レケンビに社運が懸かるバイオジェン

古い記事ですが…

[2024/02/13 ブルームバーグ]バイオジェン株下落、アルツハイマー病新薬の低調な出足で

米医薬品メーカー、バイオジェンの株価が13日、2年ぶりの大幅下落となった。アルツハイマー病新薬が低調な出足となり、同社にとって成長までの長い道のりが示唆された。
同日の発表によると、エーザイと共同開発したアルツハイマー病治療薬「レケンビ(一般名レカネマブ)」の治療をこれまでに受けた患者数は2000人にとどまった。3月末までに1万人に投与する目標を達成できない恐れを警告するものだ。

米医薬品メーカー、バイオジェンの株価が13日、2年ぶりの大幅下落となった。アルツハイマー病新薬が低調な出足となり、同社にとって成長までの長い道のりが示唆された。

同日の発表によると、エーザイと共同開発したアルツハイマー病治療薬「レケンビ(一般名レカネマブ)」の治療をこれまでに受けた患者数は2000人にとどまった。3月末までに1万人に投与する目標を達成できない恐れを警告するものだ。

バイオジェン株は、かつてアボマガ・エッセンシャルで紹介していました。

レケンビの前に開発が進んでいたアルツハイマー病治療薬アデュヘルムが当局に承認・上市されるという歴史的な出来事が起こり、長期的に収益がグングン伸びていくことを期待しての紹介でした。

仮に承認されなくても、高ROE、高営業利益率、ほぼ無借金で、割安だと考えていたので、大きな失敗にはならないだろうと思っていました。

アデュヘルムは初期アルツハイマー病の悪化を抑制する効果に疑問符が出されながらも、2021年6月に米FDAから迅速承認されました。株価は一時400ドル以上に30%以上急騰しました。

ところが承認後、投与患者が相次いで脳膨張(Aria-E)により死亡する事例が相次ぎ、保険適用対象は大きく制限され、有効性は薄いのに命の危険のある薬剤に誰も年間56,000ドルを出したがらず、全く普及しませんでした。

その後バイオジェンはCEOの退任、20年間在籍した医薬品開発のトップの退職、従業員の大量解雇という痛みを伴う改革を行い、新CEOのもとで、レケンビの普及に命懸けで取り組むことになりました。

レケンビはアデュヘルムと同じく、脳内に溜まったアミロイドβ除去薬を除去して初期アルツハイマー病の進行を抑える薬剤です。

レケンビの進行を抑える効果はアデュヘルムとあまり変わりませんが、Aria-Eの発症による死亡リスクはアデュヘルムより大分低いとの治験結果が出ていました。

またアデュヘルムの価格を高額に設定して批判を浴びたことへの反省から、レケンビの年間価格を26,500ドルに抑えました。

無事、レケンビは昨年に米国、日本、中国で承認されました。日米では公的医療保険の対象となり、多くの初期アルツハイマー病患者が費用を抑えて治療を始められる…はずでした。

ところが日本では、適応対象患者の1%しかレケンビの治療を受けていません。

高額療養費制度を利用すれば、レケンビの自己負担額は年間最大で約14万4000円と、決して治療を断念するほどの負担ではありません。

しかし初期アルツハイマー病患者であるかどうかを画像診断するPET検査には保険適用されず、30~60万円を全額自己負担しなければなりません。

脳脊髄液検査という別の検査方法があり、こちらは1~2万円程度で受けられますが、侵襲性が大きく、高齢者の体に大きな負担が掛かってしまいます。

レケンビは初期アルツハイマー病の進行を改善するわけでなく、抑制することしかできません。

放っておいてもすぐに命の危険があるわけでもない自覚症状のほとんどない病気の治療のために、大金を支払ったり余命を縮め得る検査を誰がしたいと思いますか。

米国ではレケンビ承認を受けて、PET検査も保険適用されました。しかし米国でもレケンビはほとんど治療に使われていません。

アデュヘルムの承認プロセス・有効性・安全性の問題により、アミロイドβ除去薬に対する医療従事者、専門家、保険会社、規制当局への不信感が残っているためです。

●バイオジェンは生き残れるか?

レケンビはバイオジェンにとって最後の砦です。

バイオジェンは長年収益に貢献してきた多発性硬化症治療薬の特許が切れて売上が急減し、他の薬剤も競争力の低さによって売上は落ちています。

フリーキャッシュフローは2019年に64億ドルありましたが、昨年は15.5億ドルと、4年間で5分の1に激減しました。ROEや利益率も淋しい数字になりました。

収益の減少を買収で食い止めることは厳しい状況です。昨年にリアタを65億ドルで買収しましたが、これにより純負債は営業キャッシュフローは3.8倍に達したので、これ以上の買収は財務的にかなりリスクがあります。

新薬パイプラインは貧弱で、レケンビが売れる以外にバイオジェンが生き残れる未来はありません。

●バイオジェン投資の反省点

アボマガ・エッセンシャルでは2020年に259ドルで紹介し、レケンビが米国で迅速承認を受ける直前の2022年11月に303ドルで売り抜けましたので、一応利益を出すことができました。

4月19日のバイオジェンの終値は194.38ドルでした。

ただ、これまで述べたことからわかる通り、バイオジェン株を当初紹介した根拠はことごとく崩れていってしまいました。

私はヘルスケア銘柄をこれまでいくつも紹介し、アボマガ・エッセンシャル読者様は大きなリターンを享受してきましたが、バイオジェンだけは本当に上手くいきませんでした。

バイオジェン投資が上手くいかなかった理由は明白です。科学的データでなく期待に基づいて投資したためです。

アデュヘルムが有効性・安全性に難ありで、普及のために必要な保険適用をそう簡単に受けられる状況にないことは、早くから認識していました。

しかしアルツハイマー病市場の大きさが非常に大きいこと、そしてアデュヘルムがアルツハイマー病の原因物質を取り除く薬剤として世界で初めて承認されたことで、アデュヘルムブームが長く続くと勝手に判断してしまいました。

そのためアデュヘルムが迅速承認されて株価が400ドル以上に急騰したとき、売り判断をしませんでした。

他方、アボマガ・エッセンシャルで他に紹介しているヘルスケア銘柄がいまのところ順調なのは、有効性・安全性に裏付けられ、競争力のある薬剤から大きな収益を得られているためです。

バイオジェン投資での反省から、アボマガ・エッセンシャルでは将来有望とみられている薬剤の治験結果をきちんと確認し、期待でなく科学的データを重視して投資判断するようにしています。

あなたも下のリンク先にあるような画像を積極的に見て、意味を理解し、有効性・安全性を判断できるようになれば、将来有望なヘルスケア銘柄を自力で探せるようになります。
→画像1
→画像2

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