米ドル基軸通貨体制は終焉し、米ドルと新興国通貨が混在する多極化した国際通貨体制へ。

今月22~24日に南アフリカのヨハネスブルグでBRICS首脳会議が開かれました。

新たにアルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国が来年1月からBRICSに加盟することが正式に決まり、加盟国は11カ国になります。

BRICS首脳会議では、噂されたゴールドに裏付けられたBRICS通貨の発表はありませんでした。ロシアのラブロフ外相の発言から、BRICS単一通貨の導入は検討していないようです。
https://tass.ru/politika/18580641

しかし加盟国間で、米ドルでなく現地通貨を使用した決済プラットフォームとそれを利用した新貿易圏の構築に取り組んでいく方向性は明確になりました。来年のサミットまでに、加盟国は自国通貨と共通の決済手段を使用するための具体案をまとめていくそうです。

SWIFTではない、新たな国際送金プラットフォームを使って米ドル以外の通貨による貿易決済を拡大していく流れは確定的です。

世界の石油・天然ガス・食料貿易の中心が米ドル貿易圏から非ドル貿易圏に移行していくことは、新加盟国をみても明らかです。

エジプトとエチオピアの加盟は?に思われるかもしれませんが、エジプトはスエズ運河を運営し、エチオピアはサウジアラビアとともに紅海を挟む形となっています(正確にはエチオピアは紅海に面していませんが)。

そのためエジプトとエチオピアの加盟は、水上輸送が関係しているのでしょう。

BRICSが(中国を除いて)日本より貧乏な新興国の集まりだと侮ってはいけません。

BRICSの購買力平価GDPは2021年にG7を上回りました。新たに6カ国が加盟することで、経済規模の差はさらに拡大していきます。

人口、資源生産・埋蔵量ではBRICSは先進国をすでに圧倒しています。

EV・再エネの拡大による資源不足と、気候変動と食料安全保障への意識拡大による食料不足によるインフレが長期化するなか、人口が減っていく欧州と日本はこれから貧乏化していきます。

その間にエネルギー・鉱物資源・食料に恵まれ、人口が増えていき、工業化・インフラ整備・都市化が進む新興国は繁栄していきます。

国連、WTO、IMFなどの国際機関への新興国の影響力は増していき、欧米による新興国・途上国支配のための道具ではなくなっていきます。

これからは新興国が世界をリードする時代になっていきます。米ドル基軸通貨体制は終焉し、米ドルと新興国通貨が混在する多極化した国際通貨体制が少しずつ形成されていきます。

時代は変わりました。

★本日はアボマガ・エッセンシャルの配信日です。

国際通貨体制の終焉は、他人事ではありません。あなたの生活・人生をがらりと変えてしまうものです。

国際金本位制の崩壊と同時期に、世界大恐慌が発生し、米国株は9割暴落しました。大日本帝国は1931年に満洲事変という偽端作戦を実行し、戦争への道を歩んでいき、最後は300万人以上の死者を出し、生存者からは財産を没収しました。

国際通貨体制の崩壊~転換は、あなたの購買力を大きく増やしもするし、大きく減らしもします。

国際金本位制の崩壊に関する金融の歴史をきちんと分析することで、現在の米ドル基軸通貨制が崩壊したときに何が起こり得るのか、あらかじめ予想し備えることができます。

今週号のアボマガ・エッセンシャルの記事を読めば、激動の時代に資産を守るための基本的な方針を学ぶことができます。

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