「第5次中東戦争」が始まったのかもしれません。
ガザ地区からロケット攻撃 イスラエル報復 首相“戦争状態に”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231007/k10014218571000.html
50年前の1973年10月6日に、その後の石油危機の原因となった第4次中東戦争が起こりました。
これはエジプト軍ががシナイ半島で、シリア軍がゴラン高原でイスラエル軍を奇襲攻撃するというものでした。
それからちょうど50年と1日、2023年10月7日にハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けたのが今回の戦争の発端です。
その翌日にイスラエルの北に隣接するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラも参戦を発表し、イスラエルを挟み撃ちにしようとしているみたいです。
ハマス、ヒズボラともにイランが支援しているため、イスラエルとイランの戦争とも言えます。
私はこれまでも、今年は、今年10月は、第4次中東戦争から、第1次石油危機からちょうど50年の節目に当たると繰り返し言ってきました。
そのためアボマガお試し版読者は、今回の戦争勃発に多少は驚かれたかもしれませんが、想定の範囲内だったことでしょう。
https://www.avocado-fes-thought.com/blog/20230911-oil-inflation/
https://www.avocado-fes-thought.com/blog/20221226-tightening-finance-inflation
これまでの4回の中東戦争では、主要な戦場となったのはイスラエル領外でした。
しかし今回はハマスのロケット弾による攻撃や、ハマス戦闘員の侵入により、イスラエル領内が戦場となっている点で異例です。
すでにイスラエル人の死者は少なくとも900人にのぼっているとされ、それなりの被害が生じています。
第4次中東戦争は米国の仲介もあって2週間余りで終わりました。
しかし今回、米国はイスラエル全面支持で、空母「ジェラルド・フォード」、誘導ミサイル巡洋艦、誘導ミサイル駆逐艦、戦闘部隊、弾薬などを派遣・提供すると発表しており、仲介役をはじめから放棄しています。
欧米側はイスラエル全面支持で、ウクライナ戦争と似たような構図になっています。
どうも今回の戦争は長引きそうです。
報道を見ていると、イスラエルの諜報機関はハマスの先制攻撃を予想できず、不意打ちを喰らったとあります。
世界最高峰の諜報機関のモサドが予見できなかったというのは、ちょっと腑に落ちません。
イスラエルには「アイアンドーム」と呼ばれるミサイル迎撃システムがあります。2021年にハマスが4000発のミサイルをイスラエルに発射したとき、アイアンドームは大活躍しました。
しかし今回、アイアンドームが十分に機能せず、ハマスのロケット弾は次々とイスラエル領内に命中しました。
アイアンドームがハッキングされたとの情報があります。諜報大国、セキュリティ大国であるイスラエルがいともやすやすとハッキングされるのも不自然極まりないです。
https://twitter.com/PatrickByrne/status/1711398181102047237
ガザを実効支配するハマスも、イスラエルのネタニヤフ政権も、最近は苦境に陥っていました。
失業率が50%近くあるガザ地区では、慢性的な停電と困難な生活環境に対する1000人規模の抗議デモが今夏に起こりました。ガザ地区で大々的なデモが発生するのは異例です。
イスラエルでは、ネタニヤフ首相が自身の権力拡大のために最高裁判所の権限を大幅に制限する内容を盛り込んだ司法改革法案を、世論に逆らって強引に成立させようとしています(その一部は7月に議会で可決しました)。
これによりネタニヤフ政権の支持率は落ちており、大規模な抗議デモが頻繁に起こり、予備役兵士の間で任務の拒否を表明する動きが広がってきました。
ハマスにとってもネタニヤフ首相にとっても、支持率を回復するために戦争を利用する動機はあったことになります。
そう考えれば、イスラエルがわざとハマスに奇襲攻撃させた(モサドも奇襲計画を事前に知っていた)可能性は捨てきれません。
イスラエル側の被害が大きくなればなるほど、国内は一致団結して、ネタニヤフ首相は国民からの支持を集めやすくなりますから。
ただ、ネタニヤフ首相とモサドの関係は良くないようです。
今年4月に、米国の国防総省などの機密書類がオンライン上に漏洩しました。
このなかには、ネタニヤフ首相の司法改革法案に反対する抗議活動をモサドが支援したとするCIA情報機関の最新情報が含まれていました。
そのため、モサドや軍がこの戦争を利用して、ネタニヤフ首相を罠に嵌めることだって考えられなくもないのです。
長年イスラエルのトップに君臨してきた、汚職まみれのネタニヤフ首相が政権を維持できるか、それともぶっ飛ぶかどうかは、大きな焦点の一つです。
いまのところ、イスラエル側は失態続きです。
上述のアイアンドームがきちんと作動しなかったことはとても恥ずかしいことです。
またイスラエル市民が多数ハマスに捕らえられ、ガザに人質として拘束されており、そのなかにはイスラエル軍幹部が複数人含まれているようです。
東京23区の6割ほどの面積しかないガザにイスラエル軍が無理に報復攻撃を仕掛けようものなら、捕らえられた軍幹部を含めた人質たちの命はありません。
こうしたお粗末な状況を続けているようでは、いずれ世論だけでなく軍部からも見放されます。
また欧米を除く国々はロシア、中国含め中立の立場です。国際法に違反してパレスチナを武力で乗っ取ってきたイスラエルは、出来る限り早期に停戦に向かわないと、国際的に孤立するリスクがあります。
そもそも、何の天然資源も採れない、経済・安全保障上ほぼ無価値のガザを、多大な犠牲を払ってまでイスラエルが攻撃せざるを得ない状況を作ってしまったことが最悪です。
すでにハマスはイスラエル領内に侵入しているのですから、ガザ付近だけでなくテルアビブやエルサレム、それにガザからこれら都市に向かうルート付近にもより多くの軍事資源を投入しなければなりません。
こうしたところに軍事資源を集中すれば、その分イスラエル北部の軍備が手薄になり、ヒズボラの侵入や、場合よってはゴラン高原からシリア軍の侵入を許しかねません。
イスラエルがちっぽけな面積しかないガザを制圧できたとして、北部の広大な土地を失えばお笑いものです。紀元前に北のイスラエル王国が滅んで南のユダ王国だけ生き残った歴史を再現したいのなら別ですが。
「第5次中東戦争」の勃発に最もショックを受けているのは誰だと思いますか。
私はウクライナのゼレンスキー大統領だと思っています。
武器・弾薬が尽き、女性・子供・老人も戦地に駆り出される敗色濃厚な状況にあるなか、近隣諸国から見放されはじめ、米国からの武器・弾薬供給見通しも立たなくなっています。
そんななか、バイデン政権がイスラエルへの大々的な軍事支援を発表したわけです。事実上、ウクライナへの支援は終了ということでしょう。
中東戦争の話題が持ちきりとなり、ウクライナ戦争に関する報道はますます片隅に追いやられてしまいました。
ゼレンスキー大統領がウクライナの惨状を世界に訴えて「お涙頂戴」することもできなくなりました。
このままウクライナは忘れ去られていくのでしょうか。
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