太陽光発電は2020年代に本格普及へ、恩恵を受ける資源とは?

2020年代、それは太陽光発電の時代。

太陽光発電は風力発電に比べて世界的に普及が遅れていましたが、その大きな理由の一つは銀の使用により太陽電池(太陽光パネル)の製造コストが高い状況が続いたためでした。

銀は太陽電池の表面のシリコンウエハーにペースト状に塗られることで使用されます。シリコンウエハーに直射日光が当たると光電効果によりマイナス極とプラス極が形成され、電子が導線を伝わって移動するようになり、電気の流れが生じます。

銀は最も電気を流しやすい性質(導電性)を持つ金属であり、銀を使うことで太陽電池の発電効率を高めることが出来ます。そのため太陽電池の原材料として欠かすことが出来ません。

しかし銀は価格の高さがネックです。銀には及ばないものの他に導電性が高い金属に銅とアルミがありますが、銀価格は同じ量の銅に比べて70~80倍、アルミより300倍前後も高いです。

銀は質量ベースでは、太陽電池の1%にも満たない量しか使われません。しかし価格ベースでみると、銀は原材料の5割近くを占めるようです。銀はほんの僅かしか使用しないのに、太陽電池の価格の大きなネックになってきたのです。

そこで太陽電池メーカーは、製造コストを下げるために太陽電池の最小構成要素であるセル1個あたりの銀の使用量をここ10年以上かけて8割以上減らしてきました。

そのおかげで太陽光発電の建設、運用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体の(ワット時あたりの)費用を表す均等化発電原価(LCOE)は、2010年から2021年にかけて88.5%も低下しました。

いまでは太陽光発電の均等化発電原価は陸上風力に次いで安く、洋上風力発電や石炭・ガス・石油発電よりも安くなっています(下図一番右)。

太陽電池の設置費用は2016年には陸上風力を抜き最安で、いまでは陸上風力より35%ほど安く設置できます。

太陽光発電には、いま大きな追い風が吹いています。

パンデミック以降のインフレやサプライチェーンの混乱に、ロシアのウクライナ侵攻とそれに対する欧米の経済制裁が加わり、石炭や天然ガスの価格や電気料金が欧州を中心に急騰しました。

化石燃料発電で最も費用の安い石炭火力発電は、すでに数年前から太陽光・風力発電よりLCOEが大きい状況でした。ここに世界的疫病や地政学問題が絡む石炭価格の急上昇が加わり、再エネに比べて石炭火力は一気に劣勢に立たされました。

米国で稼働中の石炭火力発電所の99%は、近くに太陽光・風力発電所を建設した上で閉鎖したほうが経済的に優位だとの研究結果も出ています。
https://www.theguardian.com/us-news/2023/jan/30/us-coal-more-expensive-than-renewable-energy-study

これまで「脱炭素」「ESG」「SDGs」という世界的(詐欺的)スローガンのもとで再エネがもてはやされ投融資が進んだ一方で、石炭火力発電への投融資や保険提供が制限・停止されてきました。

しかし経済的に太陽光・風力発電が石炭火力に比べ優れることが確定したことで、再エネ投資は経済・ビジネスの論理で普及は間違いなしになります。利権屋たちはもう太陽光・風力発電が環境破壊を推し進める事実を隠して「環境に良い」「地球を守る」といった大嘘を連呼せずに済みます(笑)

しかも再エネのなかでも太陽光発電は優位な位置にあります。上述の通り太陽電池は設置費用が最も安く、土地造成や基礎工事をせずに家庭や工場の屋根に取り付けられるため、設置のしやすさや設置期間の短さは風力発電より遥かに上です。

陸上風力発電はここ10年間のあいだに世界的にある程度設置が進み、強風の吹く立地が減りつつあることや低コストの製造技術がある程度先んじているため、太陽光発電に比べ普及ペースは落ちていきます。

太陽光発電は晴れ間でないと十分発電できない天候リスクがネックでしたが、蓄電池の価格がかなり安くなり今後普及していきます。また後述するように太陽電池の発電効率が良くなり、曇天でもある程度発電できるようになりつつあります。

そのためこれからは空前の太陽電池設置ブームになりそうです。石炭火力発電所の閉鎖動向次第では2020年代中に、遅くとも2030年代には太陽光発電が世界最大の発電方法となると考えています。

太陽電池セル1個あたりの***使用量が大幅に増えていく

・・・(お試し版では省略)・・・

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