金価格が1トロイオンス1900ドルを突破、およそ4か月半ぶり

[2021/05/26 ブルームバーグ]金、年初来の下げ消す-米金融政策据え置き姿勢と債券利回り低下で
 
金スポット価格は25日、1%高の1トロイオンス=1899.25ドルと1月初め以来の高水準となった。26日のアジア時間午前の取引では昨年末を若干上回る水準で取引されており、年初来の下げを消した。3月には一時9カ月ぶり安値を付けていた。
 
米国の景気回復に伴う物価上昇は持続的ではなく一時的との見方を金融当局者は繰り返し、引き締め政策への動きを巡る観測を退けている。米国債利回りの低下も貴金属価格上昇を下支え。金スポット価格は25日までの9営業日中、8日で上昇した。
 
金は1-3月(第1四半期)に大きく下げたものの、5月は月間ベースで昨年7月以来の大幅高の方向。ドルと米国債利回りの低下が、利息を生まない金の魅力を高めることにつながっている。また、投資家はインフレ懸念が経済成長を損なう恐れに伴い、価値の保存手段としての金に戻りつつある。25日発表の米4月新築住宅販売の減少を受け、金は安全な逃避先としての妙味が増した。

 
3月29日に配信した「[アボマガ No.160]見捨てられた金鉱株」にて、当時におけるゴールドについての見解を述べました。
 
金価格は米国長期金利と反対方向に動く傾向がありますが、当時、米国長期金利は次のような状況にありました:
 
・年初から上昇傾向が続いており、ワクチン普及や景気刺激策による、インフレ期待の高まりと景気回復への期待によるものと言われていた
 
・投資家の売買面では、日本人投資家の米国債の売却が米国長期金利上昇の原因であった。また補完的レバレッジ比率(SLR)の規制緩和措置終了に伴う、米銀による米国債売却リスクがあった
 
しかし日本人による売りは3月で収まり、米銀による米国債売却リスクは小さいとの見解を、配信記事に書きました。
 
結局、4月に入ると1.7%超あった米国長期金利の上昇は止まり、現在まで低下傾向が続いてきました。
 
日本人投資家は4月第1週、第2週にそれぞれ外国債券を1.7兆円、1.0兆円買い越しました。4月最終週に1.4兆円の売り越しがありましたが、それ以降大きな売り越しはありません。
 
米銀による米国債の大量売却も起こりませんでした。
 
 
さらに当時、米国長期金利売却により投資家の金ETF売りが進んでいましたが、中国とインドの宝飾品需要が回復していると書きました。
 
ルピー建て金価格は昨年4月と同水準、人民元建ての金価格は昨年3月と同水準のため、宝飾品購入者にとって比較的手ごろな価格帯が続いていました。
 
インドでは金輸入に掛かる関税と金購入に掛かる付加価値税の引き下げで、宝飾品購入が後押しされる状況でした。
 
当時心配だったのは、インドで二重変異ウイルスが見つかり、感染爆発が起こり、金宝飾品店が閉鎖され、インドの金宝飾品需要が落ち込む可能性があったことでした。
 
ただ、昨年とは異なり、中国では依然として新規感染は抑制できており、結婚式も再開しており、世界全体で金宝飾品需要が再び急落する状況ではなさそうだと書きました。
 
米長期金利上昇が一服したことと、金宝飾品需要の高まりへの期待から、金を全くまたはほとんど購入していない方は、購入を始めても悪くないと書きました。
 
 
また紹介している某金鉱会社についても触れました。
 
生産コストが近々ピークアウトし、増産の準備が順調で、しかも他の金鉱株と比べて割安で放置されていました。
 
金鉱株は金価格にレバレッジが掛かる値動きをするものであり、値上がり条件が上手く噛み合っていると感じたので、ゴールド以上に強く買いを推奨しました。
 
懸念された通りインドで感染爆発が起こりましたが、金価格には影響なく、今日まで上昇が続き、久しぶりに1トロイオンス1900ドルを付けました。
 
結果論ですが、直近の金価格の底値に近い1トロイオンス1700ドル程度で、ゴールドや紹介している某金鉱株を買い推奨したことは、良いタイミングだったと言えるようです。
 
今後金価格が再び下落したとしても、直近の底値付近で買えたと自分に言い聞かせることができ、あまり後悔することはなさそうです。
 

青:金ETF、桃:当該金鉱株

 
最近、インフレ懸念の高まりが連日ニュースで報じられます。実際、日用品や食品、中古車などの価格が値上がりし物価上昇が起こってきたのは事実です。
 
このままインフレが高進するのかは不明ですが、アボマガ・エッセンシャルの読者様は金価格の値上がりの恩恵だけでなく、インフレ対策を進めたことによる自信や安堵も得られたのではないでしょうか。
 
今後、インフレ対策の良い機会が再び巡ってくるのかはわかりませんが、いざ訪れた機会に対応できるよう、市場のウォッチを続けているのが現在の私の状況です。