スターバックスの状況が良くありません。
[2024/05/28 ロイター]アングル:米スタバ、中国で安値合戦に直面 デフレ心理で想定狂う
米コーヒーチェーン大手スターバックス(SBUX.O), opens new tabは、中国で避けようとしてきた価格戦争に巻き込まれつつある。急成長する低価格路線の地元ライバル勢との厳しいシェア争いに直面しているためだ。
2大市場の米国と中国の販売がいずれも低調となり、最近株主からの突き上げが強まっているスタバにとって、これは深刻な状況と言える。
[2024/05/01 ロイター]スタバ、第2四半期の既存店売上高が予想外に減少 米中で需要低迷
世界最大のコーヒーチェーン、米スターバックス(スタバ)(SBUX.O), opens new tabが30日に発表した第2・四半期決算は既存店売上高が予想に反し減少した。2大市場である米国と中国でのコーヒー需要低迷が響いた。
既存店売上高の減少は約3年ぶり。株価は引け後の時間外取引で11%下落した。
第2・四半期の世界既存店売上高は4%減。市場予想は1.44%増だった。
スターバックスは長年成長戦略を取り続け、米国を中心に新規店舗の拡大で業績を伸ばしてきました。
2018年からは中国での店舗新設を加速し、成長戦略に拍車が掛かりました。
ところが中国ではゼロコロナ政策、不動産市場の混乱を通じて消費者の節約志向が高まり、高価格路線のスターバックスを避ける動きが強まっています。
2022年以降中国での売上は低迷を続け、ラッキン・コーヒーにコーヒーチェーン売上首位の座を奪われました。
スタバのラテ(ラージサイズ)は33元掛かりますが、ラッキンは幅広く利用できるクーポンを利用することで9.9元とスタバより70%も安く飲めるため、中国人は皆ラッキンを選びます。
米国でも過剰貯蓄が枯渇し、BNPL(後払い決済、Buy Now, Pay Later)の返済負担が高まっており、低所得層だけでなく中間層の消費に圧力が掛かっているなかで、スタバの来店客数が減っています。
米中での業績の悪さから、この前の決算発表で株価は一日で16%急落しました。
拡大戦略を取り続ける中で売上は足踏みしていますが、費用は増える一方です。
店舗拡大による費用増はもちろんのこと、アラビカコーヒー豆価格は2020年から倍以上に上昇し、人手不足と労組結成で賃上げ圧力が高まっています。
店舗の半分は直営店のため、フランチャイズ店主体のマクドナルドのように費用をフランチャイジーに十分転嫁することが出来ません。
営業利益率は中国での大幅な店舗拡大前は17~18%ほどありましたが、それ以降緩やかな低下傾向が続き、直近は12%しかありません。
スターバックスのビジネスモデルは、「本物のコーヒー」という商品を通じて、「スターバックス体験」という価値を提供することにあります。
利益率を高めるために、コーヒー豆の品質を下げたり、フランチャイズ店主体に切り替えようとすれば、スターバックスのビジネスコンセプトに反してしまいます。
ならば値上げするなど店舗あたりの単価を高める必要がありますが、値上げしても客が逃げない地域に店舗を絞る必要があり、店舗拡大戦略との親和性はあまり良くありません。
インフレが長期化する局面では経営において収益性の改善が最も重要となりますが、いまのところ経営陣は店舗拡大戦略を見直す気はないようです。
2018~19年に自社株買いのために多くの借金をしたことから、財務状況もあまり良くありません。
景気が減速、低迷すると、人々は節約のためにカフェにあまり立ち寄らなくなります。
スターバックスは、日に日に景気悪化に弱い経営体質に変化しているようです。