先週の話題ですが…
[2023/06/06 ブルームバーグ]4月実質賃金は物価高響き3%減、名目の伸び鈍化-消費低調
物価変動の影響を除いた4月の実質賃金は前年比で13カ月連続で減少し、マイナス幅も前月から拡大した。
厚生労働省が6日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、実質賃金は前年同月比3.0%減。市場予想(2.0%減)に反して前月(2.3%減)からマイナス幅が拡大した。名目賃金に相当する1人当たりの現金給与総額は同1.0%増の28万5176円。16カ月連続のプラスだが、伸び率は前月(1.3%増)から鈍化した。市場予想は1.8%増だった。
日本で実質賃金の大幅な下落率が当たり前になっていくと、3月9日配信の「今日のつぶやき~20言目~」にて書きました。
そこでは製造業が輸入物価の上昇分すべてを価格に転嫁できなくなり、利益が低下するという、供給側の視点に立って話しました。
需要側の視点に立つと、6月に入って食品・飲料が3500品目余り値上げされ、家庭の電気代が14〜42%値上げされました。
こんな状況で消費者は節約志向をさらに強めるのは当たり前で、消費は低迷を続け、企業の売上は低迷するしかありません。
供給側・需要側双方において、日本企業の利益は総合的に圧迫されつづけるしかなく、インフレ率をカバーする十分な賃金上昇なんてこれからも期待できるわけがないのです。
さて、毎月勤労統計を見て思ったのは、業種ごとの現金給与伸び率に差があることです。
4月の「きまって支給される給与」の前年同期比伸び率をみると、製造業は+0.6%、卸売業・小売業は-0.6%など冴えない伸び率となっています。
他方、不動産・物品賃貸業は+8.1%、金融・保険業は+5.6%と、いずれもインフレ率を上回る高い賃金伸び率です。
投資により収益を上げている企業の賃上げ率がとても高いというわけです。
インフレ、円安、人口減少の三重苦を抱える日本において、インフレに負けないで収入や業績を高めるために簡単に思いつく方法は次の4つしかありません。
- 海外に出稼ぎに行くか、海外にモノ・サービスを販売して稼ぐ
- 日本に訪問している外国人から稼ぐ
- 最も多くの金融資産を持つ世代である高齢者から稼ぐ
- 業績を長期的に伸ばしていける世界中の企業に投資して稼ぐ
このうち1~3は、売上の大半が海外や高齢者から発生している特定の企業・業種に勤める必要があります。1, 2ではさらにそれなりの英語力も求められます。
あなたが必要なスキルを持っていなければ、いまの仕事をしながら能力を身に付けなければなりませんし、最終的にいまの仕事を手放す必要が出てきます。
しかし4番目は、いまでは日本のネット証券口座を開くことで誰でも世界中の株式やETFに投資することができます。
それなりの投資リテラシー、投資スキルは必要ですが、翻訳ソフトが充実したいま情報収集に必要な英語力はそこまで求められませんし、何よりいまの仕事を辞める必要がありません。仕事と投資は両立できます。
いまの仕事を維持したい、インフレに怯えない生活をしたい、であれば投資収入・配当収入を増やすことが一番です。
投資収入・配当収入を生み出すことがインフレ率以上の収入を得て購買力を高めるカギである、これが4月の毎月勤労統計に隠されたメッセージです。
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