23年9月のFOMCに対する所感:インフレ退治、市場との信頼維持の双方で危険性が増した

昨日のFOMCは、困惑する内容でした。

市場の期待を裏切ってでもインフレ退治を優先するのか、市場とのコミュニケーションや市場心理を安心させることを重視するのか、さっぱりわからなかったためです。

8月の米国のインフレ率は3.7%に過ぎませんが、6月を底に反転上昇しています。原油価格の反転上昇のためです。

ブレント原油価格は1バレル90ドル以上に上昇しており、1年前をやや上回ってしまいました。

粘着インフレ率は現在も5.2%と、現在の政策金利の誘導目標レンジである5.25-5.5%をわずかに下回るに過ぎません。

今回のFOMC後の会見でパウエル議長は、経済成長は予想以上で、かなり勢いがあり、労働市場の逼迫は続くだろうと述べています。

そのため、インフレ退治を優先するのであれば、予防的な意味も込めて、せめて0.25ポイントの利上げをすることが筋だったのではないでしょうか。

ではパウエル議長は市場とのコミュニケーションや市場心理の安定化を重視しているのでしょうか。

たしかに今年は市場予想を上回る幅の利上げを行った昨年と違い、毎回の利上げ幅は市場の予想通りで、6月には金利を据え置きました。

パウエル議長は「インフレはいくぶん和らぐ、インフレ期待感は十分に制御されている」との内容を今回の会見で述べています。

でもドットチャートをみると、2024年、2025年の政策金利予想中央値は、前回6月の値からそれぞれ0.5ポイントずつ上昇しました。

しかもFOMCメンバーの一人は、来年にさらに利上げし、政策金利は6%超に達すると予想しています。

FOMCは近年、3月、6月、9月、12月に最新のドットチャートを公表するたびに、政策金利予想をアグレッシブに引き上げ続けてきました。

この1年間で、今年の政策金利見通しは1ポイント、2024年の見通しは1.25ポイント、2025年の見通しは1ポイント、それぞれ引き上げられてきました。

市場はこれを見て利下げ期待をしてきました。昨年12月~今年6月時点のドットチャートでは、来年に3~4回の利下げををすることが示唆され、株価は値上がりしてきました。

ところが今回、ドットチャートが示す利下げ回数は「4回→2回」に半減し、市場の不安が増しています。

ドットチャートの引き上げが常態化しているため、来年利下げがされなくても別に不思議ではありません。

また会見でパウエル議長は、市場を不安にさせる次のようなコメントを述べています:

・インフレを抑えるには、トレンド以下の成長率と労働条件の多少の軟化が必要な時期がある見込み

・ソフトランディング(経済の軟着陸)への道筋が広がったとしても、Fedに制御不可能な要因に左右される可能性がある

パウエル議長率いるFedから、何が何でもインフレ退治をするとの覚悟も、市場との関係や市場を安心させることを重視する態度も見えないのです。

Fedのインフレ退治が後手に回る危険性、市場からの信頼を失う危険性の双方が高まったように私は考えます。

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