中国が大規模資金供給に消極的なワケとは?

アボマガ・エッセンシャルの記事作成のために中国経済について調べていました。

昨年12月に中国政府はゼロコロナ政策を解除し、今年の春節で3億人の中国人が国内旅行をしたことから、景気回復は時間の問題だと考えていました。

たしかに4月の小売売上高は前年比18.4%増と好調です。

しかし企業活動に関する伸び率は、昨年4月に上海ロックダウンを敷いて1年以上経過したことによる反動があまり生じず、期待外れになっています。

気になったのは不動産分野です。不動産分野については、住宅や商業用不動産の着工面積は急激に回復しています。

これは、建設工事の停止で引き渡しが遅れている住宅の購入者によるローン返済拒否の動きが中国各地で広がっているのを抑えるため、中国政府が「保交楼(不動産の引き渡し保証)」を導入した影響が大きいとされます。

住宅引き渡しの遅れは、不動産開発会社が資金繰りに窮して破産寸前に陥り、建設プロジェクトの遂行が難しくなったことが原因でした。そこで保交楼は不動産救済基金を通じて不動産開発会社に資金を注入することで、住宅引き渡しを進めたのです。

しかし不動産開発会社の資金繰りに窮する現状に変わりなく、新規着工面積は現在も前年を大きく下回る状況が続いています。

中国の国内総生産のおよそ3割を占める不動産業が振るわなければ、中国経済全体の回復の足を引っ張ります。どうもいまもこうした状況が続いているようです。

市場は中国が景気下支えのためにさらなる財政出動・金融緩和を取ることを期待しています。

最近、中国政府が主要都市の中心部以外で物件の手付金比率を引き下げることや、仲介手数料の減額といった景気刺激策を検討していると報じられ、市場は好感しました。

しかしこれらはいずれも建設済みの住宅の販売を促進し住宅在庫を減らすための措置に過ぎません。不動産開発業者の資金繰り自体を大きく改善する内容には見えず、不動産市場の根本的な回復には至らないのではないでしょうか。

今回、リーマン危機直後のように中国政府が十分な資金を市場や経済に供給することをそこまで期待してはならないのではないでしょうか。

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