金を買い支える、政府への信頼が薄れた新興国の国々の人々

[2023/12/02 朝日新聞]NYで金が史上最高値 3年4カ月ぶり 金利低下と「ドル離れ」進む

1日の米ニューヨーク商品取引所で、金(ゴールド)の先物価格が約3年4カ月ぶりに史上最高値を記録した。終値は、前日より32・50ドル(1・58%)高い1オンス=2089・70ドル。一時は2095・70ドルまで上昇した。米長期金利の低下で、安全資産とされる金の魅力が相対的に高まった。中東情勢の悪化や中国などの「ドル離れ」も値上がりの理由だ。

ドル建て金価格が2020年8月以来3年4か月ぶりに過去最高値を更新しました。

金市場をよくウォッチされている方であれば、2020年8月にドル建て金価格が最高値を更新してからその後2回にわたり最高値更新チャレンジがあったものの、いずれも失敗し、金は売られ価格が下がっていったことを知っていることでしょう。

今回、三度目の正直となったわけです。

世界の金需要を見ていると、新興国の金需要の大きさに驚かされます。

新興国の中央銀行が昨年から金の爆買いをしてきたことはおそらくご存知でしょう。

中国人民銀行は昨年11月から今年10月にかけて12カ月連続で金準備を増やしており(この期間に金保有量は13.7%増)、積み増し期間は統計を遡れる1999年12月以降で最長となりました。

でも中央銀行だけでなく、新興国の個人による金地金・コインの需要も大きくなっています。

コロナパンデミック前後の2020年1~9月の金地金・コインの買い越し量は、欧米が242トン、その他が102トン、計343トンでした。

他方、今年1~9月の金地金・コインの買い越し量は、欧米は184万トン、その他は497トン、計681トンでした。

3年前と比べて欧米の買い越し量は24%減りましたが、新興国を中心としたその他国々は387%増加しました。

世界最大の金地金・コイン購入国である中国では、唯一無二の投資先であった不動産の安全神話が崩れ始め、株式市場も低調なことから、安全資産としての金需要が高まっています。

でもそれ以上に金地金・コインの購入が増えたのは中東、とりわけトルコ、イラン、エジプトの3国です。いずれも高インフレが続いており、資産の目減りを防ぐために金買いが急速に進みました。

中国でも中東でも、金地金・コイン購入が増えてきた背景にあるのは、政府の失策で国民生活が不安定になり、政府への信頼が薄れてしまったことだと言えます。

政府への信頼が薄れていることは日本でも同じです。実質賃金は18カ月連続で低下し、円安による輸入インフレで食料品や電気代の上昇・高止まりが続き、インボイス制度導入で個人事業主の負担は増し、政治家のカネにまつわる不正が急速に露わになっています。

1110兆円の現預金を保有する日本人のマネーが日本を見限ったときに金市場に与える影響は、決して小さくないと思います。

★本日はアボマガ・エッセンシャルの配信日です。

[アボマガ No.280]利上げ停止が最高値更新した金市場にもたらすこと

内容はご想像の通り、ゴールドに関する話題です。過去最高値を更新した金市場の現状や背景、今後の見通しについて、お試し版では語り切れない内容を包み隠さずお話ししています。

2016年から金投資を啓蒙し続けてきた身として、金の輝きがより一層増していけばいいのですが…

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