日本国民を犠牲にして年金財政は息を吹き返すのか

先日、厚生労働省が5年に一度の将来の公的年金の財政見通し(財政検証)の結果を公表しました。

まず、財政検証で提示された、景気の良し悪しで分かれた4つのシナリオに基づく試算はどれも参考にならないことにお気を付けください。

現実を無視した前提に依っているためです。前提に関して特に問題なのは3点あります。

第1に、4つのシナリオにスタグフレーションシナリオ(実質賃金マイナス、物価上昇率は最低でも2%以上)がありません。

第2に、為替の影響を無視しています。

第3に、平均寿命が2020年の男性81.58歳、女性87.72歳から、2070年に低位シナリオでも男性87.22歳、女性93.27歳に5年前後伸びると想定していることです。

さて、年金財政破綻が昨今叫ばれ続けていますが、実はこの5年間で公的年金財政が好転していることをご存知でしょうか。

下図を見ての通り、昨年にかけて厚生年金と国民年金の保険料収入、運用収入、積立金残高は前回5年前の財政検証での見通しを大きく上回って伸びました。

支出の伸びも大きく抑えられ、昨年の収支差引額(運用収入除く)は黒字転換する見通しです。

画像ソース: 厚生労働省

保険料収入が増えたのは、年収130万円以上の女性労働者が増えて、年金保険料を納める人たちが増えたためです。

運用収入と積立金残高が大きく増えたのは、世界や日本の株高と、円安で外国株式・債券の円建てパフォーマンスが良くなったためです。下のニュースでも報じられています。

[2024/07/05 日本経済新聞]公的年金GPIF、23年度運用45兆円プラス 最高を更新

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2023年度の収益は45兆4153億円のプラスとなり、過去最高を更新した。株高を追い風に直近5年間の年金積立金の運用収益は19年時点の想定の約6倍となった。運用に求められる想定利回りは今後引き上がる可能性があり、GPIFへの期待は高まる。

資産ごとの収益は外国株式が19兆円、国内株式が19兆円、外国債券が7兆円のプラスだった。内外の株高が収益を押し上げた。円安の進行で外貨建て資産の円ベースの評価額も増えた。

支出(給付金)の伸びが鈍いのは、年金受給者である高齢者が5年前の想定より多く亡くなったためとしか説明がつきません。

上図を見ると、支出の5年前の財政検証における見通しと実績との開きが大きくなったのは2021年からです。

2021年というのは、日本でmRNA新型コロナワクチン接種が始まった年です。

この年から今日まで、超過死亡は50万人を超えました。そして現在も超過死亡に歯止めが掛かっていません。

この超過死亡が、年金支出の抑制につながっているのです。

今回の財政検証を見て気付いたのは、どうも今後年金財政は破綻に向かって突き進むどころか、息を吹き返す可能性すら出てきたことです。

年金財政が息を吹き返すのに特に必要となるのは次の2つです。

第1に最も重要なことは、今後超円安が進み、積立金の外国株式・債券の円建てパフォーマンスが劇的に良くなり、運用収入が大きく増えることです。

国内の輸出企業や海外展開する企業の収益も超円安で増えますから、国内株式のパフォーマンスも良くなることでしょう。

そして第2に、超過死亡のトレンドが現在のまま続き、日本人がこれまでより早死にすることです。

もしmRNA新型コロナワクチンの複数回接種で、免疫が恒久的に低下したことが超過死亡の原因であれば、このトレンドは50年程度続くかもしれません(遺伝による影響を無視した場合)。

mRNA新型コロナワクチンの複数回接種を呼びかけたのは、他でもない、公的年金を所管する厚生労働省です。

嗚呼、日本国民が犠牲になることで、年金財政は良くなっていくのです。

あっ、年金財政が良くなっても受取金額が大きく増えることはありません。マクロ経済スライドと、実質賃金がマイナス続きになることで、実質の受取金額は減り続けます。

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