国賊日銀黒田の円安棄民政策も加わり日本にも迫り来る食料危機

すでに日本では食料価格の値上がりが続き、家計を直撃しています。

報道を見ていると、食料自給率が38%しかなく多くを輸入に頼る日本において、いつ値上がりに歯止めがかかるのか、全く先を見通せなくなっています。

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日銀の黒田総裁は今月6日の講演で「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言し、批判が殺到しました。のちに発言を撤回しています。

撤回したとは言え、欧米が金融引き締めを本格化するなか、日銀は金融緩和を続け、円安に拍車を掛け輸入インフレを加速させ、食料価格値上がりを支援していることは事実です。

黒田日銀の金融政策はどう考えても棄民政策であり、撤回した発言は「貧乏人は飢えて死ね」と言っているも同然です。

さて、小麦を中心に世界の食料価格は3月をピークにやや軟調に推移しています。

とは言っても下図のFAO食料価格指数を見ればわかる通り、価格下落ペースはかなり緩やかです。同指数はウクライナ侵攻前の1月より16%高く、2020年の武漢パンデミック直後の底値から2倍近い高いままです。

食料価格に影響を与える肥料価格も同じく3月をピークに軟調傾向ですが、種類によって値動きが異なります。

最もピークからの下げが大きいのは窒素肥料で、尿素価格はウクライナ侵攻前の水準に戻っています。窒素肥料のもととなるアンモニアの製造に必要な天然ガスの価格がEUで急落したからです。

EUの天然ガスは、春になり暖房需要が減ったなか、米国からのLNG輸入が急増したことで需給が緩和し、値下がりしました。いまのところロシアからの天然ガスの供給も続いており、EUはルーブル払いに応じています。

他方、リン酸二アンモニウムは価格低下が限定的です。ニュートリエンの稼ぎ頭である塩化カリウムの価格は3月以降も高止まりが続いており、下がっていません。

肥料ごとの価格の下がり方の違いは、食料生産国が自国で生産できず輸入に依存している割合の大きな肥料が「カリ>リン酸>窒素」という順であり、この順に供給不足が解消されにくいことを反映しています。

いずれの肥料も輸出制限措置が取られています。カリ肥料は世界供給の4割を占めるロシアとベラルーシが、尿素とリン酸は中国が輸出制限しており輸出量が3割前後減っています。

中国はリン酸の世界最大の生産国で、製造の多くは、3月終わりから5月末にかけて都市封鎖で工業生産・物流がストップした上海地域で行われています。

輸出制限措置が解かれないかぎり、窒素・リン酸・カリ肥料の供給不足は続き、価格は高止まりすることになります。

現在、食料・肥料供給不足は今年後半には緩和するとの楽観的観測が出てきています。

特に市場が期待しているのは、5月18日に国連がロシア、ウクライナ、ベラルーシの穀物・肥料輸出を促進する方針を表明し、国連総長がロシアとも交渉を行っていることを明らかにしたことです。米国は国連の計画を現時点で支持しています。

その後ロシアとトルコはウクライナと、ウクライナ産穀物を黒海から海路で輸送再開するための話し合いを進めています。5月終わりにロシア軍はマリウポリ港の機雷を取り除き港湾を再開し黒海経由の穀物輸出を開始する準備が整っています。

いまのところ、ロシアは国連の要請に応えているように見えます。米国も邪魔していません。

しかし黒海にはまだウクライナが蒔いた多くの機雷が設置しており、ウクライナ側はすべて除去するのに半年掛かるとしています。ウクライナは機雷除去に後ろ向きです。

機雷除去が進まない限り、ウクライナからの穀物を積んだ貨物船の往来がウクライナ侵攻前に戻ることはありません。ウクライナはアフリカや中東に飢饉をもたらそうとしています。

現在の日本を含む西側メディアの報道や西側の要人の意見を見聞きしていると、食料の不足・価格高騰はロシアのウクライナ侵攻が諸悪の根源であるかのような論調が支配的な印象を受けます。

でもそれは嘘です。2020年のパンデミック発生後のサプライチェーンの混乱や気候変動による不作の影響から、ウクライナ侵攻前から食料の需給逼迫は始まっていました。食料価格が高騰し出したのは2020年5月ごろからです。

小麦在庫を見ると、やはり2019/20年度をピークに減少しています。中国の小麦在庫が減っています。小麦輸出国の在庫を見ると、2019/19年度からすでに減少し始めています。

ウクライナ産の穀物輸出が部分的に再開したとしても、食料供給に関して次の問題が残っています。

一つ目は肥料・エネルギー価格の高騰で、世界中の農家が費用削減のために自発的に作付けを減らしていることです。

二つ目は気候変動の影響です。中国では昨年降雨不足により小麦の作付けが遅れました。現在はインド、米国のサンベルト地帯、フランス・ボーズ地方で熱波や旱魃で収穫量の大幅な低下が危惧されています。アフリカの角では40年来の旱魃に見舞われています。

世界第2位の小麦生産国のインドは当初、豊作により余った小麦を積極的に輸出すると言っていました。しかし熱波・旱魃が襲ったことでこの方針を180度転換し、一部の深刻な小麦不足に見舞われている国を除いて輸出を停止すると発表しました。

三つ目は食料安全保障の高まりです。ロシアのウクライナ侵攻後、世界の20以上の国々が輸出制限措置を導入しました。導入した国の食料貿易量は、カロリーベースで世界全体の1割に達します。

需要については、新興国の人口増加や中国の肉需要の増加で食料・飼料需要は短中長期的に増え続けていきます。

こうした流れにあるため、ウクライナの状況に関係なく食料価格はしばらく高止まり・さらなる上昇が起こりやすいと予想されます。

現在の日本の食料価格の値上がりはまだ始まりにすぎず、今秋以降が本番です。

黒田日銀の量的金融緩和「棄民」政策が続き円安さえも止まらなくなれば、存命中の日本人がほとんど経験したことがないような、戦後最悪の食料危機を迎えることになります。