米国のインフレ率が低下してきた本当の理由

世界の原油価格が上がっています。

WTI原油価格は昨年6月に1バレル120ドル超えした後、今年3月までの9か月間にわたり下落し、一時1バレル67ドル台をつけました。その後6月までおおむね停滞を続け、7月から反転上昇し、現在は1バレル87ドル台にまで値上がりしました。

画像ソース: Stock Rover(有料)

何故原油価格は上昇しているのでしょうか。よくある意見は産油国の減産です。

たしかにOPECプラスは協調減産を進めています。今月、サウジアラビアは現行の日量100万バレルの自主減産を年末まで延長、ロシアは年末にかけて輸出量を30万バレル減らすとそれぞれ発表し、原油価格は値上がりしました。

米国のシェール企業は、原油価格が下がってきたなか、キャッシュフローの安定化を優先させるために、今年に入りリグ稼働数を減らし続けてきました。

でも本当の理由は、バイデン政権が進めてきた米国政府の石油備蓄放出ペースが今年に入り鈍っているからです。

石油備蓄の推移をみると、昨年の4月から昨年末にかけて放出がもっとも進んだことがわかります。Fedの利上げの裏で石油備蓄を放出しまくったのです。

石油備蓄の放出が本格化し始めた昨年の4月からおよそ3カ月後に原油価格は下がり始めました。石油備蓄の放出ペースが落ちた今年の頭からおよそ7ヵ月後に原油価格は上昇し始めました。

石油備蓄の放出ペースの変化から3~7ヶ月後に、原油価格に反映されていることがわかります。こうした明確な連動が両者にあるのです。

米国のインフレ率は一時3.0%にまで低下しましたが、これはひとえに原油価格の下落によるものでした。

インフレ退治の名目で利上げすれば、石油会社は原油価格の下落への不安と資本調達コストの増加から、開発に慎重になります。結果、石油需給は逼迫して原油価格は値上がりしやすくなります。

市場はインフレ率の低下をFedの金融引き締めのおかげだと思っていますが、本当はバイデン政権による石油売り政策のためなのです。

再び米国政府が石油備蓄を放出して原油価格を下げることはできるかもしれませんが、限度があります。

バイデン政権発足以来、2年8か月で石油備蓄はおよそ半減してしまいました。もう一度備蓄を放出して無理やり原油価格を下げようとすると、備蓄の枯渇が視野に入ってきます。

関係ないですが、来月は第一次石油危機の発生からちょうど50年です。

★本日はアボマガ・エッセンシャルの配信日です。

今回はゴールドについてです。金市場をめぐる外部環境に大きな変化が起きようとしているのですが、あなたは気付いていますか?

先月29日配信の「今日のつぶやき」で「ゴールドは今後5年、10年は輝き続けます」と書きました。今回のアボマガ・エッセンシャルを読めば、その理由がおわかりになるかと思います。

▽アボマガ・エッセンシャルとは

アボマガは、「配当成長株+配当再投資」の組み合わせで複利を活用して配当収入を増やすことで、インフレに負けない生活を築き上げたい人たちを応援するメルマガです。

インフレが続く不安定な時代に、不安定な株価の値動きに依存して購買力を高めようとすることは非常にリスクが高いです。

こうした時代は、配当に着目して地に足付けた長期投資をすることがスマートなやり方です。何故なら…

・高インフレの時期はリターンの7割が配当です。

・配当の原資であるフリーキャッシュフローを安定して伸ばせている銘柄を選べば、マクロ経済動向いかんによらず配当は安定して増え続けます。

・安定した配当成長と配当再投資により、配当にものすごい複利が働きうなぎ上りで増えていきます。

・配当成長と配当再投資で毎年10%以上の複利で、インフレ率を上回るペースで配当を増やすことは難しくありません。

インフレ率を上回るペースで配当収入を得られれば、生活への不安が大きく和らぐだけでなく、インフレ時代をもっと楽しく、もっと前向きに暮らせるようになるかもしれません。

アボマガをお読みいただき、インフレ時代を明るく生き抜く人たちを一人でも多く増やせれば良いな、そのように思っています。

→アボマガ・エッセンシャルのご登録方法

▽アボマガ・エッセンシャルで最近配信した記事

アボマガ・エッセンシャル(有料)にご登録されると、以下の記事を含め直近50記事をご覧いただけます。

●No.269 需給は再び逼迫していく
[2023/09/04]
高配当利回り、高ROEの高クオリティ資源銘柄3社のレビューです。中国の不動産市場の行く末に投資家が目を奪われているうちに、良い買い機会が訪れている今回触れた資源3銘柄に早く投資して、いずれやってくるインフレ再燃に備えておきましょう。

●No.268 米ドル基軸通貨通貨体制の終焉がもたらすこと
[2023/08/28]
BRICS首脳会議が終わり、新興国通貨の台頭・米ドル基軸通貨体制の崩壊は確定的になりました。国際金本位制の崩壊と同時期に、世界大恐慌が発生し、米国株は9割暴落しました。では米ドル基軸通貨体制が崩壊したときに、何が起こり得るか?これを知ることは激動の時代に資産を守ることと同義です。

●No.267 GPU、学習、1割。CPU、推論、9割
[2023/07/31]
機械学習の中心はトレーニングではなく推論である点に着目すると、将来勝者になれるチップ会社も変わってきます。市場が「機械学習=トレーニング=GPU」という固定観念に縛られているあいだに、将来勝ち組になりそうな割安チップ企業に投資して100%、200%、500%のリターンを掴みにいきませんか、という話です。

●No.266 免疫低下・感染症時代に恩恵を受けるヘルスケア銘柄
[2023/07/24]
株価が異常な割安で放置され、高配当利回りとなっているヘルスケア銘柄について扱っています。パンデミックを機に人々の免疫は弱くなり感染症に掛かりやすくなったことで、この企業の売上は2021年よりグンギン伸びてきました。なのに株価は追いついていません。

→アボマガ・エッセンシャルのご登録方法