米国長期金利上昇の裏で、米国の信用が揺らぎ始めている?

米国の長期金利(米国債10年物利回り)の上昇が進んできました。

最近、上昇は一服したものの、今月19日には一時5%を突破し、10年物米国債価格は2020年のピーク時から半値程度にまで暴落しました。

長期金利が6%に達するのも空想とは言い切れないとの悲観的な見方さえ出てきています。

米国債市場に新時代到来か、10年債利回り6%「絵空事」でない可能性
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-24/S305Y3DWX2PS01?srnd=cojp-v2

長期金利は政策金利、景気見通し、インフレといった金融・経済に関する要素だけによって影響を受けるわけではありません。

その国への投資家の信用の大きさが、リスクプレミアムの一要素として長期金利に反映されます。

米国は世界最大の経済大国で、基軸通貨米ドルを発行・流通させ、世界の軍事・外交をリードしてきた覇権国であり続けました。

これが米国の信用の大きさにつながり、諸外国と比べてリスクプレミアムは小さく、長期金利は相対的に低位安定してきました。

しかし現在、いくつかの要素により米国の信用が揺らぎ始めているように見えます。

第1に、米国の財政悪化への懸念です。長期金利の上昇が続いていることで、米国政府の利払い費は急増しています。

これまで米国の財政のことを気にも留めなかった一部の投資家の間でも、米国財政は大丈夫なのかと心配し出しているとの話が出始めています。

第2に、国内政治の混乱です。マッカーシー前下院議長が解任されてから、3週間あまりにわたって下院議長が空席続きという異例の状況が続いてきました。

今月25日にようやく、トランプ氏に近いマイク・ジョンソン共和党議員が下院議長に選出されました。

でもこれで安堵している暇はありません。つなぎ予算が切れる11月17日までに新たなつなぎ予算を含む予算案が成立しなければ、連邦政府閉鎖に陥ります。

下院議長が米国史上初めて解任され、3週間以上も空席が続き、なお政府閉鎖のリスクがまだ残っているという流れは、いままでとは質の異なる米国政治の混乱を印象付けます。

第3に、外交・軍事面での外国への影響力の低下です。米国はウクライナ戦争を引き起こした張本人ですが、軍事支援を続けてきたにも関わらず、ウクライナは惨憺たる状況で敗北確実となっています。

つなぎ予算にはウクライナ支援を含んでおらず、実質的に米国はウクライナを見殺しにしています。

イスラエルとイスラム武装組織の紛争を巡っては、バイデン大統領がイスラエル訪問前にガザの病院空爆が起こり、アラブ側の首脳に会談を拒否され赤っ恥をかきました。

ネタニヤフ首相との会談でイスラエル側に立つと米国内外にアピールしたものの、ガザ地上侵攻を延期するようイスラエルに要請するなど、米国の態度がはっきりしません。

イスラエルは米国のガザ侵攻延期要請に同意したものの、その後すぐに地上部隊がガザ地区に侵入し攻撃を加えています。

シリア内戦でロシアが介入しテロ組織を潰し、サウジとイランの関係正常化を中国が仲介するなど、中東での米国の影響力は近年低下が続いていました。

今回のイスラエルとパレスチナを巡る外交で、米国の海外への影響力低下をますます見せつけられました。

もし米国連邦政府が閉鎖となれば、イスラエルやウクライナへの追加の軍事支援は望めません。

これら3つの米国の信用が揺らいでいる分野では、すべて財政が深く関わっています。

米国の混乱が財政と結びつき、財政悪化・米国政府の破綻への懸念が生じ、増幅していくことで、長期金利も大きく動いていくことでしょう。

おそらく米国は、米国自身が深く関わってきた地球の裏側の事態に構っている場合ではなく、国内の混乱を収めるのに精いっぱいになりそうです。

これは覇権国としての責任を放棄することを意味します。さて、米国の長期金利は一体どれくらいまで上がっていくのでしょうね?

★本日はアボマガ・エッセンシャルの配信日です。

[アボマガ No.276]今後20年、30年株価が低迷しても報われる資産形成をしよう

長期金利の上昇は、やがて利回りの低い株式から利回りの高い債券への資本移動を招き、株価を大きく調整させることになります。

いまの米国株は長期金利の上昇をほとんど織り込んでいません。長期金利の上昇・高止まりが続けば、株価の長年の長期低迷は避けられません。

逆に言えば、配当目的の資産形成の黄金時代が到来するということです。

株価の長期低迷が続けば、今回の配信記事でお話ししているような、1000万円を投資して15年後に毎年の配当収入が491万円になるような銘柄がより多く現れるということです。

★アボマガ・エッセンシャルにご登録された方には、「配当収入を増やすための資産形成・ポートフォリオ構築」に関する特典記事を配信しています。

→アボマガ・エッセンシャルについてもっと詳しく

▽アボマガ・エッセンシャルとは

アボマガは、「配当成長株+配当再投資」の組み合わせで複利を活用して配当収入を増やすことで、インフレに負けない生活を築き上げたい人たちを応援するメルマガです。

インフレが続く不安定な時代に、不安定な株価の値動きに依存して購買力を高めようとすることは非常にリスクが高いです。

こうした時代は、配当に着目して地に足付けた長期投資をすることがスマートなやり方です。何故なら…

・高インフレの時期はリターンの7割が配当です。

・配当の原資であるフリーキャッシュフローを安定して伸ばせている銘柄を選べば、マクロ経済動向いかんによらず配当は安定して増え続けます。しかも低リスクで資産形成できます。

・安定した配当成長と配当再投資により、配当にものすごい複利が働き、将来の配当収入は劇的に増えていきます。

・配当成長と配当再投資で毎年10%以上の複利で、インフレ率を上回るペースで配当を増やすことは難しくありません。

インフレ率を上回るペースで配当収入を得られれば、生活への不安が大きく和らぐだけでなく、インフレ時代をもっと楽しく、もっと前向きに暮らせるようになるかもしれません。

アボマガをお読みいただき、インフレ時代を明るく生き抜く人たちを一人でも多く増やせれば良いな、そのように思っています。

→アボマガ・エッセンシャルについてもっと詳しく